松江城を守るための樹木伐採

更新日:2023年02月02日

  昨年の9月22日に樹木伐採を進めるということをお知らせして以降にいただいたご意見について、市の考え方をまとめたものを既に松江市のホームページに掲載していますが、ご紹介させていただきます。
  松江城にある樹木のうちの49本を伐採するという方向を打ち出しています。主に2つ要因があり、1つは、防火です。国宝松江城天守に延焼する危険性、可能性のある木を伐採する必要があるということ。もう1つは、松江城全体として見たときに、大木が根を張って石垣を壊しているという状況があり、松江城を長く守り、そして次世代に引き継いでいくためには今回の伐採はやむを得ないものということで取り組んでおります。
  いただいたご意見ですが、まず最初が、「築城時の景観を見たい」。城下から天守を望むことができないのは寂しい、天守が見えるように樹木の整理を進めて欲しいといった意見です。市の考え方としては、松江城天守を城下から望むことができるように、自然環境豊かな景観とのバランスを図りながら樹木整理を含めた「魅力ある松江城」の整備に取り組んで参ります。現在は松江城が隠れている状態ですが、伐採後はきれいに見えることになります。お城というのは、基地であり、攻めるのを防御するために、お城の側から見たときの見晴らしのよさというのが必要になりますので、築城当時の景観というのは木がない形で見晴らしがよかったものと考えられます。その景観を取り戻すということが今回の一つの趣旨にもなり得ると考えています。
  2つ目が、「現在の樹木のある景観が松江城にとっては大事」。緑と水が松江らしい、樹木自体が松江城にとって大切な景観を創出しているという意見です。市の考え方は、今回の伐採は天守を火災から守り、石垣を保護し、将来に継承するために必要と考えています。また、伐採の範囲は必要最小限にしています。伐採の対象は49本、樹木の総数の1.5%、対象面積で見ますと約3,000平米、1.8%です。
  3つ目が、「伐採以外にも防火対策が必要」。防火施設の一層の拡充と充実、城内の電気施設の保守点検など、他にやるべきことがあるのではないかといった意見です。市の考えは、防火対策は非常に重要と認識しています。令和5年度から6年度にかけ、消防機器を最新のものに更新し、拡充します。電気設備の保守点検は、毎年2回、定期的に実施し、今後も継続して行います。実際に火事が起こったときにも備え、「松江城自衛消防隊」を組織し、毎年放水訓練を実施するなど体制を整えています。
  4つ目、「伐採が石垣や生態系に悪影響を及ぼすのではないか」。地震時に石垣が崩落するなど、色々な災害を引き起こす可能性があるのでは、また、生態系も視野に入れた防災計画にしてほしいといった意見です。市の考えは、熊本で平成28年に非常に大きな地震がありました。このときに大きな被害が発生した箇所というのが、明治以降に修理された石垣が中心だったという分析結果が出ております。樹木伐採との因果関係は必ずしも明らかになっておりません。松江城周辺について、動植物の専門家による現地調査をした結果、今回の対象地におきまして、貴重な動植物というのはなく、生態系に与える影響はないということは確認しています。
  これらを踏まえ、今後の取り組みとして、いただいたご意見に対する回答は、既にホームページに掲載しています。松江城の保存活用の取り組みについて、これ、松江城Web講座「松江城を守り活かす-文化財の保存活用と天守の防火対策-」ということで動画配信も行っています。さらに、伐採した樹木の有効活用のアイデアを募集します。伐採木を有効活用して松江城をPRしていこうというものです。今回対象となるのは、幹の直径が比較的大きくて再利用が可能と思われる14本です。例えば公園用のベンチ、サイン材、バッジなどの記念品などが考えられるのではないかと思っています。この14本以外も、バイオマスチップあるいはパルプなど有効に活用していきたいと考えています。ぜひご応募いただければと思っています。
  この1月末から3月末にかけて樹木伐採を行います。その際には、一部、園路で通行制限が必要となりますので、日時や迂回路については別途お知らせいたします。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

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