会見議事録(全文)

更新日:2024年01月15日

松江市内で創出された Jブルークレジット®の活用

松江市長 上定 昭仁

  松江市内で創出されたJブルークレジットを活用する取り組みについて、皆さまにこうしてお披露目できますことを大変うれしく思っています。

松江市は、今年の4月28日に環境省から脱炭素先行地域に選定されました。脱炭素、カーボンニュートラルによる持続可能な「国際文化観光都市・松江」の実現をめざしていこうと取り組みを進めています。

脱炭素先行地域に選定されるために、松江市と山陰合同銀行様、中国電力様などの12団体と共同で提案し認定をいただいています。

この提案内容は、「国際文化観光都市・松江」の魅力的なまちづくりを脱炭素化によってを進めていこうというもので、カーボンニュートラル観光を進める取り組みです。具体的には、再生可能エネルギーに由来する電力を市内に供給していくということで、対象地域を4つに絞っています。いずれも松江の観光地として非常に著名なところです。そして、松江市内にはたくさんの温泉がありますが、温泉宿泊施設の給湯機器を省エネ仕様に転換していく。また、温泉の廃熱を回収して暖房・給湯等の熱源として活用していく。持続可能な観光、世界からたくさんの方に集まっていただくカーボンニュートラル観光に取り組む、そして、世界から選ばれるカーボンニュートラルツアーというのを企画していくということを段階的に実現に移していっているところです。

脱炭素先行地域に選定された3か月後の7月には「松江市脱炭素先行地域推進協議会」を設立しました。先ほどの12の共同提案者の皆さまと共に立ち上げたもので、会長は私が務め、副会長に山陰合同銀行、中国電力、共同提案をさせていただいた皆さまに会員として入っていただき、これまでも議論を重ねています。

具体的に脱炭素先行地域の中に掲げた取り組みをどのように進めていくか、アクションをどう起こしていくかという議論を進めている中で、「カーボンニュートラル観光タスクフォース」「リユース発電タスクフォース」「オンサイト・オフサイトPPAタスクフォース」の3つの具体的な取り組みについての検討母体をつくっています。そのなかのカーボンニュートラル観光タスクフォースが中心となり、企画を形にしました。コンセプトは、「世界から選ばれる」 「世界中から人が集まる」「世界に誇れる」松江をつくっていく。これは観光に訪れた方が「訪れてよし」だけではなくて、松江市民が「住んでよし」と思えるような持続可能な社会を創造していくための取り組みということを合い言葉に進めているところです。

その中で、副会長でもある中国電力様の取り組みが松江市内で初めてJブルークレジットとして認定をされ、それを活用する取り組みとして今回皆さまにお披露目するものとなります。中国電力様が松江市の鹿島町に保有されている原子力発電所の防波護岸に藻場の形成と造成をされています。防波護岸の機能を高めるために人工リーフを設け、そこに海藻を繁茂させた藻場が生育した海藻類が二酸化炭素を吸収します。この吸収量について、昨年11月に15.7トンのCO2を吸収するというJブルークレジットの認証を取得されました。

今回、この認定取得されたJブルークレジットを活用する取り組みということで、2つの企画を考えています。1つが、日本発の旅行商品としてカーボンニュートラル観光タスクフォースにおいて検討いただいたもので、旅行移動時に排出される二酸化炭素をJブルークレジットで相殺するという取り組みです。観光に来る際に、脱炭素に資する取り組みで、観光しながら脱炭素を意識できる、そういった旅行商品になっています。12月15日からの販売予定で個人型旅行商品としては日本で初めての取り組みとなります。

もう一つが、カーボンオフセットのバスケットボールのスペシャルゲームの開催です。12月30日に松江市総合体育館で開催される島根スサノオマジック、大阪エヴェッサ戦において、体育館のゲーム開催によって排出されるCO2を同じくJブルークレジットで相殺する、オフセットする取り組みです。島根スサノオマジックとして初めてのスペシャルゲームを開催することとなりました。

これらの取り組みを通じ、カーボンニュートラルによって持続可能な社会を創造していくと松江市は標榜しています。脱炭素化の取り組みが世界中で今、進行していますが、日本の中でもトップランナーとして、そして、行政や民間企業だけが突っ走っていくのではなく、市民の皆さま、また、観光客の皆さまにも、こうした具体的な企画を通じて脱炭素に貢献していただくことで、オール松江市として取り組みを進めていきたいと考えています。

皆さまには、ぜひJブルークレジットを活用して松江市にお越しいただければと思います。よろしくお願いします。

日本初のJブルークレジット®付個人型旅行商品の誕生

株式会社日本旅行執行役員 中国エリア代表 時永 幸雄

   日本初のJブルークレジット付個人型旅行商品について、ご説明申し上げます。

当社はカーボンニュートラル観光タスクフォースの一員としてご協力させていただいています。当社は旅行会社としては早い段階の2019年にSDGs宣言をしており、SDGsの達成に向けて、サステナブルツリズムに取り組んでいます。その一環で、2021年から弊社の国内旅行商品「赤い風船」で森林由来の、いわゆるグリーンカーボンのJクレジットを活用したカーボンゼロ商品の取扱いは既に行っておりました。その中で、このたび中国電力様が保有していらっしゃるJブルークレジットを活用した商品を初めて発売することとなりました。これにより、個人旅行を通じてお客様に、海の豊かさを取り戻しながら、海の生態系が吸収するCO2を増やして、温暖化対策に貢献していただくことができます。このJブルークレジットを活用しました個人型旅行商品というのは日本初となります。

商品の中身についてご説明します。「JRで行くCarbon-Zero環境にやさしい旅 島根県 松江・玉造温泉」としています。出発地は京阪神地区を設定し、松江・玉造温泉の14施設を宿泊施設としています。往復のJRと宿泊がセットとなった個人型のフリープラン商品となっています。Jブルークレジット付きということで、カーボンオフセット代金が旅行代金に含まれています。観光に非常に便利なぐるっと松江レイクラインの1日乗車券、こちらが2枚ついておりまして、これが排出するCO2もオフセットされるようにしてあります。また、「新たな松江のお土産をご用意」ということで、ブルーカーボン生態系で育ったワカメと、島根半島の沿岸で取れるシーグラスのセットを、このブルーカーボンの取り組みに共感した海のお土産としてお付けしています。

発売日は12月15日、出発設定日が12月16日から来年の3月31日までとなっています。お申込み受付は、京阪神のお客様を対象にしていますので、日本旅行及び日本旅行グループの京阪神エリアでの店舗または提携販売店で受付ていまして、さらにウェブでの販売に向けて準備を行っているところです。

カーボンオフセットプログラムの概要は、まずは鉄道が、通常の交通機関よりも環境に優しく排出されるCO2が少ないということで、鉄道利用プランとなっています。といっても、鉄道もCO2を排出しますので、そちらについてオフセットするこのJブルークレジットをおつけしています。このJブルークレジットについては旅行代金の中に含まれています。

このカーボンオフセット付旅行商品を購入いただくことで環境保全、地球温暖化対策に貢献することができ、これが大きな魅力となっているかと思っています。

商品説明は以上ですが、当社は引き続きカーボンニュートラル観光タスクフォースのメンバーとして、松江市様の取り組みに最大限協力させていただきながら頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

「サステナビリティを 楽しく学ぼう!」

株式会社バンダイナムコホールディングス経営企画本部サステナビリティ推進室サステナビリティ推進チームマネージャー 平 秀之

   12月30日、そして12月31日に松江市総合体育館で開催する島根スサノオマジックのホームゲームについての施策についてご紹介をさせていただきます。

私たちバンダイナムコグループは、笑顔を未来へつなぐというのをサステナビリティテーマにし、ファンの皆さまと一緒に、共につながってサステナブル活動に取り組んでいこうといったことを掲げています。

今回の大阪エヴェッサ戦においては、島根スサノオマジックのファンの皆さま、そして、多くのご来場される皆さまと一緒にサステナビリティについて考える、そんなきっかけにしていただきたいと考えています。

「PAC-MAN AR-sustainble quiz-」といって、パックマンを活用して、サステナビリティについて楽しく学んでいただきます。やはりサステナビリティというと何か難しいとか、自分には関係ないと感じてしまうところも多いかと思いますが、パックマンと一緒に親子で楽しく遊んでいただけるARクイズを現在無料で公開しています。

ガンプラを使って楽しくリサイクルを学んでいただこうと、全国47都道府県で展開しているガンダムR作戦を、松江市総合体育館で特別開催する予定です。両日ともに1,000名の方に無料でエコプラと言われるリサイクルプラスチックで作られたガンプラを無償で配布し、ガンプラを作って楽しんで、そしてリサイクルも学んでいただきたいと思っています。

今回は、年末、大みそかの大掃除も終わった頃ということで、ちょうど古着も出てきている時期ですので、古着の回収も行い、そして新しい製品にアップサイクルします。その製品をどういったものにするのかは島根スサノオマジック様のほうと検討していまして、来期、ファンの皆さまにお披露目できるような、そういった製品にしたいと考えています。

そして、今回、中国電力様のご協力を得まして、ブルーカーボンを取り入れることになりました。12月30日の松江市総合体育館で消費される消費電力をブルーカーボンによってカーボンオフセットするといった取り組みです。

こういったカーボンオフセットの取り組み、バンダイナムコグループにおいても、展示会等のカーボンオフセットを実施したことはありますが、こういった大きなライブイベントでカーボンオフセットをするというのはグループでも初めての取り組みとなっています。やはり脱炭素というのは、バンダイナムコグループにとっても避けては通れない取り組みであり、今、自社拠点のグリーン再エネ化、製品の省電力化、そういったものにも取り組んでいますが、やはりお客さまと一緒に省電力、そして、そういったサステナビリティについて考えていく、ファンと一緒に私たちが取り組むべき、バンダイナムコだからできることということで、今回このような施策を検討させていただきました。

今回、サステナビリティを一緒に学ぶということで、ファンの皆さま、そして多くの皆さんと笑顔で楽しく学べる、そんな一日にできたらと思っております。グループ一同、当日はお待ちしていますので、ぜひご来場いただければと思います。

質疑応答

(中国新聞)Jブルークレジット付個人型旅行商品の誕生の件で、個人型旅行としては初めてということですが、それ以外の形ではこれまでも国内に先行事例がありますか。

(日本旅行)当社ではないですが、エスコートツアーといって添乗員がつき、日程及び募集人員を設定した限定的なツアーで東北で実施されたことがあると聞いていますが、今回のように不特定多数の方が広い期間で自由に選択できてという、個人旅行型商品、フリープランという形では日本初めてとなります。

(中国新聞)脱炭素先行地域は松江市以外にもありますが、今回、一番最初の取り組みとして松江市と共同でとなった経緯を教えてください。

(日本旅行)今年の4月に松江市様が脱炭素先行地域に選定されました。その中で、私どもも民間企業の共同提案者の1社ということでお手伝いさせていただいており、何かカーボンオフセットの形でお客様に強烈にアピールでき、市民の方にも自分ごとと思っていただけるような何かができないかと考えておりました。私どもは旅行をミッションとしておりますので、旅行、サステナブルツーリズムということで、グリーンカーボンはやっていましたが、新たなところで中国電力様のブルーカーボンのお話がありましたので、当社としてもやったことがないですし、非常に目を引きますし、社内でもすばらしい取り組みだなというになり、こういった商品の造成に至った次第です。

(中国新聞)ブルークレジットの代金、オフセット料金は旅行の商品代に含まれるということですか。

(日本旅行)はい、そうです。

(中国新聞)利用者からすると、それだけの負担をするということになると思います。環境に優しい旅をしたいという思いの方だったり、移動で使うCO2を気にされる方々にとっては非常に有意義な旅の提案だと思いますが、そういうニーズは昨今お客さんから出ているんですか。

(日本旅行)非常に高まっています。コロナ禍が終息し、今まで抑えていらっしゃった旅行欲求というのが今爆発して、国内旅行はコロナ前の水準まで回復してきており、旅行に行きたいというお客さんは非常に多いです。一方で、今、このSDGsの観点で、環境に優しく、例えばオーバーツーリズムの問題など、弊害の話もありますので、そういうところも気兼ねなく旅行をしていただけるといったところでしっかりとお客さまに支持されるのではと思っています。

(日本海新聞)この藻場には何種類ぐらいの海藻がありますか。

(中国電力)主にクロメ、ノコギリモクなどでして、そのほかにもおそらくいろいろと着床しているのではと思いますが、主にはその2つです。

(日本海新聞)15.7トンのCO2は、年間の数字ですか。

(中国電力)このエリアで人工リーフの上に海藻が着床していまして、2017年から2021年までの間のCO2の吸収量ということで申請をしてJブルークレジットとしての認証を取得しています。

(日本海新聞)出発地が京阪神ということですが、例えば外国の方の購入も可能ですか。

(日本旅行)この商品設定が京阪神から松江という形で組んでいますが、外国人の方もお申し込みいただけます。

京阪神を選んだ理由ですが、日本国内で見て、松江への観光客で一番多いのがやはり京阪神の方ですから、まずはここからスタートしていき、さらに全国に拡大していきたいと考えています。

(日本海新聞)今回は3月末までの出発ですが、4月以降ほかのエリアからの出発も検討されていますか。

(日本旅行)まずは今回のこの3月までの商品をしっかりと成功させ、実績をつくり、私どもとしましては4月以降は全国展開にしたいと考えています。

(山陰中央新報)松江市で、現在Jブルークレジットが創出されているのは中電さんの15トンのみという認識でよろしいですか。

(上定市長)認証機関として国土交通省の外郭団体でJBEというのがあり、そこで認定を受ける必要があります。松江市内で二酸化炭素の吸収量として認められたのは中国電力さんの15.7トンのみです。

(山陰中央新報)Jブルーカーボンというのは、1トン当たり大体8万前後で取引されていると認識していますが、1泊2日の13.2キロ分、1,320円分、普通の旅券より高くなるということですか。

(日本旅行)1,320円というのは、ツアーの中のJブルークレジット活用したカーボンオフセット代金で、お客さまにご負担いただく金額となります。通常の旅行代金にこのカーボンオフセット代金が上乗せになりますので、割高になりますが、その分でカーボンオフセットをして環境保全に貢献いただくというメリットをお買い上げいただくということになります。そういったニーズは、今、非常に高く、SDGsについては、高校生、中学生も学校の授業でも結構勉強されていて、非常に意識が高いです。企業努力で旅行代金を安くするよう努めてはいますが、割高になっており、それでもお申し込みいただけるニーズはございます。

(山陰中央新報)今回創出をされた15.7トン中、これらのイベントで何トンくらい使う予定ですか。

(中国電力)旅行商品で2.6トン、スサノオマジックの試合で2トン、ご活用いただきます。

(毎日新聞)お客さんが1,320円をブルークレジットとして支払われ、旅行会社側が得たその1,320円はどういうふうに使われていくんですか。それがまた新たに環境保全のために使われていくということですか。

(日本旅行)これは弊社の利益になるものではないです。

(毎日新聞)中国電力さんが藻を育てるような事業に使うのではなくて、日本旅行さんが何かに使っていくということですか。

(日本旅行)日本旅行ではないです。日本旅行としては、Jブルークレジットを中国電力さんから購入し、その購入した代金で中国電力さんがまた次の新たなそういう環境保全事業にやっていくという形になります。

(中国電力)当社からJブルークレジットをお買い上げいただいています。我々はそれを藻を育成するために使うというわけではなく、事業全般に使うことになります。引き続き環境に向けた取り組みというのは事業の中のいろいろな分野で行っていきますので、広くまた取り組みの中で使っていくということになろうかと思います。

(中国新聞)ブルーカーボンの仕組みを利用した旅行商品の造成が初めてということですが、グリーンカーボンは前例がありますか。

(日本旅行)グリーンカーボンは、2021年から行っています。島根県では飯南町さんのJクレジットを購入し、同じようにJクレジットつきという形で展開しています。このJクレジットを使った商品は弊社の中で、Carbon-Zeroというブランド名で売り出しています。このCarbon-Zeroは今までは森林由来のグリーンカーボンのみでしたが、今回初めてブルーカーボン由来の商品を出させていただきました。

(中国新聞)旅行商品以外でカーボンオフセット商品はどういうものがありますか。

(日本旅行)脱炭素の観点では旅行商品になります。SDGsの観点ですと広くサステナブルツーリズムということで、カーボンオフセット以外にもいろいろな取り組みがあります。

(毎日新聞)今回のこの環境に優しい旅が、カーボンニュートラルツアー、脱炭素先行地域に選定されていろいろやっていく中の一つの取り組みになると思いますが、今後もカーボンニュートラルツアーを別の形でやっていくようなお考え何かありますか。

(上定市長)具体的に何かプランがあって、いつからそれを投入しようということがあるわけではないですが、旅行者の皆さんのカーボンニュートラルに対する関心がとても高まっているということを実感しています。特に、海外から来たお客さんは、基本的には空路でいらっしゃいますので、飛行機でたくさんの燃料を使い、二酸化炭素を排出しながら来ている。それをできるだけ旅行地においてオフセットするような取り組みに関心を持っていらっしゃるというのは、いろいろなところから聞こえてきています。

先般、松江城の周りを回る堀川遊覧船の電動化なども図っていますが、まさにそういった一つの商品性のあるコンテンツを大きくPRしていくチャンスだと思います。今回、JRさんとか日本旅行さんにいろいろお願いして教わりながらやっているところがあり、旅行商品のような形でまとめて訴求するというのが効果的だという気もしていますので、そういったところを今後もタスクフォースなり協議会の中で検討をしていきたいと考えています。

この記事に関するお問い合わせ先

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