移住者(尾野さん)

更新日:2024年04月23日

松江は、自分のしたいことができる・見つかる場所

尾野久子さん(イラストレーター)

松江市に移住し、イラストレーターとして活躍する尾野久子さん。
仕事内容は、絵本や雑誌の挿絵、パンフレットや広告物・販促物、WEBサイトのイラスト制作など多岐にわたる。

仕事と並行して、松江市の伝統工芸「出雲民藝紙」を広めるべく、ワークショップを開催するなどの活動にも取り組む。

 

そんな尾野さん。

「実は、何かをしたいという思いで松江に来たわけではなかったんです」と照れたように語る。

尾野さんが作品を紹介している様子

 

福岡県出身で、家族の仕事の都合で松江にやってきた。

当初、島根県への印象は「出雲大社があることくらいしか知らない」状態で、「何があるのか?」「仕事できる環境はあるのか?」など、疑問や不安は多かったという。

松江の印象については、「皆さん優しくて、外から来た人も受け入れてくれることにびっくりしました。よそもの扱いされないのは嬉しいですね」と話す。

「松江に来て大きく変わったのは、休日の過ごし方。都市では情報量の多さから「何かしないといけない」と考えがちで、常に忙しい感じがしました。今では、山に行って何もしない、図書館に行って何もしない、宍道湖を眺めながら何もしない…といったように、四季を感じながら自分の時間を過ごせています」

 

移住して困ったことがないか尋ねると、「仕事で使う道具を揃えるのが難しかったり、服を買う場所が分からないところですかね」との答えがかえってきた。「でも、ネットでも購入できる時代なので、それほど困ることはありません」とも。
仕事環境については、もともとフリーランスであったため、移住前と比べてそれほど変わらないという。

「自然豊かでアイデアが生まれやすい、制作する上でも良いところです」と話してくれた。

尾野さんの作品

 

尾野さんの今のテーマは、出雲民藝紙をどう伝えていくか。

「松江に移住してから、ふと、自分は松江・島根のために何もしていないなと思いました。(それでいいのか?でも、何から始めようか)と悩んでいるときに、地域おこし協力隊の岸本さんが出雲民藝紙という存在を教えてくれました。作品を作って一緒にイベントに出ないかと誘ってくれたんです」

強く滑らかな手触りが魅力的な民藝紙。「どうすれば多くの人に手に取ってもらえるか考え、はじめは民藝紙にイラストを印刷したポストカードを制作、販売していました。そのうち、”作品を買う”よりも” 触れて体験する”方が取っ掛かりやすいのではと感じ、民藝紙でラッピングペーパーを作るワークショップを始めました」。

今では、こどもから大人まで参加する、大変人気のあるワークショップとなった。

出雲民藝紙のワークショップ風景

「民藝紙は、触っているだけで心が落ち着きます。民藝紙がある暮らしの良さを多くの方に伝えたい。でも私一人の力では限りがあります。
もっと多くの方に知ってもらいたいし、「伝えたい」という思いを引き継げるようにしたい。そのためにも、暮らしの中に出雲民藝紙を取り込めるような工夫を考えたり、(自身のように)ワークショップを開催する方・関わってくれる方を増やしたいです」

出雲民藝紙のラッピング

 

尾野さんは「松江は、自分のしたいことができる、したいことが見つかる場所だと思います」と語る。

「松江に来る前は、こういったワークショップを開催することは全くありませんでした。松江に来て、何もしない時間を過ごしてみて、自分がしたかったのはこういうことなんだろうな、と気づくことができました」

 

―――自分に合う過ごし方を見つけた尾野さん。これからどんな作品が出来上がっていくのか、楽しみでなりません。

尾野さん取材風景

(2024年取材)

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