土地利用制度の考え方

更新日:2023年02月27日

現行の土地利用の制度というのが、昭和45年12月に決定されたもので、「秩序のある市街地の形成」を目的に「線引き制度」を導入しています。線引きというのは、市街化区域と市街化調整区域という地域の指定のことになります。市街化区域が市街化していくことを促している地域、市街化調整区域が市街化を抑制して自然環境を守る区域、開発や建築を制限している区域ということになります。こうした制度で、昭和45年から松江市はまちづくりを行ってまいりました。当然、こういった秩序のある市街地の形成、乱開発がされない、農地も守られるといったことは重要です。

一方で、時代が大きく変化し、昭和45年前後のような高度成長が見込める時代ではなくなってきたというのも事実です。市街化調整区域において人口減少や地域コミュニティーの衰退が見受けられます。また、これらの地域には、ある程度の規制緩和策というのを導入して拡充していますが、土地利用のニーズに対応し切れていないという現状もございます。具体的な現状の制度の課題として、1つ目が新規の開発ニーズに対応できない。例えば、住宅団地や商業施設など開発ニーズがあるものの、まちなかにはその目的に応じた適地がなく、郊外部には用地があるが「人口フレーム」「商業フレーム」に余地がなく実現できない。2つ目、既存建物の用途変更ニーズに対応できない。古民家活用など地域資源を生かしたチャレンジも、用途と場所が限定され、変更ニーズに柔軟に対応できない。3つ目、土地活用の際の行政手続が煩雑。例外を認めるに当たっての時間が非常にかかります。専門家で構成する開発審査会の審議を経る必要がある場合は、決定までに半年以上、農業振興地域の除外の手続がある場合には、1年以上を要するケースもあります。

この土地利用制度について検討を進めています。将来の「まちのかたち」として、市域内のバランスの取れた発展を掲げており、その実現のために、各地域の核になる市街地を残して、それを交通網等でつなげていくコンパクト・プラス・ネットワークの構築、中心市街地の再生のための手段となる土地利用制度の考え方を今年度中に提示することとしておりました。

そして、議論を重ねてまいりました。松江市の都市計画審議会を昨年来5回開催し、市議会ではまちづくり対策特別委員会を設置され、その中で検討していただきました。議員の皆さまから個別に意見聴取も行いました。市民の皆さま向けのアンケートも1,700件弱の回答をいただいていますし、11月には市民の皆様向けのシンポジウムも開催しました。そのほか、商工団体等からの意見聴取も行っています。

議論の場における主な意見・要望として、集落を維持するためには、新たな居住者の受入れが必要である。利便性や移動手段など、生活サービス機能を確保する必要がある。地域の活性化につながるゲストハウスなどの新たな機能を受け入れる必要がある。空き家などの既存のストックや地域資源を有効に活用する必要がある。インフラの維持管理などの行政コストは抑制すべき。安心安全に暮らせる環境を確保したいといったところです。こういった議論も踏まえ、松江市としての今後の方向性として、土地利用の秩序を保ちつつ、線引き制度を用いない土地利用制度の運用に向けて検討を開始し、新たな土地利用制度を創設したいと考えています。

今後のロードマップのイメージです。令和5年から7年の上期において、県、関係する団体、国等との協議をしてまいります。また、新たな制度の設計も行い、その合意を形成していきます。最終的には、県が持っている都市計画区域マスタープランを変更していただき、それをまた国に同意いただくということで、順調に進めて令和8年の中頃とを一つの目途に、この土地利用制度の変更、見直しを図っていきたいと考えているところです。

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