市長定例記者会見(令和3年7月9日)
令和3年7月9日(金曜日)
(山陰中央新報)各社の皆さん、本日は、まず災害関係で市長から言葉をいただいた後に災害関係で質問を受け付け、その後、市長にその他のお話をしていただき、また質問を受け付けるという形で進めたいと思います。それでは、市長、よろしくお願いします。
(上定市長)では、冒頭に、7月6日から降り始めました大雨について、私から市民の皆さまにメッセージをお伝えさせていただきます。
今日7月9日の午前11時5分に島根県及び松江地方気象台による土砂災害警戒情報が解除されました。これに伴いまして、同時刻に松江市の全市域に対して出しておりました警戒レベル4、避難指示を解除いたしました。市民の皆さまが早くから避難行動を取っていただき、ご協力いただきましたおかげで、人的被害は1件も生じていない状況にございます。ただ一方で床上・床下浸水といった状況にあり家屋であったり、裏山が崩れているような被害については、こちらでも確認をしております。市民の皆さまでお困りの事がありましたら、松江市役所あるいは各支所のほうまでご相談いただければと思っております。今、避難指示は解除ということで警報あるいは警戒の情報というのは出しておりませんが、まだ梅雨の時期であります。もう終わりが近いと思いますが梅雨の終わりというのは梅雨前線が一定せずに、いつ雨が降り出すかというのが非常に分かりづらい状況になっています。市民の皆さまにおかれましては、今回のこういった大雨を一つの教訓、きっかけにして、気象情報にはご留意をいただくこととともに、もしまた雨が降り始めるというようなことがありましたら、ぜひ安全を確保するための行動に心がけていただきたいと思っております。以上が私からのメッセージでございます。
次にこの大雨に伴う被害状況について、少し御説明をさせていただきます。先ほど申し上げたとおり、人的被害はございませんでした。そして、住宅の被害、床上浸水が6棟、床下浸水が75棟となっております。住居ではない建物の被害というのが27棟ございました。その他の被害として、道路で166か所、のり面あるいは崖崩れというのが132か所、その他、河川や田畑が139か所、合計545件になります。今回は非常に短時間に大雨が降ったことが観測されております。松江市内において1時間で100ミリの降雨量を記録したということで被害の状況としては比較的大きいものだと認識しております。去年の同じ時期も梅雨前線が停滞することによる大雨が6月と7月と2回ほどありましたが、その際の被害の合計が54件と70件にとどまっていまので、それに比べると10倍の被害が出ていますが、幸いにも人的な被害はなかったということになであります。今回、私が就任してから初めてこういった防災・災害対応をさせていただきまして、その中で幾つか反省点がございます。それをまた是正し修正していくことによって、市民の皆さまの安全・安心をより確保するべく努力してまいりたいと思っております。
今回、ホームページあるいはSNS、記者の皆さまへの資料提供、また行政無線いわゆるラッパと言われるものですが、そういったものを通じて情報の発信をさせていただきました。その中で、一時、ホームページがアクセスしづらくなった時間がありました。これは、市民の皆さまがハザードマップを確認しようとしてアクセスが集中したということで、これは非常にありがたいことですが、その結果ホームページがつながりにくい状態になった時間帯がありました。これについては、サーバーを別に分けるなどして既に対応しておりまして、解消しております。ただ、今回たくさんの方がこうしたインターネットを経由して情報を見に来てくださったということもありましたので、この点に立脚して今後の対応を考えたいと思っております。それから、市の防災メールというのがあり、登録していただいている方にメールで防災情報をお届けするというものですが、この更新頻度がちょっと低くなってしまったところがありました。これは防災の部局員が限られた人員で優先課題から対応していた結果として、その頻度が少し低くなってしまったというところはありました。私もできるだけそれを補完すべく、SNS等を通じて情報共有はさせていただきましたが、この点も今後は対応してまいりたいと思っております。
それからもう一つ、避難区域の指定をしたときに、橋北、橋南という少し大ぐくりの表記であったことから分かりづらかったという意見もいただいております。今回、レベル4と八雲町の日吉地区のレベル5というのを出すにあたって、できるだけ前広に早い段階で皆さまに注意喚起が伝わるように、災害の激甚化、あるいは局地化が進んでいる状況において、できるだけ早く、そしてできるだけ広範にわたって注意喚起をさせていただくという方針でやっておりました。その際に、広めのエリアにおいて情報を発信するということでご理解をいただければと思いますが、今後は、これをもう少し精緻化、細分化できないかということを考えております。例えばいわゆる公民館の単位とか、そういった形で分かりやすく、そのほうが自分が住んでいるエリアが危険なので逃げなければいけないという注意喚起にもつながる面があるのではないかということも話しておりまして、その点を今回の経験を踏まえて改善してまいりたいと思っております。私からは以上です。
(山陰中央新報)先ほどの橋北、橋南の区域指定のことに関してですが、私は当日取材する中で市街地の橋北、橋南だと思っていたら、旧町村も含めて橋の北側全てと橋の南側全てという認識だったので、その辺の表記に関して、これから公民館単位で表記するなどを検討していかれるということですか。
(上定市長)おっしゃるとおりです。今回も途中から全市域という言葉も使いましたが、細分化するとともに、分かりやすく発信していくことが必要だという認識を持っています。
(山陰中央新報)レベル4の解除時期に関してですが、土砂災害警戒情報が解除されたということだと思いますが、教育委員会がレベル4以上は休校措置を取るということで、今朝も休校の連絡が来たと思います。働いている保護者などは、この雨だったら行けるのではと思われた方もおられると思います。解除時期に関して、今回どのように感じられて、今後生かしていくべき点はありますか。
(上定市長)お子さんを抱えておられる親御さんにしてみると、学校に行けるのかどうかというところがその日の生活にもいろいろ関わってくると思いますので、ご指摘のとおりだと思います。今回の判断としましては、静岡の熱海の事例でもありましたが、表面的には雨がやんでいて、嵐は過ぎ去ったと思っても、長時間あるいは短期間に集中して雨が降った場合に、土砂がかなりの水分を吸収し、含水率が高いという状況が起こっております。特に、降雨が激甚化、局地化していて、雨がやんだからといって、すぐに避難の指示を緩めることができなかったというのが実際のところです。島根県あるいは松江地方気象台と連携を取りながらやっており、今回、気象台のほうの土砂災害の警戒レベルというのを見ながら、それに合わせる形でレベル4の回解除という判断をさせていただきました。今後も気象台等と連携を取りながらと思っておりますので、大きく変えることにはならないかもしれませんが、そういった声もお聞かせいただきながら、改善できるところがないかということは探ってまいりたいと思っております。
(NHK)災害時の情報提供についてですが、自治体の規模と位置が比較的近い出雲市でいうと、雨の降り始めのところから被害状況などの情報発信というのを多く行っていたと思います。一方、私どもの印象ではありますが、特に降り始めのところでの被害状況等の情報提供というのが夕方の災対本部の会議までなかなか出づらかった状況があると思います。先ほどの人員に限りがあるというのはもっともだと思いますが、この情報発信という意味でどういうふうに生かしていかれるでしょうか。
(上定市長)松江市として、集めることができた情報は速やかに発信していくというスタンスは、今もそうですし、今後も変わりません。できるだけ市民の皆さまに共有をさせていただくことは心がけていますが、どうしても優先順位をつけた中で、情報が集まり切れていなくて、お届けできなかったというところはあろうかと思います。ただ、必要な情報を市民の皆さまに、安心していただくため、あるいは災害状況を客観的に見ていただいて、避難の行動を早めていただくということも含めて、情報提供は速やかに今後も行ってまいりたいと思っております。
(TSK)今回レベル4の避難指示を解除したということで、週明けの市内の小・中学校などに関してはどうなりますか。
(上定市長)このままで推移しましたら、特に避難指示を出してない状況ですので、学校が通常どおりあるということを想定しています。くれぐれもですが、この週末も大雨が降る可能性もありますので、災害に対する備えというのは常に行っておいていただければと思っています。
(TSK)今回、5月から警戒レベルの運用が変わりまして、レベル4でもう全て避難指示となっていますか、以前は避難指示と避難勧告とが分かれていて、これはもしもの状況ですが、昨日の時点で避難勧告とかに運用を下げて、学校を再開するなどの判断は、市長としてあり得たのでしょうか。
(上定市長)私としては、避難勧告ではなくて避難指示という分かりやすい表記になったことで、市民の皆さまの混乱を抑えることができたのではないかと思います。レベル3というのは高齢者等避難ということになりますので、誰が避難するのかが明確になりますし、避難を勧めるけど、あとはお任せしますというよりは、避難をしてください、ただ自分がいるところが安全な状況にあるのであれば、それは避難する必要がないというのが避難指示ですので、今回できるだけ分かりやすくお伝えしたつもりではありますが、避難指示という意味についても今後もしっかりと皆さまに届くように、具体的に例示なども出しながら、避難を促していくことが必要だと感じています。今回、そういう意味では、新しいレベルの区分けになったことによって、より分かりやすかった面のほうが多いのではないかと思っております。
(島根日日新聞)現時点では、避難者の方はいらっしゃらないということですか。
(上定市長)1時の時点で2名の方が避難していらっしゃいました。一番多いときには21の避難所で300人を超える方が避難されていましたが、先ほど1時の時点で2名になりましたので、個別の事情もお聞きした上で、2時の時点で避難所を閉める予定にしております。。
(島根日日新聞)情報の集約に関してですが、防災部のほうから少し話は聞いていますが、各部から上がってくる情報について、防災部で指定しているフォーマットには町名の記載がないようなところがあったと聞いております。その辺り、連絡体制の再構築が必要かと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(上定市長)おっしゃるとおりだと思います。必要な情報が正確に上がってこないと意味がないので、そこをいかに速やかに上げるかということについては、これから庁内で徹底していきたいと思っています。
(朝日新聞)被害件数が545件で、これは昨年の10倍とのことですが、昨年のいつと比べて10倍ですか。
(上定市長)昨年、2回大雨が降ったときがあります。6月13日から14日のときの被害件数が54件。7月13日から14日にも大雨が降っていまして、そのときが70件でした。ですので、それに比べると随分大きな被害が今回あったと考えています。
(朝日新聞)これは自然災害の激甚化とか局地化が進んでいるとおっしゃっていますが、そういう認識がやはり当てはまるということですか。
(上定市長)そうですね、大きく言うと気候変動とか、そういうことも要因にはっていると思いますが、結果として、これは松江にかかわらず、熱海ももちろんそうですし、広島の三原の例などを見ると、未曽有のという言葉もよく使われていますけど、前例にとらわれているとなかなか避難行動が遅れがちだなという印象を強く持っています。今後もやはりそこは気をつけて、前回はこのレベルで収まったから安心していいいう考えは持たないほうがいいと私も強く実感しているところです。
(朝日新聞)早め早めの判断を心がけたとおっしゃいましたが、その辺の認識があったからですか。
(上定市長)そうですね。おっしゃるとおりです。
(毎日新聞)質問ではなくてお願いですが、7日の夕方、災害対策本部が終わった後に、床下浸水、床上浸水の件数は書かれていましたが、詳細な場所と具体的な被害の状況が見えづらかったので、担当課にもう少し詳しい資料の提供をお願いしたところ、作成中でその日のうちに配布すると言っていただいたんですが、その日のうちに来なくて、結局いただけませんでした。お忙しいのは重々承知していますし、被害対応が最優先になるのも理解していますので、できないことはできないと言っていただきたいというのが今回を通してのお願いです。
(上定市長)分かりました。
(毎日新聞)昨日、県が7日付で出雲市と松江市に災害救助法を適用したというお知らせがありました。松江市として、この救助法を適用する狙いとか、こういうふうに市民に使ってもらえたらなということがあったら教えていただきたいです。
(上定市長)県から内閣府のほうに申請を出していただきまして、災害救助法の適用はできるということで連絡をいただいています。市民の方にとってみると、例えば住宅が全壊したときに、それを復旧するための費用などが対象となります。今回は、幸いにも全壊のような事例はないので、市民の皆さまにとって直接何か災害救助法の適用がということはないですが、市としては例えば避難所を設置するときの費用、応急仮設住宅の設置などになります。この災害救助法の適用を受けたことによって、市の負担が少なくて済むということもあると思います。今後、適用することによって市民の皆さまにメリットがあるようなものについては、こういう制度があるということを情報提供し、対応させていただきます。実際に被災者の方にどのような支援ができるかについては、災害救助法の適用を踏まえて、本日の3時から関係部局が集まりまして、現状の被害状況、被災者の方の状況や要望を。島根町の火災のときに倣うような形で、例えば臨時にワンストップ窓口を設けるとか、そういったことも含めて検討していきたいと思っています。
(山陰放送)今回、ハザードマップのサイトにアクセスが集中して、サーバーのメンテナンスをされたということでしたが、裏を返せば、災害が起きた時点で自分たちの地域のハザードマップの状況を理解してないという現状もあると思います。今後、それについての対応というのは考えておられますか。
(上定市長)ハザードマップはまさに自分が住んでいる地域の危険度をはかる非常に重要なものですので、今後も喚起をしていきたいと思います。市としてもこれだけアクセスをいただけるということが分かっていなかったというところも反省すべきだと思いますので、周知も含めて対応してまいりたいと思っております。
(山陰中央新報)その他についてお願いします。
(上定市長)それでは次に、ワクチン接種の話をさせていただきます。これは以前にも記者の皆様にはお伝えしていることになりますが、お話しさせていただきます。まず、今回の大雨の関係で一つお伝えしますと、水曜日、7月7日水曜日は午前中にくにびきメッセで集団接種が予定されておりましたが、接種予定の方に連絡をし、一旦キャンセルをさせていただきました。その後、別の集団接種の会場を割り当ましたので大きな混乱は生じておりません。また、本日、7月9日に12歳以上64歳以下の市民の皆さまに新型コロナウイルスのワクチン接種券、これを一斉に郵送させていただきます。7月14日水曜日頃までにはお手元に届く予定です。今回、前にも少しご説明をしましたが、分散化を図るために、予約のタイミングを3段階に分けさせていただいています。接種券の到着日以降、予約を開始していただける方は基礎疾患のある方、高齢者施設等の従事者、そして60歳以上の方となります。2番目に40歳から59歳の方が8月2日からの予約が可能になります。そして次が12歳から39歳までの方で、8月10日からの予約が可能になるということにしておりますので、ご協力のほうをよろしくお願いいたします。集団接種の場合には、ウェブサイトあるいはコールセンターからの予約、個別の接種については、病院に直接お尋ねをいただくということになっています。一日も早く市民の皆さんにワクチン接種が浸透しまして、平穏な日常が取り戻せるというのが一番重要であると思っております。今回、松江市の医師会の協力を得まして、高校あるいは専門学校の生徒に対してと、産業医契約をしている事業所の従業員の接種を行える機会を増やすということによって、できるだけ早くワクチン接種の完了を目指していきたいと思います。これまでも度々申し上げていることですが、ワクチン接種自体は強制ではありませんので、接種によって感染症予防という効果はあります。そしてまた副反応のリスクというのもあります。その双方を理解した上で、自らの意思によって接種をいただくというものになります。接種を希望されない方、あるいは病気、アレルギー等があって接種をできない方に対して、接種の強要や差別的な扱い、偏見などが生じないように、市民の皆さまのご理解、ご協力を何とぞよろしくお願いいたします。
最後に今朝の8時半時点の高齢者の方の接種状況は、1回目が終わられた方が62.2%、2回目が終わられた方が40.6%となっておりまして、順調に進捗しております。。
続きまして、松江城のシンポジウムというのをこの11日日曜日の午後に開催することにしております。これは、松江城が国宝化されて去年で5周年となり本当は昨年やりたかったのですが、コロナの状況で1年繰り延べられて、6周年で開催ということになりました。一方で、国際文化観光都市の70年という節目でもありますので、今回、来賓の方にもオンラインで参加いただくということで準備を進めてまいりました。松江城とそのほかの松本城、犬山城、姫路城、彦根城と近代城郭群の5つの城での世界文化遺産登録というのを目指していきたいと思っているところです。今回、松本市長、犬山市長にもオンラインでご参加いただきシンポジウムは開催します。参加者は事前にご登録いただいておりますので、当日、県民会館に来ていただいても入ることはできませんが、地元のケーブルテレビで放送したり、後日動画を市のユーチューブチャンネルに上げる予定ですので、ぜひ見ていただきたいと思います。今日は私も松江城のポロシャツを着ておりまして、松江城シンポジウムのお知らせでございました。
それから、最後になりますが、少し耳慣れない言葉だと思いますが、「MATSUE起業エコシステム」についての検討を始めているというご報告です。実は昨日初めて会合を開きまして、よく私が産学官金という言い方をしていますが、官は行政として、それ以外の例えば金、金融機関の方であったり、学、大学の方であったり、そして企業、民間の企業というのが産に当たりますが、これらの方が商工会議所等に集まっていただきまして、エコシステムというのを松江でつくれないかという調査を始めたところです。このエコシステムといいますのは、分かりにくいかもしれませんが、ビジネス生態系という言い方をします。ここに、真ん中にエコシステムというのがあって、生態系というのは、弱肉強食ではないですが、サイクルを回していくことによって、新しい事業や産業を生み出す仕組みを松江においてつくれないかという発想で、右上のほうにありますが、エコシステムの中核というところから吹き出しが出ていて、新しい事業を起こそうと考えていらっしゃる、片仮名ではベンチャー企業という言い方もしますが、新規の起業家の方であったり、あるいは地元の企業、それから松江市、経済団体、金融機関、メディア等々、いわゆる産官学金の連携によって、新たな事業に育てるためのサイクルというのをつくることができないかという検討を行うものです。アメリカの西海岸にシリコンバレーというのがあり、そこにはスタンフォード大学や、GAFAという、グーグル・アップル・フェイスブックというような昔はベンチャー企業だったところが今は大きくなった、まさに世界をリードするような会社があります。そこでは、例えば大学生など若い人がアイデアを持っていて、それを周りの方の支援によってアイデアを事業にして、その事業に、投資をするような人を集めて、その事業がうまく軌道に乗ってくれば、大企業とも連携しながら事業を産業につなげていくという取り組みが、実際サイクルにもなっています。日本でなかなかそれに成功して大きくなっている都市があるわけではないですが、そういった姿を目指せないかなと思っておりまして、そのための検討を今始めたところです。今後、この取り組みのまずは検討を進めていき、今まさに声をかけている方にそのエコシステムの参加者になっていただいて、事業をうまく起こすための仕組みが出てきて、またその連鎖が広がり、雪だるま方式で産業が根づいていくようなことになれば、それが人口減少対策にもなりますし、定住対策にもなります。ここで生まれ育った若い方が松江で新しいことをしたい、私がよく言っております「夢を実現できる松江、市民が誇れる松江」になってくるのではないかと思っております。また色々なイベントを計画したり、ある程度形になったところでご報告をさせていただきたいと思います。私からは以上です。
(NHK)MATSUEエコシステムの件で、検討を始めたということですが、例えば地元の金融機関などからもメンバーを招聘されているんでしょうか。
(上定市長)具体的に地方銀行の方やベンチャーキャピタルの方、信用金庫の方に参加をいただいております。実は昨日第1回を公開で開催しておりまたので、名簿等もお渡しできると思います。
(NHK)ほかに声をかけている方がいらっしゃいますか。
(上定市長)大学と、あと商工会議所ですね。政府系の金融機関にも声をかけています。第1回に入っていただいた方限定ではなくて、今日のお話をお聞きになって自分もぜひメンバーに加わってみたいという話があれば、前向きに検討したいと思っています。
(NHK)まだこれは検討段階なので、スケジュールなども分からないと思いますが、例えばそういった起業家を育てる第一弾のようなものが始まる時期などは想定されていますか。
(上定市長)そうですね、今のところはそのための検討を始めよう思っています。検討を始めるためには、有識者の方の意見を聞きながら、それを具体化していくとのが重要だという話を昨日しております。あと何回かは勉強会的なものをやり、仮説のようなものを立てて、それに合わせて実行時期やスケジュールなどを組み立てていくということで、今後検討していきたいと思っています。
(島根日日新聞)商工会議所も入るということですが、商工会議所でもこのエコシステムについてかなり先行しているのではと思っていまして、経洗塾とかやられていますが、その辺りを昇華させていくというイメージでよろしいですか。
(上定市長)おっしゃるとおりですね。経洗塾の話も昨日、商工会の方からありました。いわゆるベンチャー支援といったときに、新しいアイデアを持っている人がいて、その人が一人で大きくなっていくと地域に根づかないと思います。地域の企業と一緒になってそれを育てていくという伴走方式というのがとても重要だと思っていまして、最初の段階から商工会議所あるいは商工会議所のメンバーとなっている地元の企業にも参画していただき、実際事業がうまくいく場面ばかりでないと思うので、アドバイスをもらえるような関係をつくっておきたいという私の思いがありまして、商工会にも入っていただいて、今まで実際に若手のベンチャーの勉強会などをされていますので、その経験をうまく還元していただいてつくっていきたいと思います。
(島根日日新聞)先ほど参画しているところでメガバンクは入っていなかったですが、そういうところも入ってきますか。
(上定市長)メガバンクが入ってくることもあり得ると思います。私も銀行員をやっていましたので、東京のベンチャーキャピタルとか、東京において実績がある金融機関の知り合いもいますので、そういったところにも、これはメンバーに入ってもらうのか、勉強会の先生として来てもらうのかというのはまだ決めていませんが、声かけまして、色々な刺激をもらい、先進事例や成功事例なども聞いていきたいと思っています。
(山陰中央新報)例えば僕が何かの起業をしたいとなったとき、どういう段階を踏んで起業につながっていくのかを教えていただきたいのと、産官学金で松江市が音頭を取って新しい組織を立ち上げるお考えがありますか。
(上定市長)まだ正式は決まっていませんが、私がシリコンバレーで見てきた事例というのは、スタンフォード大学のような大学では起業家精神、いわゆるアントレプレナーシップを教えている先生がおられて、今回も島根大学からはそういう先生に参画をいただきますが、グーグルのような成功したベンチャー企業の方も先生となってやってきます。その人が自分は学生時代にこういうことを考えていて、今こういうことを果たしているんだという刺激的な話を学生に向かってされるわけです。そうすると学生がすごく意欲的になって、刺激を受けて、じゃあ自分はサラリーマンになるのではなくて、もう世界を変えてやるんだ、チェンジ・ザ・ワールドだと思うわけです。プラットフォーマーという言葉は昔はなかったですけど、今はまさにSNSをやっているような企業が社会の仕組み自体を変えてしまっています。そういう人になりたいと思って手を挙げるんですけど、その手を挙げたことに対して、支援をしようと思うスタンフォード大学の先輩がいたり、既にもう起業していて、一代をなしている人が資金の運用という観点で投資先を探していたりします。また、新しい会社をつくる場合、特にベンチャーだと知的所有権のような問題もあるので、それを支えるための、公認会計士、税理士、弁理士、弁護士、こういったいわゆる士業の方というのが非常に重要となります。そういった方も今となってはシリコンバレーに一流の方が集まっていて、そうすると、周りの人から紹介を受けて、一流の人からのサポートをもらって事業が形になっていくことになります。これは実際に必然性があり、仮にうまくいかなかったとしても、周りの人がアドバイスをくれるので、それによって、プランAが駄目だったらプランBでいこうということで、結果的にうまくいくというサイクルが出来上がっています。役者がそろっていないと、駄目だったということで終わってしまうと思いますが、周りの人に支えてもらえる仕組みが出来上がっていて、それは別に株式会社形態で、同じ会社の中でやっているわけではなくて、ある種コミュニティーとして機能を持っていたりします。ですので、それを一つのどういう組織にしていくか、組織にする必要があるのか、それともあくまでコミュニティーとして松江市内に点在していてよいのか、それとも、よくインキュベーション施設とか言われますけど、インキュベートとは「ふ化」するという意味ですが、そのインキュベーションのための施設を設けたほうがいいのかなど、色々なパターンがあると思うのでそれを考えていきたいと思っています。仮に起業したいときにどこに行けばいいかという事になると、金融機関を尋ねいただいて、日本政策金融公庫さんがそういった創業支援として、資金調達や資金計画をつくるなどのサポートはしていただけると思います。ただ、金融機関の目線で事業計画を精査するということだけではなくて、色々なところからの、例えばネットワークを持ってくるとか、あなたとこの人をつなげたら新しいものができるのではと、掛け算というか、1足す1が3になるというか、何かケミストリーが生まれるようなことを紹介してコーディネートするような役割がとても重要だと思うので、お金は必要なので金融機関も尋ねていただく必要がありますが、色々な人が様々な役回りで、みんながウィン・ウィンになる形というのをどう演出していくかということだと思うので、そういった意見を今回招聘した方々に聞きながら形をつくり上げていきたいと思っています。
(山陰中央新報)ここで示されているサイクルというのは、今後の検討の中では形が変わっていく可能性もありますか。
(上定市長)そうですね、色々なサイクルがあり得ると思います。これは下のほうに市と教育機関と経済団体などありますけど、起業家のまず教育を、学生の皆さんに教育をしていくとか、インターンの機会を提供するとか、それによって地域に貢献していくというのをサイクルで回していくようなイメージになります。ですので、どういうエコシステム、どういうサイクルがいいのかというのは、多分決まった答えはなくて、その地域によっても変わってくると思うので、例えばですけど、松江にはRubyというプログラム言語があり、これは世界的に見ても非常にすばらしいコンテンツと言えます。そういった着眼点で例えばRubyに関係する方を集めるのがいいのか、別のやり方があるのかというのも地域性も含めて考えていきたいと思っています。
(山陰中央新報)今回、検討段階で出されているということは、その検討段階から市民に発信をして意見を聞いて形をつくっていこうということですか。
(上定市長)おっしゃるとおりです。このコミュニティーに入っていただきたいと思っていますし、例えば学生の皆さんなどは将来的に自分のアイデアを形にしていきたいと思ってもらいやすくなるというか、できれば具体的な成功案件をつくっていきたいと思っていまして、それを共有することによって、自分でもできるのではと意欲を持ってもらいたいです。若い方は特に色々なアイデアを持っていらっしゃると思うので、それを島根でできるか、松江でできるかといったら、そのような事例がないので、思考停止になってしまうと思います。そうではなくて優れた事例が松江にもあるということをまずは形にして示していきたいというところで、今回もこのタイミングで少しお話をさせていただいているところです。
(山陰中央新報)新しく起業するところと、新しい事業を展開したいところ、この2つを支援するという感じですか。
(上定市長)そのとおりですね。よく大企業だと、コーポレートベンチャーキャピタルという言葉があって、CVCと言いますが、会社の中で自分の会社の本業とは違う別の部門を立ち上げ、そこをまた会社として支援していく。別の形もあって、新しい事業をやりたいけど、別に中でする必要はなくて、外の会社を買ってくる、M&Aするというようなやり方もあると思います。一つの事業のやり方にこだわらず、例えば新規起業家だけではなく、第二創業者といいますが、今やっている事業があるけど、別の事業を起こすとか、新たな展開をするためにM&Aをするとか、あと、例えば、昨日もちょっと議論がありましたが、今実際事業をやっている人が自分の息子はもう東京で一流企業に勤めていて戻ってきそうにもないが、その事業は潜在性があり、今後も伸びていくかもしれず、その事業を立て直すなり再構築するなり、いわゆる事業承継というのを誰かやってくれないかというような話もあり得ると思います。ですから実際は一つの業種・業態とか、一つのプロジェクトということに限らず、色々なアイデアがあると思うので、それを全体として支援していくスキームになるのか、それとも例えば事業承継であれば、東京には事業承継を専門に扱っている投資ファンドなどもあるので、そこが一旦株式を買い取って次の世代にまた渡すためにちょっとバリューアップを図るような、そういった取り組みをやっているところもあるので、そういうのを分けたほうがいいのかということも含めて考えていきたいと思っています。
(山陰中央新報)それでは、本日は終わりたいと思います。ありがとうございました。
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更新日:2023年02月01日