市長定例記者会見(令和3年6月16日)
令和3年6月16日(水曜日)
(共同通信社)幹事社の共同通信社です。まず、市長のほうからよろしくお願いします。
(上定市長)皆さま、本日もお集まりいただきましてありがとうございます。今日は私のほうから、来週21日月曜日から始まる松江市議会定例会でお諮りする予定の、第3号補正予算案について皆さまにご説明させていただきます。
皆さまのお手元にもお配りしておりますが、市民の皆さまにも分かりやすく説明をさせていただきたいと思っておりまして、今回モニターを設置しております。この資料はホームページにも掲載する予定ですので、特に市民の皆さまはお手元にはないと思いますが、後ほどまたゆっくり見ていただきたいと思っています。
1枚目に書いていますのは、松江流の新しい生活様式の「ま・つ・え・じょ・う」でございまして、新型コロナウイルス感染症の終息がまだ見えない折ではありますけれども、ワクチン接種についても確実に松江市として進めているという実感を持っております。昨日、記者発表もさせていただき、64歳以下の皆さまにも接種券を7月9日から発送予定としておりますので、ぜひともこの感染予防の基本「ま・つ・え・じょ・う」については、改めてもう一度ご確認をいただいて、日常の生活において心がけていただきたいと思っています。
それでは、説明をさせていただきます。6月の補正予算案の内容ですが、総額7億3,520万円という予算を計上しております。
中身につきまして、大きく2つに分かれます。新型コロナウイルス感染症対策、これが6億6,358万円です。そして、「市長公約に掲げ、早急に取り組むべき課題への対応」としまして、7,162万円を計上しています。金額の大きいものから申し上げますと、新型コロナウイルス感染症対策のうち、地域の事業者を支援する目的で4億7,500万、市民生活を支援するため1億8,858万円を計上しております。また、早急に取り組むべき課題への対応としましては、未来を担う子供たちを育成するといった人づくりについて6,307万円、市民が誇りの持てるまちづくりのために500万円、さらに市政あるいは地域の土台をつくっていくために355万円という予算を計上しております。
具体的な中身については、新型コロナウイルス感染症対策の1つ目、地域の事業者を支援するということです。中小企業及び個人事業者への給付金の支給として事業費4億円を計上しております。コロナ感染症の拡大によって経営に影響を受けている中小企業者あるいは個人事業主の方に対して事業を継続するための給付金を支給するものです。支給条件は、今年1月から5月のうちの連続する3か月間の売上げの合計、これが前年同期または前々年の同期と比べて50%以上減少していることを要件としております。具体的な給付額につきましては、法人は1事業者当たり20万円、そして個人事業主の方は1事業者当たり10万円としております。申請受付は7月の下旬から9月末までを予定しています。次に同じくコロナ感染拡大によって売上げが減るなどの影響を受けている飲食店を支援するために、プレミアム付飲食券を発行し、その消費の促進を図ります。これは、令和2年度も同様の措置を講じており、金額も同じでございます。販売価格4,000円に2,000円のプレミアムを上乗せし、このプレミアム相当額を市が補助することになります。これを松江地区商工会・商工会議所連携協議会の協力を得まして、販売をいただきます。2,000円のプレミアムがありますので、これを購入された皆さまが利用できる金額は6,000円ということになります。このチケットを、令和2年度同様の、3万組販売します。対象の店舗につきましては、松江市が感染予防対策として飲食店の皆さまに「感染予防がんばる宣言」という16項目から成る宣言を出していただいております。こういったお店であれば安心してご利用いただけるということで、この宣言をしている店舗を対象として、今回このプレミアム付飲食券が使えるという形にしております。
次も、新型コロナウイルス感染症対策、のうちの市民生活を支援する事業でございます。まず1つ目、自死対策のための情報発信の強化ということを掲げています。コロナウイルス感染症の拡大によって自死リスクが高まるということが懸念されており、そういったことがないように、相談窓口の周知や自死は避けるべきという啓発活動を行います。例えば繁華街、市街地のデジタルサイネージであるとか、バスの車内など、人目に触れるところに置いて、できる限りの周知を行っていくために、134万円の予算を計上しております。
次に、小・中学校の修学旅行のキャンセル料の支援です。これも、令和2年度から継続して取り組んでいるものになります。コロナの影響によって、修学旅行を中止する、あるいは行き先を変更するということが度々生じております。これに掛かるキャンセル料の全額を支援していくということを今回も掲げさせていただき、234万円の事業費を計上しております。
次に、低所得の児童手当等を受給されている世帯に対する特別給付金の給付です。既に独り親世帯につきましては4月6日付で専決、つまりは議会の議決を通さずに市長が専ら決めるという形の、補正予算案第1号として1億4,881万円の予算をつけております。今回は独り親世帯を除く低所得者の子育て世帯に対しての生活の支援を行うべく、児童1人当たり一律5万円の子育て世帯特別給付金を支給するというものです。これは国の制度に基づいたものですが、国の制度に基づきますと、どうしても令和4年2月28日以前に出生した児童に支給されるということで、年度が途中で切れてしまうことになりますので、3月1日から4月1日生まれの、同学年の児童に対しては同じタイミングで一律5万円の給付金が支給できるように、ここの部分だけは市として単独で予算措置を行い1億8,490万円を計上しています。
ここまでが新型コロナウイルス感染症対策ということでございます。
2つ目の、私が公約として掲げ、早急に取り組むべき課題への対応ということでございます。最初が、「どだいづくり」ということになります。今日のこの場もそうですが、市民の皆さまとできるだけ近いところで、そしてまた、市民の皆さまに届く情報発信をしていきたいと常々申し上げてきたところであり、記者の皆さまのご協力には大変感謝しております。それをより高めていくための予算を今回計上させていただきました。市民の皆さまに届いていなければ発信していないのと同じということですので、市民の皆さまに届くための広報体制、これを強化してまいります。そのためには、私自身が自らメディアへの出演等を通じて情報発信を行っていくことが非常に重要であると認識しております。具体的には、今も市民向けの情報番組の枠を持っておりますが、その枠を新たに新設します。またどなたでも見ることができるように、オンラインの動画共有サービスにアップさせていただく費用についても今回計上しております。これも市民の皆さまにより近く、そしてタイムリーに市長あるいは市役所からの情報を伝達させていただくための手段として256万円を計上しています。
次に耳慣れない言葉かもしれませんが、ブルーカーボンオフセット制度構築のための調査として、99万円計上しております。まず、カーボンオフセット制度というものですが、これは、二酸化炭素をたくさん排出するエネルギーを用いてこの世界が発展したという経緯があるわけですが、それによって地球の温暖化等が進み、地球環境が住みにくくなっているという状況にあります。その中で、省エネ法という法律で、企業に対して5年間で1%の二酸化炭素の排出を削減するという努力義務が課されています。法的な拘束力はありませんが、企業の社会貢献を重んずる、CSRとかESGなどといいますが各企業ともその努力をしている実情があります。具体的には、二酸化炭素を多く排出する工場を廃止する、あるいは工場の生産性を高めてその中で二酸化炭素の排出量を抑えるなどの取組を各企業とも進めています。それでも残念ながら二酸化炭素の排出量を減らすことが難しい企業においては、二酸化炭素の排出権を購入するという制度があります。これがこのカーボンオフセット制度になります。民間企業にとってみると、自社努力によって二酸化炭素の排出を抑えるか、あるいは二酸化炭素の排出権を買うことによって調整することになります。そこで考えたのが、この水の都松江です。日本海があり、そして宍道湖、中海、大橋川もあるこの水の都に着眼して、海藻や水草が通常の森林と同じように二酸化炭素を吸収してくれ、この湖面や海水面でカーボンオフセットの仕組みを取り入れられる余地があるのではないかと考えています。松江市が二酸化炭素を吸収する仕組みを作り、二酸化炭素の排出権を必要としている民間企業に仲介機関を通して販売し、そしてその収入を地域振興や環境保全に役立てることが可能かどうかの調査をこれからやってまいります。先進事例として、横浜市や福岡市で幾つかの取組が進んでいます。そういったところを参考にしながら、水の都松江として今後のエネルギーあるいは環境問題を考えていくに当たって、ブルーカーボンオフセットという仕組みを日本全国に先んじて行うための先進調査費として99万円を計上しております。
次に、「ひとづくり」です。まずは、小学校1、2年生の教室への電子黒板等の配備を進めてまいります。昨年度、無線LAN、タブレット、小学校3年生から中学校3年生の教室の電子黒板については配備しました。非常に評判がいいと聞いております。生徒にとってみると、教科書を画面で確認できたり、大きく引き伸ばして共有できたり、自分のタブレットの内容を電子黒板に映して説明したりと、非常に使い勝手がいいという認識を高めております。小学校1、2年生の教室への電子黒板と指導者用タブレットの配備のための経費が750万円となっております。
そして、これも令和2年10月にできた国の制度に連動しておりますが、重度障害の方が通勤等をされる場合に介助の費用がかかってきます。その介助費用についての支援ということで事業費300万円を計上しております。
最後に、子育て環境の充実のために、待機児童への対策を講じます。市内の児童クラブの数は公設、民間ともに増えてきていますが、待機児童数というのもまた増えており今年の5月1日時点で、公設34人、民間57人の方が待機されているという状況です。地区別には城北、揖屋、大庭、母衣といったところの待機児童数が少し多いですが、一つのところに大きく偏っているということはありません。児童クラブの待機児童を解消するために、児童クラブを民間で設置する際の補助を行います。7月下旬から募集を開始して審査会を経て国への申請を行います。その上で、10月に補助金交付の決定をした後に工事に着手し来年の4月に開設するというのが一番早いスケジュールになります。2つの施設を想定し、5,254万円をという予算を計上しています。
次が、「まちづくり」です。狙いとしては都市機能を強化する、中心市街地のにぎわいを再生する、また水辺空間の整備を行っていくということです。
まずはエリアビジョン策定のためのワークショップ等を開催します。9月にワークショップの参加者を公募します。松江駅から松江城、あるいは殿町に至るこの中心市街地、よくL字ルートという言われ方もしますが、この今も特徴が非常にある地域の活性化をしたいという思いを以前から持っております。その特徴をどう生かしていくのか、市街地再開発で更地にして新たな箱物を建てるようなことは全く考えていません。逆に、今あるよいものをどう生かし、磨きをかけ、そして一体的なまちづくりを行っていくのかを考えたいと思っています。それを検討するに当たって、市民の皆さまの意見をしっかりと聞きたいと思っております。そのための仕組みとして市民参加によるワークショップを開催し、市民の皆さまと一緒にこの中心市街地の、エリアビジョンと呼んでいますが、まちづくりの計画をつくっていくための予算として300万円を計上し、12月にエリアビジョンを策定する予定を考えております。
つぎに、「まちづくり」の2つ目ですが、職人商店街の実現に向けた実態調査に200万円を計上しております。かねてから申し上げているとおり、松江には伝統的、歴史的に、非常に良いものがたくさんあると思っております。例えば陶芸であったり、石材、和菓子、染物、織物、漆工芸、郷土料理などの職人の方が市内に今もたくさんいらっしゃるわけです。この職人の方が実際に作っておられるところが見ることができたら、とても楽しく、興味深く、またそれを体験することができれば、子どもも、旅行に来た方も非常に充実した時間が過ごせるのではと思っています。同時に、ここに生まれ育った方にとっては、こういった良いものに、手を触れ、また自分が実感することで、誇りや愛着を生み育てることができるのではないかと考えています。ただ、今、実際こういった店舗については、必ずしも職人さんが見えるところで作業されているわけではないですし、誰もがそれを自分で実感できる、体験できるという形にはなっていません。そしてまた、それぞれが点であって、線でつながっていないという状況です。今、松江市内の商店街に目を向けていただきますと、シャッターが下りていたり、あるいは、以前は建物が建っていたところが、駐車場になって、歯抜けの状態になっているところも多数見受けられます。残念ながらその回遊性があまり高い状態ではありません。例えば天神町、白潟町のあたりでは、毎月25日に市民の皆さまが中心となって、「おかげ天神」というのを開催されています。そういったにぎわいを取り戻すための幾つかの活動をうまくミックスさせながら、職人商店街という形で商店街の復活、あるいは市街地のにぎやかさを取り戻していく取組を進めていきたいと思っています。そのための歩みを進めるに当たって、まずは実態調査を行います。1つは、松江が置かれている商店街の現状がどうなっているか、空き店舗なり駐車場となっている箇所がどこで、どういった現状なのかを把握してまいります。2つ目は、先進都市、ここでは金沢を上げていますが、こういった伝統工芸だけではなくて、まちづくりあるいは観光で成功している事例がほかにも、例えば新潟県の燕市、飛弾高山の高山市などそういった取組が既になされているところがあると思っています。職人の方、ものづくりの方を起点として観光振興に取り組んでいらっしゃる先進事例を調査することで、松江における職人商店街の可能性について考えを深めてまいりたいと思っております。
最後に2号補正、21日から始まる市議会において、市長のほうで議会を通さずに補正予算を組んだものについてもご報告させていただく予定です。
私、普段スーツを着ているときは国連の17項目の17色のバッジをつけていますが、国連が定めている持続可能な開発目標というものを17項目わたって定めたものがあります。この17項の取組について、松江市としても積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
それでは、最後に、今回6月の補正予算ということで、私にとっては初めて予算を提案させていただきます。喫緊の課題として取り組むべきは、新型コロナウイルス感染症からまずは経済を回復させていく、そして市民生活の豊かさを取り戻していく、さらに発展につなげていくといったところが一番重要であると考えています。この期間は、例えば国際文化観光都市松江として本領が発揮できない時期ではありますが、ただ漫然と過ごすのではなくて、将来・未来に対する希望を持って計画を立て歩みを進め、充電期間として有意義に過ごすことができれば、松江の明るい未来はきっと導けるものと考えています。そのための取組として、目下のところの新型コロナウイルス感染症対策に加えて、早急に取り組むべき課題への対応ということでも予算を計上しております。市民の皆さまが明るい将来を感じて、未来に希望を持って、歩みを一緒に進めることができるように、松江市としても力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、皆さまのご理解を何とぞよろしくお願いいたします。私からは以上となります。
(共同通信社)ありがとうございました。幹事社から1点質問させていただきます。今回、パネルを使って説明をされましたが、狙いと目的などがあれば教えてください。
(上定市長)市民の皆さまに分かりやすく、私が考えていること、市役所が考えていることというのを知っていただきたいという思いから、私が今の時点で考える一番分かりやすい方法として、このようにさせていただきました。記者の皆さま、あるいは市民の皆さまからご意見をいただいて、こうしたらもっと分かりやすいのではということがあれば、ぜひお寄せいただけますと、また工夫、反映させていただきたいと思っています。
(共同通信社)それは、予算の概要などが市民の方にしっかりと伝わっていないのではという思いがあったからですか。
(上定市長)私が就任する前のことと何か比べてやっているということではないです。私が市民の一人として補正予算の内容について知りたなと思ったときに、どういう形だったら分かりやすいかということを考えて、今回の資料を作らせていただきました。
(山陰中央新報)全体の補正予算に関して伺います。個人的な感覚として、新型コロナウイルスの経済対策に重点を置きつつ、公約に掲げられたものの実現に向けて第一歩となる予算を組んであるという印象があります。予算編成の中でコロナと、ご自身が市長選で掲げられた多くの公約を全部行うことは難しいと思います。何か苦労された点があれば教えてください。
(上定市長)私の公約の中にもコロナ対策はもちろん入れておりましたので、厳密にこの2つが分かれるわけではないですし、もちろん地域経済活動をやる上では一体不可分なものなので、そういう考え方をして臨んでおります。また、6月21日の議会の初日で所信表明もさせていただきますが、今回、市民の皆さまからご負託を受けた4年の期間の中で、どういう形で公約の実現に向けて歩みを進めていくかという観点で捉えていまして、その中で、なかなか取り組むのに時間がかかるもの、まずは検討をしなければならないもの、予算を計上しなくても進捗するものもあります。いろいろある中で、今回は早急に取り組むべきであり、かつ予算措置が必要なものについてまず計上させていただいたという趣旨になります。喫緊の課題として新型コロナウイルス感染症対策、予算を計上していなくても打ち止めということは全くなくて、準備は粛々と進めていきたいと思っています。皆さまには事柄が進む節目節目のタイミングで内容を明らかにすることができると思っています。
(読売新聞)今回のパネルで掲げられたこの資料に関してですが、この作成に関しては上定市長からの意見がふんだんに取り入れられているんでしょうか。
(上定市長)はい、そうですね、事務方の皆さんにはかなり苦労をかけたと思いますが、一緒になって作りました。もちろん私が発案したものもありますし、職員から積極的に色々な提案を受けて、その中で一緒に形づくってきたものです。市長、職員が一体となって作ったものという自負を持っています。
(読売新聞)この資料は、市民の方がホームページ等からダウンロードできますか。
(上定市長)資料をホームページに掲載しますし、会見の様子はユーチューブで市民の皆さまがすぐに見ることができる形にしたいと思っております。
(読売新聞)コロナ対策の中にある中小企業及び個人事業者への給付金支給に関してですが、以前から6月補正で一歩踏み込んだ経済対策をとおっしゃられていましたが、それがこれと、プレミアム付飲食券ということでよろしいですか。
(上定市長)おっしゃるとおりです。以前から、国・島根県と足並みをそろえ連携を図りながら、かゆいところに手が届く形にしたいと思っておりました。今回、県のほうで、売上げが減少する飲食店に対する上限120万円の給付金を実施されますので、市のほうでは飲食店だけにとどまらずに、中小企業あるいは個人事業者の皆さまが苦しんでらっしゃる現状も把握しておりましたので、それに呼応するような形での給付金制度というのを設けさせていただきました。
(読売新聞)事業名は違いますが、昨年度も基本的に10万円配るような給付金の制度がありましてそれを受けてだと思いますが、これまでの市の給付金ではまだ足りない部分があるということですか。
(上定市長)昨年度は経営支援給付金というのを市として実施しましたが、もう一歩踏み込んだ支援が必要ということで今回計上しました。
(読売新聞)経営支援給付金を受け取った業者でも申請することは可能ですか。
(上定市長)いわゆる中小企業法に定める中小企業者等が広く対象となっています。
(読売新聞)市長が広報体制の強化に自ら乗り出されるという事業がありますが、市民向け情報番組の新設というのはケーブルテレビでそういう番組の枠を設けるということですか。
(上定市長)そうです。今も地域のケーブルテレビの番組で市が発信するコーナーはあります。それの頻度を増やすための予算を計上しておりまして、具体的にどういう形で、どういう枠にしていくかというのはこれから相談させていただきます。
(読売新聞)いつ頃からでしょうか。
(上定市長)予算としては9か月分を取っておりますので、一応7月からということで、調整がつき次第できるだけ早くと思っています。また、できるところからと思っておりまして、市民の皆さまも松江市の公式ユーチューブ、ツイッター、フェイスブックなどをまた見ていただければと思いますが、情報発信はある程度は進めています。その都度、特に私が何をやっているかだったり、市のほうから募集しているようなものついては、できるだけタイムリーに皆さまにお届けできるように工夫しています。ですから、7月まで市民の皆さまに待っていただく必要はなく、できるだけ市が今何をやっているかという事に関心を持っていただいて、例えば今日のプレゼンテーションのやり方などに、もっとこうしたら分かりやすいのにとか、そういった建設的なご意見を大募集していますので、それは今回の広報体制の強化にかかわらず、皆さまからお寄せいただければと思っています。
(読売新聞)番組名とか時間などについてもう決まっていますか。
(上定市長)今やっている番組もあるので、そのコーナーをどう広げていくかというところを今後考えてまいります。
(読売新聞)オンライン動画共有サービス等に投稿とありますが、これはユーチューブという理解でよろしいですか。
(上定市長)そうですね、松江市としてオンラインの動画サービスとして、ユーチューブを使っているということになります。
(読売新聞)現時点でも、関係部局や担当課のほうから、何かのPRの動画を松江の公式ユーチューブに上げることは既にされていて、中には再生回数が伸び悩んでいるものもあると思いますが、その辺りを市長はどうお考えですか。
(上定市長)松江市が情報発信をしているということが、まだ知られていないと思っています。有益な情報が発信されているとか、何か松江市が面白いことをやっているというようなことを、松江市民だけではなく、色々な方がフォロワーになっていただければ、拡散していくと思います。各自治体の規模とフォロワー数を比べたような記事が報道されていましたが、その数字を見ると松江市まだまだですので、まずは情報発信をしていく、そしてその内容が面白いと思っていただければフォロワー数が増えていくと思います。
(読売新聞)職人商店街の件ですが、調査検討の事業費として200万円というのは多いと思いますが、それだけこの事業に関しては力が入っているという理解でよろしいですか。
(上定市長)色々な先進事例を、インターネットや文献で調べることも必要ですが、実際に行ってみて、肌感覚といいますか、手触り感といいますか、ご苦労話も含めて聞いていかないと、なかなか実態に近づけない気がしているので、そのための予算ということで計上しております。エリアビジョンの話とも関連しますが、この商店街の再生が市街地のにぎわいを取り戻すための有効な手段になるのではないかと思っており、さらには市民の皆さんの誇り、愛着というものをもたらすと思っています。国際文化観光都市として今年で70周年を迎えた松江において、このコロナ禍で次の一手がなかなか見えない状況ですが、職人商店街がこの松江の魅力をさらに高めるものになるのではないかと仮説を立てており、それを検証していくに当たって、できるだけ早くスタートを切りたいと思っているところです。
(読売新聞)公約に掲げられていた中で、中学生までの医療費無料化がありましたが、今回の補正予算でそれを計上していないのは、何かお考えがあったのでしょうか。
(上定市長)先ほどお答えしたとおり、優先順位をつけておりますし、予算を計上していなくても、検討を進めていくことができるものもあるので、そのうちの一つだと考えていただければと思います。
(毎日新聞)ブルーカーボンオフセットと職人商店街についてですが、他の自治体もあまりやっていない面白い取組だと思いますが、どういうところから構想、着想を得られたのかをお伺いしたいのと、エリアビジョン策定のワークショップについてですが、このエリアの範囲に決められた理由と、ワークショップの参加者の規模を教えてください。
(上定市長)ブルーカーボンオフセットというのは、この松江の環境を生かしながら、地球温暖化等の環境問題に取り組んでいくために何ができるのかというような発想を、私も市の職員も以前から持っていました。カーボンオフセットの仕組みについても、政策投資銀行時代に、温暖化を防止なり是正していくための排出権取引の市場をつくれないかと考えていた頃があります。そういう発想自体はもともと持っていて、松江に何がなじむのかを考えたときに、この水資源というのを有効に活用して、環境にも優しい取組ができるのではないかというような話を担当部と一緒に積み上げていった中でこのブルーカーボンオフセットということに着眼しました。
職人商店街については公約で掲げていますが、数年前、私が久しぶりにこの実家のある松江に戻ってきて、商店街を歩いているときに感じた活気のなさですね、これをどう取り戻していくかを考えたときに、全く今まで松江になかった新しいもの持ってくるのではなく、何もない町だったらそうせざるを得ないと思いますが、松江には古くて良いものがたくさんあるので、それにいかに磨きをかけ、連続性を持たせ、回遊性を高め、町としてのにぎわいを生み育てていくかということを考えたときに、一つの着眼として、職人の皆さまがたくさんいらっしゃる、そういう方がものづくりを実際にしていらっしゃって、それを見ているだけではなく、それをまた自分で作ることができる、それこそ和菓子、お茶、勾玉、出雲そばなどたくさんあるので、それをうまく職人商店街という連鎖的なつながりを持っていくことで、まちづくりの新たなステージに入れるのではないかという思いで着想したものになります。
エリアビジョンのワークショップの具体的な構成人数などにはまだ考えが及んでいないというのが実情ですが、参加者の公募をするのと、若手の経営者や学生の皆さまなどを考えています。この間、あるテレビ局の企画で、松江にいる高校生と座談会をする機会があり、非常に斬新で、将来に対する希望なども含めて面白く、興味深いアイデアをたくさん持っていらっしゃるので、そういった方もエリアビジョンの策定に尽力していただきたいという思いを持っています。
(毎日新聞)職人商店街に近しいところでいうと、カラコロ工房や松江歴史館の中の「きはる」など和菓子の体験ができるところは幾つか思い浮かびますが、それを例えばエリアビジョンの中のL字の中につくっていくとか、連続性を持たせることで、さらに松江の観光都市としての魅力を高めていきたいというのは狙いとしてありますか。
(上定市長)おっしゃるとおりです。L字というのは、松江市が以前から持っている着眼点で、松江駅の周辺にショッピングセンターがあり、また松江城の周辺に市役所も含めて行政の拠点があって、それが逆に言うと二分されているような状態でして、それをつないでいるのが商店街やカラコロ工房であったりすると思います。このL字に松江の中心市街地を活性化する際に着眼するのは自然な発想だと思います。その中で、例えばスティックビルという中心市街地にあるビルの中で和菓子教室を時々やられたりしています。カラコロ工房でもそういう体験をイベントとしてやっていらっしゃると思います。ただ、常設に近い形でないといつ行っても楽しめるということにはならないと思いますし、一つのお店だけがやっていてそこに行列ができるのは長続きをする商店街全体のにぎわいには波及しないと思います。行政としては後押しをする立場だと思っていまして、アイデアを提供するとともに、民間事業者の皆さまが自分たちがこうやりたいという発想を持って、もうかるプロジェクトにならないと持続できないと思うので、そういった演出をしながら実際に職人としてものづくりをやっていらっしゃる店舗が、例えば職人さんが作っているところを見ることができ、市民の皆さまや旅行者の皆さまが気軽に入ってきて、一緒に作ることができるような形にするとか、行政だけではできませんので民間事業者の皆さまと一緒にそして後押しをするような形でつくっていけたらいいなと思っています。
(中国新聞)エリアビジョンについてですが、これは策定されたものが具体的にどのような生かされ方をするんでしょうか。
(上定市長)市民の皆さまの意見を聞きながらではありますが、まちづくりは一朝一夕にできるものではないですし、どのエリアにどういった機能を持たせる、あるいはどの時代背景に基づくまちづくりをするのか、そういったところを指し示すような地図になってくると思います。まずアウトラインを築いた上で、それにのっとった形でさきほどの職人商店街などを落とし込んでいくべきものだと思いますが、まちづくりを考える上での一つの地図を作っていくというのが目標となります。その中で、土地の買収だとか、建物の建造・誘致だとか、個別具体の事情によってかかる時間も異なるので、まちづくりには長い期間がどうしてもかかってしまうので、エリアビジョンを作る際にもどういうスケジュールで進めていくかについても考えていきたいと思っています。
(中国新聞)まちづくりの基礎となる部分を考えるというような認識ですか。
(上定市長)そのとおりです。
(中国新聞)コロナ対策の中小企業への給付に関してですが県との連携という話がありましたが、県が飲食店に上限120万円を給付しますが、それ以外の中小企業を編み目的に拾っていくということでしたが、それ以外に今後、県と連携をして行う取組とか市長の中でお考えがありましたら教えてください。
(上定市長)常に連携していきたいと思っており、今回のコロナ対策に係る措置だけではなくて、より広範に常に連携を図りながらやっていきたいと思っています。何かこの部分は県との連携ができないとかできているとか、そういうことではなく網羅的に、私も島根県民でもあり、松江市民でもありますので、市民目線で見たときにも県との連携というのは必須だと思いますし、同じところを重点化してもあまり意味がないのでむしろ役割分担であったり、そのバランスを取りながらやっていきたいと思っています。
(中国新聞)今回の中小企業への給付は、その役割分担に当たる感じですか。
(上定市長)そうですね、中小企業者あるいは個人事業者を幅広く見ていますので、バランスの取れたものになっていると感じていただけるのではと思っています。
(TSK)職人商店街についてですが、事例調査で金沢市などとありますが、ある程度モデルケースとしての金沢市を想定されているということですか。
(上定市長)それについてもこれからになります。金沢が実際に成功しておられますが、全国で一番いいモデルかどうかわかっているわけではないです。例えば金沢では観光客もコロナ前は増えていますけど、それが何による効果なのかという分析が必要だと思います。兼六園のすぐ前に21世紀美術館という近代的な美術館があり新しいものと古いものが融合している、一方で北陸新幹線で東京から近くなり、昔は駅前とお城のまわりが何か分断されているイメージで、駅のほうがあまりにぎわいがないというイメージだったのが随分変わってきています。駅前に鼓門という大きなオブジェができて、高校生もたくさん行くようなSNS映えするスポットになっているので、職人商店街ということ以外でも、町ににぎやかさを取り戻している好事例だと思います。今回はその職人商店街に一つはフォーカスを当てて、金沢が全体として見ると成功している事例に見えるので、どのパーツの組合せによって成功が図れているのかというのは見てみたいと思っています。
(TSK)市長が思い描いていらっしゃるプランに対して、商店主が総意で乗ってくるというのが望ましいと思いますが、ハード面、ソフト面で整備したとして、そういう主体となる商店主たちをその気にさせるための工夫が必要だと思いますがいかがですか。
(上定市長)それは民間企業、その事業者の人たちとこれからすり合わせていくことだと思います。こちらから何か押しつけるようなことは全く考えていなくて、行政は後押ししていく立場だと思います。ただ、色々なアイデアはもちろん出しますし、意見交換をさせていただく中で、行政としてすべきこと、してほしいこと、民間の事業者が事業をしやすい環境を整えていくということだと思います。あくまで主役は民間の事業者であり、実際にそれを利用する市民・旅行者だと思いますので、行政の役割というのは事業環境をいかにうまく整えていくかだと思っています。
(TSK)自死対策のところで、市長が今認識されている課題や対策について、デジタルサイネージでの啓発ということですが、長期的に見てこれだけではなかなか自殺を防止することは難しいと思いますが、その辺りの展望も併せて教えてください。
(上定市長)現状の分析としてですが、自殺死亡率という言い方しますが、人口10万人当たりの自死する人の割合というのが、松江市は全国平均を大分上回っているという状況にあります。ただ理由などについては分からない面が多く、解決に向けてどうしていったらいいのかというのが若干手探りの部分もあり、そのためにどういう取組ができるかというのを市役所内で議論をしました。相談をしたいけどできない人が多いとか、その窓口がどこにあるか分からないという声を聞くので、まずは啓発活動を行い、一人で悩みを抱え込まずに、その思いをシェアしてもらいその中で解決に導けるのではないかという展望を持って今回の予算を計上しました。色々な方の話を聞いて効果がある形の工夫を加えていこうと思っています。
(TSK)自死については全国的にもコロナ禍で増えているというような報道もありますが、松江市も同じような状況でしょうか。
(上定市長)増えていますし、全国と比べたときに人口当たりの自死を選択している人の割合が高いということにはなります。
(島根日日新聞)職人商店街についてですが、松江市はかんべの里にインキュベーション工房をこの前リニューアルして設けられていますし、地域おこし協力隊の方も今年から配置もされまして、職人の作品を売る店舗も新しくオープンされていますが、この施設と中心市街地の関係性について今のところでビジョンがあればお聞かせください。それと上定市長は国際感覚に非常に優れていらっしゃるということで、国際的にブルーカーボンオフセットの先行している国があれば教えていただければと思います。
(上定市長)職人商店街については、中心市街地のみならず色々なところでそういった動きはあると思います。さらにそれを外に売っていく際に、オンラインがいいのか6次産業化、地域商社など色々なことに職人商店街ということだけではなくて、地域的な広がりであったり、つくるところから売っていくところも含めて考えていきたいと思います。ただ、議論がどうしても散漫になってしまうので、職人ということに着眼してその方たちが活躍でき、疲弊している商店街をどう立て直していくかという、職人と商店街の掛け算の中で考えていきたいと思っています。例えばかんべの里で実際竹細工をしていらっしゃるような方に空き店舗に来ていただいて、そこで商品を作ったり売ったりしてもらうということも考えられると思います。インキュベーションとしての機能といいますか、スタートアップ支援のようなアプローチもしていくので、それと職人商店街の構想がマッチして、これから始める職人の方に商店街に入っていただくということも考えられると思っています。
ブルーカーボンの話は、海外で何か先んじて取り組んでいて、しかも参考になりそうなところを把握しているわけではないです。ただ、いろいろ勉強会のようなものを国土交通省が中心となって各地で開催されていて、横浜はブルーカーボン事業というのをやり始めていますし、福岡は福岡市博多湾ブルーカーボンオフセット制度というのを創設したりと、国内でもある程度進んでいるところはあります。
(島根日日新聞)私も職人商店街は一市民として非常に応援したいという印象をもっており、イメージとしては篠山市のようなものかなと思っております。
(上定市長)ありがとうございます。
(山陰中央新報)今日、島根県内で新型コロナウイルスの死者が初めて確認されました。ご所感を伺えますでしょうか。
(上定市長)とても残念なことだと思います。島根県は感染者もほかの県に比べ少なくとどまっていますし、それに加えて死亡者も出てなかったので、島根県だけが何か特別に死亡者が絶対出ないというわけではないのですが、実際そういった状況になったことは非常に残念だなと思います。では、我々に何ができるかというと、最初の「ま・つ・え・じょ・う」のように、日頃の心がけということになりますので、行政としては当然ワクチン接種の普及、浸透、促進に向けて、今後もさらに取り組んでいきたいと思っていますが、一方で市民の皆さまも、緊急事態宣言も20日までとなっていますし、気が緩むということも考えられるので、今後ワクチン接種が進み、最終的に終息していくプロセスの最中にありますので、そのためには行政と市民の皆さまの努力というのが必要だと思いますので、気を抜かずに取り組んでいただければと思っています。
(山陰中央新報)来週の24日で就任2か月ということになると思います。これまでを振り返ってみて、どのように感じていらっしゃるかを教えていただけますでしょうか。
(上定市長)イベントであったり、何かの総会であったり色々なところに時間の許す限り参加させていただいています。市民の皆さまと対話する機会をできるだけたくさん設けて、私もこの松江市の実情をできるだけ早くキャッチアップしたいという思いからでして、これは今後も続けていきたいと思っています。それともう一つは、皆さんとこうやってお話をさせていただく中で、非常に強いご期待を持っていただいていて、大変ありがたく、また大変うれしく思うと同時に身が引き締まる思いを日々感じているところです。もう少しで2か月ですが、市民の皆さまが色々と考えてらっしゃることを吸収し、その期待に応えていくために、今回の予算もそうですが、私自身が公約に掲げたことのみならず、皆さまからご要望があって、松江のために取り組んでいくべきと考え、議会等も含めて同意いただけたものを実行に移してまいりたいと考えています。先ほど市民の皆さまに届いていないと発信していないのと同じということを申し上げましたが、プランだけあって絵に描いた餅で終わるのではなくて、それを実行に移していくためにリーダーシップを発揮し、取り組んでいきたいという思いを強くしているところです。
(山陰中央新報)市民の方の声を聞けば聞くほど、自身の公約とその要望にも応えていくには、財政状況が豊かであれば全部できると思いますが、なかなか難しさもあると思いますが、どのようにお感じになられますか。
(上定市長)やはり優先順位をつけていくことは必要だと思いますし、説明責任があると思いますので、色々な事業の全てが潤沢な予算の下でよくなっていくというのが理想ではありますが、人口減少、少子高齢化等の難しい課題が山積する中で、全てを網羅的にというのは難しい面もあるので、優先順位をつけ、どうしても劣後になってしまうものについては、十分に説明を加えた上で、市民の皆さまに納得をいただいて進めていくということかと思っています。
(山陰中央新報)庁舎内で職員との関係づくりみたいなところで、ご自身で努力されているところとか、今、どういう関係性だという認識をお持ちなのか、教えていただけますか。
(上定市長)あまり努力とか苦労とかという感じではないです。みんなやる気を持って臨んでいますし、市民の皆さまの声に応えるべく進み出しているので、私が何かみんなのお尻に火つけて回っているとか、そういうことは一切なくて、一緒に考えながらやっているので、その関係づくりということであえて何かやっているわけではないです。私も市民の一人でもありますし、市役所の中で働く一人でもあるので、みんなと一緒に考えていくということだと思っているので、何か取り立てて努力とか苦労ということではないです。(山陰中央新報)まだ始まったばかりですけど、市議会との関係性みたいなところについてはどのようにお感じになられていますか。
(上定市長)来週から実際に始まり、私の所信表明からとなりますので、まず私がどういったことを考えているかということを皆さまに聞いていただいて、その上で活発な意見交換なり議論ができればと思っています。もちろん私よりも色々な経験重ねていらっしゃる方たちですので、ご意見を聞いた上で、もちろん今日の補正予算の案も含めてですけど、ご理解いただけるようにしたいと思っていますし、皆さまからの意見もいただいて、さらに、今の私が考えている案が実現に近づくように議員の皆さまと一緒にやっていきたいと思っています。
(山陰中央新報社)ブルーカーボンオフセットについてですが、令和3年度の事業内容に水域環境調査とありますが、これは市で調査をするのか委託するのか考えはありますか。
(上定市長)両方ですね。市で既に把握しているデータもありますし、専門的なところは市だけだと分かりづらいところもあるので、例えば生態系の調査とか、水草などの繁殖面積とかを想定しており、専門家の力を借りながら進めていくということになろうかと思います。
(山陰中央新報社)専門の方は市内とかにいらっしゃいますか。
(上定市長)それもこれからですが、松江のことをよく知っていらっしゃる方がいいと思いますし、それに加えて専門的な知識を持っていただいている方ということで選定していくことになるとは思います。
(山陰中央新報社)ブルーカーボンオフセット制度ですけど、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)がこういうシステムというか制度を持っている組合になるんですか。
(上定市長)CO2の吸収量の審査、認証の機関で、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所というところなどが組合員になっていて、事業内容がブルーカーボンの定量的な評価とか、我が国で初めてブルーカーボンに関する試験、研究を行うべくつくられた技術研究組合ということになります。そういったCO2の排出権の売買の仲介機能を持つことが一応想定されていて、今後そこまでの事業を本当にこのJBEがやることになるかどうかということも見極めていく必要があります。ですので、ここと取り組むということで契約を結んだりしているわけではなくて、そこが候補になり得るということであるとご理解ください。
(朝日新聞)数年ぶりに帰省されたときに、活気がないとお感じになられたということですが、具体的にどこの場所とはおっしゃりづらいと思いますが、そういった意識が今のアイデア、構想につながっているのでしょうか。
(上定市長)市長に就任してからテレビ局の方に見せていただいたビデオの中で、商店街が何十年か前はぼんぼりのようなものが道路の脇に立っていて、たくさんの人があふれていて、それが縁日とかではなく普段もかなり人通りがあるような映像でした。その頃の活気と考えると、今は駐車場化されているところが多いです。そうすると、縁日のようなイベントをやっても、参加している店舗が30メートル、50メートル先に、ぽつんぽつんという感じになってしまうと思います。そのお店には来るけど、次にじゃあ50メートル先のところに行く感じではなくそのお店に行ってすぐに帰ってしまい人の流れができていないというのを何年か前からずっと思っていたところです。例えば私が4年前から2年ほど政策投資銀行の松江事務所長としてこちらにいる間にも、その歯抜けの駐車場の面積が増えていっているような状態で、このままだと本当に駐車場商店街になってしまうという危惧はあります。それを方向転換するなら、今がそのチャンスというかピンチですけど、そのタイミングだろうなと思っています。これ以上いったら後戻りが難しくなるのではないかと、そういう思いでできるだけ早めにと思い計上した次第です。
(朝日新聞)職人商店街っていうのは市長のオリジナルの用語ですか。
(上定市長)私が職人商店街というワードはつくったつもりですので、ちょっとまた検索してみてください。もしも先に誰か発案されてもう形になっていたら、それはそれで参考にさせていただきます。登録商標申請はしていないですけど、一応私が考えたものだと思っています。
(朝日新聞)金沢の、例えば色々なエリアがありますが、どの辺りかっていうのが念頭にありますか。
(上定市長)これからになります。私も北陸新幹線の視察で3年ぐらい前に金沢に行っていますが、それ以後の動きは把握していないので、最近の状況などを見た上で、本当に参考になるかどうかも含めて検討を始めたいと思います。
(朝日新聞)職人が町中で働きぶりを見せるような町並みということでしょうか。
(上定市長)もともと順番としては、城下町でそこに殿様お抱えの職人がいて、その人たちが御用達で作っていたわけですが、民間の生活水準も上がることによって一般の人でも買えるようになって、にぎわいが生まれて城下町なり商店街が発達してきたという事例が日本の国内に幾つかあると思います。それが廃れていっているところも多いと思いますが、廃れないために何が必要なのか、にぎわいを取り戻すためにはどういうコンテンツで、何が、どういうアイデアが必要なのか。例えば商店街の誰が求心力となっているのか、そういった調査をしていきたいと思っています。
(朝日新聞)燕市とか高山市なども対象になると。
(上定市長)そうですね、日本全国の職人が集まるような工芸産地協会という団体があって、そこに入ってらっしゃる方はもう100年以上の歴史があり伝統工芸品を作って、いいお値段で売っていらっしゃるような方たちなんですね。その工芸産地協会の会合が飛騨高山で開催された際に出席していまして、そこで幾つか実際に見学させていただきましたし、そこで知り合った燕市の方に話を聞いたりしたこともあって、少し手触り感を感じているところです。
(毎日新聞)ブルーカーボンオフセットについてですが、市内だと色々な水域があると思いますが、具体的には宍道湖、堀川などどの辺りの調査を今後進めていく予定ですか。
(上定市長)おっしゃるとおり、湖・日本海・川、しかも全国的に珍しい汽水湖同士をつなぐ大橋川もあり、ほかのところと違った植生があるのではという思いもあります。面積を取ろうと思えば日本海に着眼するのも一つだと思いますし、実際どういった水草なりが自生していて、それを生かせるのかというところから調査したいと思っています。
(毎日新聞)今のところは湖も川も海も調査して、向いているところを探すということですか。
(上定市長)そのとおりです。
(山陰中央新報)ブルーカーボンオフセットですが、例えば夏になると毎年水草が問題になっていて、これを有効活用できないかと国交省と県と市が取り組まれています。そうした水草やあるいは海藻などがどれぐらいCO2を吸収しているかというのを測って、それに応じて民間企業に売るというようなイメージでしょうか。
(上定市長)そうしたいところではあります。堀川や宍道湖で夏場にちょっと生え過ぎといいますか、においの問題とか害がある面あり、その処分に費用や時間がかかるというのもあるので、この仕組みで解決できたらすばらしいと思います。ただ、今はまだその方程式が組めていなくて、ブルーカーボンというのは海藻が生い茂ることによって二酸化炭素を吸収するわけで、一方で生い茂った水草を取らないと景観が悪かったり船が進みにくかったりという状況なので、そこは矛盾していることになります。もっと何か効率的に二酸化炭素が吸収できる植物で異臭を放たなくて、そういうこと考えられるといいなという思いはあります。御指摘のとおり、何かを合わせて検討してそれが一つの解答になるとこれほどすばらしいことはないのでそういった角度で検討を進めたいと思っています。
(山陰中央新報)これから検討段階だと思いますが、どのぐらいの販売収益があるんでしょうか。
(上定市長)私が銀行時代に排出権取引の市場をつくろうということがあり、要は需要と供給だと思います。例えば何か海洋資源を使って海で仕事をされている企業の社会的責任などを考えたときに、自分たちがやっている主たる事業とブルーカーボンがマッチするので、陸上ではなくて海上に買い求めに行こうという人はいるのではないかという感じはしています。実際にこの取組に声を上げているところは大手の企業や、エネルギー企業だったりしますが、個別名称は避けますけど実際に買手として名前が聞こえてきているところはあります。大企業でたくさんのエネルギーを使用しているところは努力義務だけではなくて、環境省と経産省に報告義務もあります。まだ先ではありますが、そういったところに当たりをつけてある程度営業活動をして価格を見据えていくことになると思います。
(共同通信)以上で会見を終了いたします。ありがとうございました。
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更新日:2023年02月01日