移住者(梶田さん)
僕はただ、新しいペンキで色をつけているだけです
梶田裕幹さん(一級建築士)
Uターン
「松江の歴史、風土、街並み、人と人とのつながりを生かしたまちの建物の建築をしていきたい。」
そう語るのは、松江市を拠点とし時を経ても色あせない建築に取り組んでいる一級建築士「梶田」さん。
梶田さんからは、建築士の角度から松江のまちづくりのアイディアが溢れ出す。
昨年4月には松江の建築士などで松江のまちが「松江」らしくあるために「マツエイエムスビ」を立ち上げた。これから起業する若者に、空き家を店舗にリノベーションし、貸し出す。希望にあふれる若者たちの背中を押してまちへ送り出す。
また、今年2月には白潟(シラカタ)地区に多く残っている蔵を活かしたイベントを開催した。蔵ではスクリーンを設置し、食べ物を提供して映画を上映。古い建物を活かし新しい賑わいを生んだ。
梶田さんが手がける仕事やイベントにはどれも今あるものを新しいものに見せ華やかに活かすというう共通点がある。
それは見える角度なのか、見える位置なのか、見える方向なのか。見えている未来なのか・・・。どういう松江が梶田さんの目に写っているのか聞いてみた。
「それは、昔の方が見えていた松江の未来、その延長線を一緒に見ているだけです。松江にはいい建物がまだまだたくさん残っていて、当時夢を描いて建てられた建物に僕はただ、新しいペンキで色を加えているだけです。」
と謙遜して言われたが、梶田さんが手がけたものは松江らしさを残しつつ、明らかに命を吹き返し新しい感覚で輝きだす。
変わっていく松江の風景の切なさを受け入れながら、今日も松江市は一刻一刻と歴史を刻む。その歴史の一刻である今、先人たちが描いた未来のその先を、見つめながらできることから始めよう、そして後世にも夢のメッセージを送ろう。
そう思えた日の宍道湖の夕日は、いつもより鮮やかに沈んでいった。
(2020年取材)
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更新日:2023年02月01日