移住者(佐々木さん)
松江はぴったりなまち
佐々木さん(セレクトショップオーナー)
Iターン
大橋川沿いにある、器好きの間で評判のセレクトショップ「objects(オブジェクツ)」。
店主は佐々木創さん。奥さんの陽子さんと2010年に埼玉県から移住し、翌年店を開いた。「自分が好きな器を選んで紹介する仕事がしたいと思いました。器の存在感、質感、表情がいいものを選んでいます。」
自らの足で作家の元へ行き、心に響く作品を選ぶその審美眼は、手仕事に魅了された人々の心をつかんで離さない。
松江を選んだのは、父の実家があり、幼少期から何度も訪れていたから。
この古い建物を自分の店にと思ったのは、子どものころに見た「かっこよさ」が記憶の片隅にあったからだ。「立地といい、外観といい、内装といい最高でした。」
佐々木さんは、松江の印象をこう語る。
「松江はとても落ち着いたまちだと思います。人も素敵です。けれど最初は、不愛想の人が多いという印象でした。警戒されていたのですかね。でも、一度仲良くなると、本当によくしてくれる。シャイなんですね。」
移住については、「器に関わる仕事がしたいというはっきりとした目標があって、その先にそれを達成できる素敵な場所があったという感じです。松江はそんな私たちのチャレンジに寛容だったと思います。」と振り返る。
店内には、島根県内の窯元で焼かれる『森山窯(もりやまがま)』『白磁工房』『湯町窯(ゆまちがま)』『出西窯(しゅっさいがま)』など数多く並んでいる。
それらひとつひとつの背景や歴史から作り手にまつわる物語まで、しっかり勉強し、お客さんにわかりやすく説明する。
「これからも楽しみながら、お客さんに感動を与えていく仕事を続けていきたいですね。無理せず自然体で。」
佐々木さんの言葉には誠実さが溢れ出ている。
(2019年 取材)
更新日:2023年02月01日