美保関のまちなみ保存の取り組みについて
美保関町美保関地区の概要
松江市美保関町は島根半島の最東端に位置しています。
美保関漁港周辺の、美保神社や青石畳通りを中心とした美保関地区の町並みは、寛政12年(1800)の大火以後に形成されたものが基礎となっています。
古くから海上交通の要衝として発展し、美保神社を中心とした信仰の町としても栄えてきました。また、漁業を中心とした集落であると同時に、船乗りが滞在した港町、また門前町としての性格も持ち合わせています。
美保関地区では、現在も美保神社の氏子により当屋制が維持され、人々の暮らしの中に祭礼が組み込まれています。なかでも、『古事記』『日本書紀』にみえる「国譲り神話」にちなんだ「青柴垣神事」と「諸手船神事」は、大山を望む港町を舞台に、色鮮やかな装束をまとった神職や衣装を着けた氏子が執り行う船神事であり、町並み全体が神事の舞台となっています。


地区の課題と対策
昨今、人口減少や空き家の増加などにより、歴史ある町並みの維持が難しくなっています。さらに、高齢化や人口流失による担い手不足によって、祭礼行事の維持も難しくなってきています。
そこで「重要伝統的建造物群保存地区制度(通称:重伝建)」(周囲の環境と一体をなして歴史的なまちなみを形成している伝統的な建造物群で価値の高いものを文化財として国が選定する制度)の導入を検討します。
この制度を使い、歴史的な集落や町並みの保存と活用整備を行います。合わせて、住環境の改善、防災施設整備、拠点施設の整備などを実施し、歴史文化遺産の継承と地区の賑わいの創出につながるよう取り組みを進めます。
「伝統的建造物群保存地区」「重要伝統的建造物群保存地区」とは
伝統的建造物(民家や神社などの歴史的な建造物)の集まりと、石積みや樹木などの周辺環境を歴史的、景観的なまとまりとして、市が将来にわたり保存すると定める地区を「伝統的建造物群保存地区(通称: 伝建)」といい、地区の歴史的価値を保存・整備する制度です。
さらに、市から国へ申し出を行い、わが国にとって特に価値が高いと判断されれば、「重要伝統的建造物群保存地区(通称:重伝建)」として国から選定され、国の支援も受けることができます。
伝建地区のメリット・デメリット
メリット
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伝統的建造物の修理に市の補助があります。
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伝統的建造物以外の建物等の修景(新築・増築・改築等)に市の補助があります。
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保存地区内の伝統的建造物および土地について相続税の軽減があります。
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保存地区内の伝統的建造物の固定資産税(家屋)は非課税となります。
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市が防災計画を策定し、保存地区内の防災施設を整備します。
デメリット
- 建造物の新築、増改築、修繕、宅地の造成などの行為は市の許可が必要となります。
- 基準に合わせた工事が必要となります。(外観は、美保関の伝統的な建築に合わせる必要があります。)
これまでのまちなみ保存の取り組み
平成11(1999) |
島根県景観形成住民協定認定(美保関泊小路・中浦小路) 「青石畳通り美しい環境づくりに関する協定」H12年2月7日 |
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平成12(2000) |
青石畳通り 島根景観賞優秀賞受賞(まち・みどり部門) ~地域住民の取組により青石畳と歴史的町並みという地域資源を蘇らせた~ |
平成18(2006) | 青石畳通り「夢街道ルネサンス」認定 |
平成19(2007) | 松江市景観計画の策定・景観条例の施行による景観行政の推進 |
平成22(2010) |
『松江市歴史的風致維持向上計画(歴史まちづくり計画)』認定 美保関エリアを重点区域に設定 |
平成28(2016) | 美保関エリアを対象エリアに設定 |
平成29(2017) | 松江市登録歴史的建造物【登録3件】 |
令和2(2020) |
松江市登録歴史的建造物【登録2件】 『松江市歴史的風致維持向上計画(松江市歴史まちづくり計画)第2期』令和2年3月31日認定 |
令和4(2022)~ 令和5(2023) |
「伝統的建造物群保存対策調査」実施 『美保関 伝統的建造物群保存対策調査報告書』令和6年3月31日発行 |
令和6(2024) | 「松江市伝統的建造物群保存地区保存条例(PDFファイル:204KB)」令和6年12月20日制定 |
今後のスケジュール

この記事に関するお問い合わせ先
文化スポーツ部 文化財課
電話:0852-55-5956(歴史まちづくり係)、0852-55-5523(文化財係)
ファックス:0852-55-5658
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更新日:2025年01月09日