表彰業務概要(史跡松江城月見櫓下石垣基礎地盤造成工事に伴う実施設計業務

更新日:2023年02月01日

表彰業務の概要

表彰業務概要
部門名 土木コンサルタント業務
業務名 史跡松江城月見櫓下石垣基礎地盤造成工事に伴う実施設計業務委託
履行期間 令和元年12月27日から令和2年3月25日まで
業務場所 殿町
表彰事業者名 株式会社ウエスコ島根支社
代表者名 支社長福井一彦氏
表彰技術者名 管理技術者伊達裕樹氏
業務概要 空洞充填工実施設計
表彰理由 本業務は、石垣基礎地盤の復旧工事のための実施設計を行ったもので、史跡という文化財的な制約がある中で、高い技術力により、景観等を十分に考慮した基礎地盤の設計がなされました。全体として優良な業務でした。

現場レポート(表彰業務紹介・技術者インタビュー)

石垣基礎地盤の復旧工事のための実施設計を行った月見櫓下の写真

松江城の南側には、かつて「(御)月見櫓」とよばれる櫓があり、その跡地の下には現在も石垣が残っている。しかし、石垣は変形が著しく、崩落の危険性があったため、復旧に向けて平成30年度から保存修理工事に伴う発掘調査を実施したところ、基礎地盤の法面から、第二次世界大戦時のものと思われる横穴式防空壕が発見された。さらに、防空壕の天盤の崩落により、石垣を含めた地盤が陥没しており、このままでは石垣を復旧できない状態であった。このため、史跡への影響や景観に配慮しながら、陥没箇所と防空壕の空洞部分やその周辺を造成し、基礎地盤を復旧する工事を実施することとなった。本業務は、その工事の実施設計を行ったものである。

本業務の表彰技術者である株式会社ウエスコ島根支社の管理技術者(当時)伊達裕樹氏は、受賞の感想について次のように語る。「本業務は、歴史的価値のある石垣の下に造られた防空壕を埋めるという稀有な業務で、とても苦労した仕事でした。その苦労が報われて社員一同、心から嬉しく思っています。」

防空壕の総延長は50メートル以上にも及ぶ大きなものであったが、その内部空間の把握には最新の技術が使われた。「本業務で心掛けたのは、防空壕内の正確な形状を計測することです。防空壕は歴史的価値がある建造物であるため、レーザ計測を利用した3次元測量により内空形状をきちんと計測して、データとして残しておくことが大事だと考えました。また、正確な形状を計測することは、設計施工の検討に非常に有益だとも考えました。本業務の測量成果と以前計測された地表面の3次元データを組み合わせ、地上にある周辺の建物との位置関係を把握し、防空壕が興雲閣の下まで到達していることが確認できました。」と伊達氏は話す。

月見櫓下の防空壕に黒いシートがかぶさっている写真

歴史的建造物に携わる仕事ということで、技術者として特別に感じるものがあったようだ。伊達氏は、「印象に残ったのは、史跡松江城の敷地内で測量設計の仕事ができたことです。この仕事では、現場に行くたびに歴史的なことを肌で感じられました。初めて防空壕に入ったときは、『城への抜け道があるのでは』と想像して、城に関する文献をいくつか読みました。その文献の中には、『明治初期に城内に火力発電所があった』との記載があり、『防空壕は、そのときに作られた石炭を採掘するための坑道かもしれない』と考えたこともありました。結局は戦時中に作られた防空壕だったのですが、とにかく、史跡松江城の仕事でいつもワクワクしていました。」と当時を振り返る。

「苦労したのは、安全に確実に防空壕を隙間なく充填するための、施工計画を練ることでした。防空壕内には、湧水、岩盤の亀裂や天盤の凹凸がありました。このため、施工中の落石・充填材の漏えい・未充填箇所の発生が懸念されました。これらを防ぐために、松江市との打ち合わせや社内検討会を繰り返し行い、過不足ない施工計画を作りました。」

支社長の福井氏と管理技術者の伊達氏が表彰状を手にして並んでいる写真

株式会社ウエスコ 島根支社
(写真左)支社長 福井氏
(写真右)管理技術者 伊達氏

伊達氏に、仕事における今後の目標について聞くと、「我が社が保有する3次元計測技術を活用して、斜面災害や土砂災害から人々の命と財産を守ることと、公共事業における様々な困りごとに対応できる知識とノウハウを日々蓄積することです。」と語った。

また、建設業のやりがいについては、「人々の暮らしに役立つ仕事ができることです。道路や上下水道などのライフラインの整備、豪雨災害からの復旧、社会インフラの維持管理など、社会の土台を支えることが、建設業のやりがいだと思っています。」と伊達氏は話す。これから建設業界を目指す人に対しては、「建設業は、自然と対話しながら、計測・調査・診断・設計・施工をする業種です。現場ごとで、自然条件・社会条件・その他色んな条件が変化するので、ルーティンワークにはない楽しさがあります。最近は人手不足解消のためにIT技術を導入した取り組みが多数実用されています。日々進歩している業種なので、チャレンジしがいがあります。」と魅力を語った。

最後に、伊達氏の所属する株式会社ウエスコについて紹介してもらった。「わが社には最新の3次元計測機器が多数あり、調査のジャンルが幅広く、ワクワク感たっぷりの職場環境があります。松江市内にある支社は、宍道湖の湖畔にあり、絶景の中でデスクワークができます。窓から見えるきれいな夕陽が、疲れた心を癒してくれます。学会活動や地域貢献活動も盛んです。何でも相談できるアットホームな職場環境もあります。」

石垣が復旧したあかつきには、松江城は新たな姿を見せることだろう。

(注意)事業者PR資料は以下のリンクをご覧ください。

(注意)本記事の内容は取材当時のものです。

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