令和5年度当初予算

更新日:2023年03月01日

令和5年度の当初予算の考え方は、現在の、コロナ、そして国際情勢等に基づく物価の高騰というのが続いている状況から脱却して新しいチャレンジをしていくと年にしていきたいと思っています。令和5年度は、令和4年3月に策定した松江市の総合計画、「MATSUE DREAMS 2030」の実践2年目となりますので、果敢にチャレンジしていく年にしていきたいと考えています。

一般会計の歳出の金額の合計は1,035億2,000万円となっています。今年度の当初予算と比べた増減率で見ると、全体としては0.1%の減少、令和4年度当初予算とほぼ同じ水準ということになります。令和4年度当初予算が、過去最大の水準で、これを若干下回るものの、ほぼ横ばいという数字になっています。

当初予算のポイントを5つ掲げています。1つ目が新型コロナウイルス感染症対策、2つ目が人口減少対策及び地方創生の推進、3つ目が5月にオープンする新庁舎に併せたデジタル化の促進、4つ目がSDGsの達成に向けた取り組みの推進、5つ目がエネルギー価格の高騰に伴う経費増への対応です。

主要事業として、新型コロナウイルス感染症対策のほか、松江市総合計画「MATSUE DREAMS 2030」の5つの柱ごとにまとめています。

「感染症の拡大防止と医療体制の整備」として、医療体制の整備、衛生用品の購入、事業の分散実施、その他の4項目を掲げています。

5つの柱の1つめ、「しごとづくり」です。

トップセールスによる海外との産業連携の推進として、重点的に取り組むべき国、地域を3つ掲げています。1つ目がインドです。インドは、山陰インド協会という民間の組織がインドとの交流を長く続けられていましたが、コロナ禍で停滞している状況です。海外との渡航、往来も復活しつつありますので、インドとの関係を再構築してまいります。次に、米国、とりわけシリコンバレーについては、先般1月31日にMATSUE起業エコシステムコンソーシアムという起業・創業を支援するためのサイクルを立ち上げました。このエコシステムの1つの特徴として、米国・シリコンバレーとのつながりを持つということを念頭に置いておりますので、そのための方策を検討します。最後に、台湾です。台湾とはボタンをご縁に、2014年に提携関係を結び、その後、昨年の10月20日に中海・宍道湖・大山圏域の5市に、その提携関係を広げる形で協定を結んでいます。私も1月、2月と台湾に行きましたが、今後、物産、観光、あるいは産業分野等での連携を深めてまいります。

「しごとづくり」の2つ目、職人商店街の実現に向けた着実な取り組みです。昨年度来、職人商店街構想の実現に向けて進めていますが、中心市街地に多彩な伝統工芸が集まる職人商店街の創出を引き続き目指します。既存店舗のリノベーション支援は今年度も取り組んでおり、老舗の和菓子店、彩雲堂さんと風流堂さんは3月に改修工事が終了する予定です。その取り組みを継続し、拠点施設の整備、例えば、物づくり工房とショップとカフェの複合施設を整備する際の事業費、あるいは、既存の施設の改修費を支援します。また、2月11日は出雲そばの日でございまして、松江松平そばの披露もございました。そば打ちも体験できるそば屋など、見える化と体験化を図っていくというのが職人商店街のコンセプトでございますので、こうした既存施設の改修というのを後押ししてまいります。また、新規の取り組みとして、工芸作家のまちなか出店を支援します。例えば、出雲かんべの里で活躍されている工芸作家の方に、まちなかに来ていただく際の家賃の支援、トライアルスペースの提供を行います。また、市内の市街地の回遊性を向上するための二次交通の支援。具体的には、人力車、トゥクトゥク、電動キックボード等を点を線につないでいく仕組みを、回遊性向上のために社会実験という形で取り組んでまいります。

次に、子ども向けの職業体験イベントを開催します。子どもたちの職業体験、あるいは消費体験を通じて、社会の仕組みを学ぶ機会を創出します。様々な職業の魅力を紹介することで、地元就職の動機づけにもつなげたいと考えています。11月19日に松江市総合体育館で、小学3年生から6年生を対象に仕事体験ができるブースを設けます。この11月19日をいい育児の日ということで「松江の子育ての日」として定め、この子育ての日のイベントを開催したいと考えています。松江市総合体育館での職業体験、働く車などの展示、松江市役所の新庁舎においてもマルシェの開催、自然体験やスポーツができる遊び場にするなどの企画を考えています。職業体験、具体的には、和菓子職人、八雲塗職人、銀行員、皆さまのような新聞記者体験も考えていますのでぜひご協力いただき、子どもたちが体験できるようにしていきたいと考えています。

次が商店街の活性化ということで、旧日銀松江匠工房、いわゆるカラコロ工房のリニューアルです。この4月から全館休館にし、令和6年10月のオープンを予定しています。老朽化の改修はもちろん、機能を拡充、強化して魅力の向上を図ってまいります。リニューアル後のカラコロ工房の機能として、本館1階には、地元の野菜、加工品、工芸品などを取り揃え、買って、その場で食べて楽しめるマルシェを設置します。本館2階、3階は物づくりが体験できるスペースとし、例えば陶芸、水引細工、利き酒などの体験できるような場所にする予定です。1階部分はガーデンテラスと名付け、夜までにぎわう食のデパート、新規に出店する飲食店がトライアルできるようなスペースとして活用することを考えています。

次に、農林水産業の振興です。魚礁を設置し、持続可能な循環型漁場の再生を図る、新規の取り組みです。魚礁を設置し、藻場を造成し、魚介類の居場所を造ります。また、藻場の保全のために、海底の海藻を食べてしまうクロウニを駆除するとともに、アワビの種苗を放流して資源を回復する漁業の再生サイクルを回していきたいと考えています。資源回復の好循環を生み出すことで、循環型漁場再生を促進していく取り組みです。

次に、観光振興、松江が誇る歴史と癒やしのコンテンツのプロモーションの強化です。今回、策定したMATSUE観光戦略プランの中で、「Authentic Japan“MATSUE”」、本物の日本がある松江ということをコンセプトに掲げています。その中でも、城下町であり、水の都である松江の魅力にスポットを当てた事業を展開します。城下町の魅力活用として、春はお城まつり、夏あるいは秋には松江城でのライブ、秋には、松江水燈路等を催します。 水の都の魅力活用事業として、宍道湖を生かしたヘルスツーリズム、水辺のイベントによる湖畔のにぎわいの創出、嫁が島の老朽化した桟橋の再生整備も行います。また、イベントによる観光客誘致として、夏の風物詩として市民の皆さまに親しまれている松江水郷祭を、今年は8月5日、6日に予定しています。持続可能な松江水郷祭の開催に向け、有料観客席を増やす等の工夫について、現在、松江商工会議所を中心とする松江水郷祭推進会議において検討を進めているところです。さらに、地域の花火の実証事業も行います。松江の中心部のみならず、市域全体において、地域の独自の花火大会の開催を支援する実証実験です。その効果を検証することで、今後の取り組みにつなげてまいります。

次がインバウンド観光、インバウンドの本格的な再開を視野に入れ、3つの重点市場に対するプロモーションを行います。1つ目が、アメリカです。今年の7月にニューヨークでのイベント開催の調整を行ってまいります。アメリカからの誘客を図る、あるいは松江の地産品の販売の可能性を探ってまいりたいと考えています。2つ目は台湾、旅行会社への継続的なセールスと、サイクリングによる誘客の促進を図りたいと考えています。今月、私も台湾に行き、台中に程近い日月潭という宍道湖に似た湖、1周32キロを自転車で走ってまいりました。台湾の方がどういった場所で、どういった環境でサイクリングを楽しまれるのかを、実際に実感してまいりました。非常に大きな可能性があると考えていますので、こういったサイクリングツアーの企画、誘致を考えてまいります。3つ目のフランスは欧米の中で、松江への観光客が一番多い国です。湖上文化があり、伝統や歴史があるまちを好む傾向があると聞いており、在日フランス商工会議所などと連携し、フランスからの誘客を図ってまいりたいと考えています。

2つ目、「ひとづくり」です。

先ほど申し上げた子育ての日イベントを11月19日に開催予定です。ぜひご参加いただきたいと思います。

次に、「妊娠時から出産、子育てまで一貫した支援」を既に始めておりますが、出産・子育て応援事業という伴走型の相談支援と経済的支援を両立するもので、10月以降も継続的に実施します。経済的支援については、妊娠された方、出産された方に対して5万円ずつ、合わせて10万円を支給する制度です。

併せて、産後ケア事業についても、対象月齢が4か月未満であったのを1歳未満に、利用日数が通算7日以内を、宿泊型とデイサービス型、訪問型で、それぞれ通算7日以内と拡充を図っています。

次に、「ICT教育環境の整備」についても、より一層進めてまいります。まず、全校においてネットワークの高速化を図ります。また、教職員のICT利用活用の充実のため一人2台役のパソコンの導入、安心・安全なネットワークの確保、そして、ハードの整備だけではなく、教職員がICTを使いこなせるための研修等も行います。こうした取り組みによって、子供たちが自ら、一人一人のニーズに合った学びがこのICTの活用によって可能にしていきたいと考えています。

3つ目、「つながりづくり」です。

椿が市の花に制定されてから50周年を記念する事業として「全国椿サミット松江大会」を開催します。全国椿サミットというのは、全国の40を超える自治体が入っている団体で、コロナによる順延等もあって、この50周年記念の折に松江で全国大会ということになりました。参加者4,000人を超える、大きなイベントで、ツバキの魅力発信と振興を図りつつ、松江市を全国にアピールする機会になるものと考えています。

次が、総合文化センター、プラバホールと中央図書館のリニューアルです。令和4年4月から全館休館しており、プラバホールについては、芸術文化活動の拠点として、学習室、おはなしの部屋、授乳室を新設し、パイプオルガンのオーバーホール、Wi-Fi導入といった改修工事を進めています。令和6年4月に、このプラバホールがオープンする予定です。中央図書館については、令和5年10月にリニューアルオープンします。工事期間中もイオン松江とスティックビルにおいて本の貸出しを行っています。そして新規サービスとして、イオン松江の1階に予約本を無人で貸し出しできるロッカーを設置します。こちらの中央図書館が学びの拠点となるように、そして、この総合文化センターが多くの市民の方に親しまれ活用されるように努めてまいります。

健康で豊かな暮らしを実現するため、「中海スポーツパーク」を上宇部尾町に整備します。人工芝のグラウンドを設置し、令和4年に実施設計を、令和5年、6年で工事を行い、令和7年4月の供用開始を予定しています。スポーツ振興、健康づくりの推進とともに、中海周辺地域の活性化を図るという目的も達成します。

4つ目、「どだいづくり」です。

「再生可能エネルギー機器の導入支援」を継続して行います。松江市再生可能エネルギービジョンの策定に向けて2月20日までパブリックコメントを行っています。企業、あるいは行政が再生可能エネルギーの導入を進めていくだけではなく、市民の皆さま一人一人の取り組みの積み重ねがSDGsの達成を導くものと考え、オール松江市としてカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現にむけて、太陽光発電システム、蓄電池などの再生可能エネルギー機器を住宅、事業所へ導入する際に補助します。

「公共施設の脱炭素化推進」として、本市が管理している道路照明灯、あるいは公共施設の照明をLEDに切り替えます。具体的には、道路照明灯、保育所、幼稚園、公園にある照明灯、また、漁港や港湾、観光施設等も含めて進めてまいります。

「持続可能な公共交通網の形成」として、来年度、松江市地域公共交通計画を策定します。この中には、今年4月からスタートするAIデマンドバスも含みます。AIデマンドバスは、今年の4月から八束町の全域、そして美保関の宇井地区でまず運行を開始します。そのほかのエリアについても要望をいただいており、令和5年度以降の導入エリアの拡充についての検討を進めてまいります。そして、このAIデマンドバスと既存の公共交通の結節等も盛り込む形で、松江市の第4次地域公共交通計画を策定します。市民の皆さまへのアンケートやヒアリングなどを通じて、実効性の高い公共交通の計画の策定を考えています。

「新庁舎の整備と利活用の検討」です。現在、工事が順調に進み、5月には1期部分を供用開始予定です。新庁舎の建設を進めていくとともに、庁舎のオフィス環境も整備します。そして、新庁舎の利活用の推進ということで、利活用のアイデアを民間事業者の皆さま、市民の皆さまから募集し、それを実際に実施するトライアル事業を行います。今回、1期工事は完了しますが、3期工事までありますので、まずは試てみて、うまくいく事例があれば2期工事で竣工する部分にもそれを当てはめていくことが可能かと思っています。

「地域の拠点施設整備による住民サービスの向上」ということで、2つ掲げています。1つ目が、東出雲の複合施設整備で、6月に供用開始する予定です。東出雲地区の支所、公民館、図書館、子育て支援センター、地域包括支援センター、5つの機能を持つ複合施設を整備してまいります。もう一つが竹矢公民館の建て替えを、令和6年4月から6月ごろの供用開始を予定して、工事を進めてまいります。

「暮らしやすさを実感できる住生活の支援」として、3月に改定する予定の住生活基本計画に基づき、市民の皆さまの住生活環境の改善、向上を支援します。Uターン者が、新たに三世代同居・近居する際の引っ越し費用を1件当たり9万円、移転費用の2分の1を限度に補助する制度です。民間住宅所有者が既存住宅を身体障害者の方向けに改修する際の費用を、1戸当たり100万円、2分の1を限度に補助する制度です。

「消防団の充実・強化に向けた取り組み」です。昨年4月に策定した、消防団の充実強化計画に基づき、年額報酬を増額します。さらに、出動報酬についても見直しを行い、より消防団の方に活躍していただきやすい環境を実現してまいります。

最後、「なかまづくり」です。

「広域連携、中海・宍道湖・大山圏域市長会の連携強化」です。松江市を含む5つの市と大山圏域の7つの町村の連携によって、スケールメリットを生かした事業に取り組んでまいります。主な事業として、山陰いいものマルシェ、圏域のインバウンドプロモーション、圏域のインフラ、新幹線、8の字ルートと言われる高規格道路の整備の国に対する要望も共同で取り組んでまいります。

全て項目について、SDGsを意識した上で取り組みたいと考えており、こういったところにも着目しながら予算を組み立てさせていただいております。

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