市長定例記者会見議事録(全文)

更新日:2024年01月30日

令和6年能登半島地震にかかる本市の支援

1月1日の夕刻に発災した令和6年能登半島地震に係る松江市としての対応についてです。松江市は今回被害の大きかった石川県の珠洲市と昭和63年に姉妹都市の提携を結んでおり、平成24年には、災害時の相互応援協定というのも結んでいます。

地震の後に、市内の被害状況の確認を行い、松江市において津波も含めた被害は報告されていません。一方で珠洲市において、甚大な被害が確認されています。1月3日に泉谷珠洲市長と電話で話をすることができ、お見舞いを申し上げるとともに現在の状況について伺いました。市役所から見える建物のうち1割しか残っていない状況で、今後、どういった進め方をしていいのかをしっかり検討しなければならないといったお話がありました。支援できることを何でも言ってくださいとお伝えしたところです。

1月4日に職員3人を派遣しています。当面の支援物資を積み込み、珠洲市に向かいました。4日には金沢に入り、5日に珠洲市に到着しています。5日に珠洲市長にも面会し、珠洲市内の避難所に支援物資を送り届けました。また、同じく姉妹都市である愛知県の大口町の鈴木町長からご連絡をいただき、姉妹都市の姉妹都市は姉妹都市ですと言ってくださり、一緒に支援をしたいという申出がありました。1月4日に大口町の職員の方と金沢で合流し、5日には一緒に珠洲市で支援を行っています。今後も、姉妹都市間で連携を深めてきた経緯も踏まえて、支援をしていきたいと考えています。

1月17日からは職員2名を珠洲市に派遣し、行政事務に従事をしています。具体的には罹災証明の発行業務を担っています。一次派遣ということで2名を13日間派遣して、1月20日に第二次として2名を13日間派遣します。金沢に宿泊施設を借りることができましたので、そこを拠点として、珠洲市で3日間罹災証明の行政業務を行い、一度金沢まで引き揚げます。その間、第二次派遣の職員が担い、3日後にはまた第一次派遣と入れ替わるような形を2回繰り返す13日間となります。罹災証明業務をほかの自治体と協力して支援しています。今後、事務の内容も変わってくると思いますし、それによって求められる職員の専門性なども変わってまいりますので、できる限り珠洲市さんのニーズに沿う形で柔軟に対応していく考えです。今後も継続的な応援派遣を行い、例えば被災建物の危険度判定、被災者の支援、行政一般事務などに従事したいと考えています。

一方で、1月4日から市内に義援金箱を設置し、現在本庁・支所・公民館など37か所に設置しています。既に協力いただいております市民の皆さまには心よりお礼を申し上げます。18日時点で義援金が既に500万円集まっていまして、このうち300万円を1月12日に珠洲市の能登半島地震の対応指定口座に送金しています。義援金箱は今後も設置しますので、引き続きご協力をお願いします。

さらに、ふるさと納税による災害支援の寄附金募集を代理で松江市が受け付けています。これはふるさと納税のポータルサイト、「ふるさとチョイス」で災害支援金を受け付けていますが、証明書を自治体で発行する必要があります。その行政事務を松江市が代理で行い、ふるさと納税についてはそのまま珠洲市さんにお届けするというものです。こちらも1月18日時点で373件、659万円の寄附をいただいています。

もう一つ、珠洲市をはじめとして能登半島地震で被災された方のうち、住宅の手当てが困難になっている方を対象に、市営住宅の提供を始めています。1月10日から受付を開始し、市営住宅10戸、市内の県営住宅20戸、合わせて30戸の提供を行っています。まだ入居されている方はいらっしゃいません。原則1年以内ですが、家賃、駐車場代は全額免除、敷金も退去修繕も不要。光熱水料と共益費についてはご負担いただきます。詳しくは、本市ホームページをご覧ください。

今後も職員の派遣、あるいは義援金の受付、ふるさと納税の代理寄附の受付、住宅の受入れ態勢確保などを通じて必要な支援を継続し、行政事務を中心に職員の派遣も続けていきたいと考えております。できるだけ早期に被災者の皆さまが通常の穏やかな生活を取り戻されるように、支援をさせていただきます。市民の皆さまのご協力、ご理解をよろしくお願いいたします。

堀川遊覧船電動推進機一般乗船の開始

堀川遊覧船電動推進機の一般乗船開始のお知らせです。

堀川遊覧船は、昨年の12月に旅行新聞新社が主催し毎年出している、プロが選ぶ水上観光船30選の4位に入選いたしました。西日本ではトップ、また初回から7回連続の入選で、過去最高順位です。

この堀川遊覧船を一つの大きなシンボルとして、カーボンニュートラル、脱炭素化を進めたいと考えています。松江は京都、奈良と並ぶ国際文化観光都市であり、脱炭素化によって、観光を基点とした魅力的なまちづくりを行っていきたいと考えています。

堀川遊覧船の電動化、松江城周辺の観光地等の脱炭素化もを図ることによって、世界から選ばれる、世界中から人が集まる、世界に誇れる持続可能な地域社会を創造していくことを目指しています。最終的には、社会的価値の実現として世界に誇れる環境首都まつえの実現を、松江市の総合計画にも盛り込み取り組みを進めています。

今回の電動化は、自動車メーカー大手のHondaさんと連携し実現したものです。堀川遊覧船は1997年から運航を開始し、Honda製のガソリンエンジンを使用しておりました。2021年11月にHondaが電動推進機のコンセプトモデル、水上において航行するモーターのプロトタイプを発表され、すぐに松江市から、何か協力できないかと申入れを行いました。それが2021年の12月で、すぐに松江に来ていただき、堀川遊覧船を視察されたことから始まり、今回の電動推進機の本格導入に至っています。昨年の8月からプロトタイプの実証事業をスタートし、世界で唯一この堀川遊覧船において水上推進機、モーターで水上船が航行されています。

Hondaさんは、水上のカーボンニュートラル実現に向けて小型船舶用の電動推進機を開発、実証実験をされています。その特徴として、CO2の排出がゼロとなりますので、カーボンニュートラル(脱炭素化)へ貢献でき、騒音がなく、排気ガスもなく、自然環境に優しいというのが非常に大きな魅力です。昨年の8月から実証実験を開始し、これまでに233名の方が乗船し、Hondaのスタッフが同乗する形での試乗、運用の検証を行ってきました。10月に松江市民モニター乗船体験会を行い、2日間で84名の方に参加いただきました。昨年末の段階で運用検証の第1段階が完了し、Hondaスタッフが同乗せずに船頭さんのみで運航でるようになり、運航の拡大が可能となりました。

乗船体験会の参加者から、「とても静かで船頭さんの声もよく聞こえた。波の音が心地よかった。」「鳥のさえずりも聞こえた。静かで非日常を実感できた。」「臭いも一切なく、振動もほぼないので快適」「松江の観光の目玉になってほしい。市民のエネルギー、環境に対する意識が高まる」といった声をいただいています。

私も実際乗りましたが、そもそも堀川遊覧船が航行してる堀川は1611年に松江城が築城された当時の堀割りが残っています。当時ももちろん水路として用い、手こぎで当然二酸化炭素も排出せずに航行していたと思います。それと同じ風情、雰囲気が味わえるわけです。もちろん水面下でプロペラが回っていますので、チャプチャプチャプという音はしております。ただ、これまでのエンジンのようなブルルーンという音ではないので、乗船体験会に参加された方の声のとおり船頭さんの声もよく聞こえますし、水鳥や虫の音が聞こえるという風情が楽しめます。特に海外、インバウンドのお客さまへ、カーボンニュートラル観光、観光しながら脱炭素にも資する取り組みは松江の観光のシンボルとしてPRをしていきたいと考えています。

そして完全予約制ではありますが、土日の運航を開始します。1月27日から2月25日までの、土日の10日間になります。10時、11時、13時半、14時半の一日4便、ふれあい広場乗船場の発着で、定員は9名です。個人の方でも旅行会社の方でも構いませんが、完全予約制で、1名から予約可能、貸切りもできます。料金は通常の料金になります。3月の中旬からは土日に加えて平日の運航も予定しています。皆さまのご予約をお待ちしています。

MATSUE起業エコシステムコンソーシアム設立1周年記念 “社内の次世代リーダーと創る新規事業”

MATSUE起業エコシステムコンソーシアムの設立1周年を記念し、1月30日に「社内の次世代リーダーと創る新規事業」というイベントを開催します。

MATSUE起業エコシステムを昨年の1月にコンソーシアムという形でつくりました。その後、コミュニティ「MIX」という、自分の事業についてのプレゼンやそれに対するアドバイスをもらったり、先輩の起業家の皆さんの意見が聞けるといったセッションを継続的に開催しています。加えて、昨年12月には「みらチャレ」というイベントにこの起業エコシステムも共催し、地域の課題を捉えてアイデアを事業に変えていくための人材を育むプログラムに関わっています。いわゆる起業家教育、アントレプレナーシップ教育にも携わっており、アイデアを具体的に形にしていくためのワークショップ、社会実装支援プログラムなどイベントの開催を通じ、これまでも定期的にそういった支援を行っています。

今回のイベントは、企業内起業・新規事業開発につながる、それに資するようなイベントにしたいと考え、そういった実績がある方、関与されている方にお集まりいただいています。入場無料で定員35名、「MIX」の公式ホームページから申し込んでいただけます。少人数のディスカッション形式でインタラクティブに行いたいと考えていますが、イベントの模様は後日、マーブル、ユーチューブ、SNSを通じてアーカイブ配信いたします。

登壇いただく皆さんは、私がホスト役を務め、ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンドの赤浦さん、ベンチャーキャピタルとコンサルテーションをやっていらっしゃるRelicの北嶋さん、ABAKAMの松本さん、松江で事業を営んでいらっしゃるミライエの島田社長にもお越しいただき、トークリレーを行います。それぞれから2023年の振り返りや各社の事業内容を紹介いただきます。その後、松本さんにモデレーターを務めていただいて松江における企業内起業、新規事業開発についての意見交換を行います。

松江市はこのMATSUE起業エコシステムを通じて、チャレンジする皆さんを産学官金のオール松江市で応援しています。事業に対する意欲をお持ちの方、アイデアをお持ちの方はぜひともこのコンソーシアムにご連絡いただければと思います。よろしくお願いします。

「ダイバーシティと企業価値向上」ジャーナリスト 福島 敦子 氏 講演会

松江市では、令和3年度に第3次松江市男女共同参画計画を策定しています。男女が共に活躍できる社会の実現を目標に掲げており、その一環として今回はジャーナリストの福島敦子さんをお迎えして講演会を開催します。

福島敦子さんは、松江市出身で現在もジャーナリスト等で活躍中です。松江南高校卒業後、津田塾大学を卒業され、中部日本放送を経てNHKで報道番組のキャスターをしていらっしゃいました。1997年から5年にわたっては「サンデー毎日」で経営者との連載対談を担当、多くの媒体で総勢800人を超える経営者の取材をされています。現在、カルビー、キューピー、名古屋鉄道、ヒューリックの社外取締役に就いていらっしゃり、企業経営にも非常に詳しくていらっしゃいます。一方で、ダイバーシティー・女性活躍などをテーマにした講演会、フォーラム等でもご活躍されています。

松江市で働く女性の現状についてですが、25歳から44歳の配偶者を持つ女性の方の有業率、仕事をしている人の割合が、全国平均が76.8%に対し松江市86.6%と、政令指定都市と県庁所在地、人口30万以上の都市の中で第1位です。女性が活躍する機会が多いのではないかという捉え方ができますが、一方で管理職に占める女性の割合は全国が15.3%なのに対して松江市は11.1%と、働く女性は多いもののリーダーとなって活躍されてる方は少ないという結果になっています。女性登用をはじめとする多様な人材の活用が企業・団体など組織の生産性向上、人手不足解消、持続的成長につながることを松江市全体で共有して取り組む機会にしていきたいという思いで、このイベントを開催します。

開催概要ですが、2月16日にホテル一畑で行います。まず、福島敦子さんの基調講演「ダイバーシティと企業価値向上」という演題でいただきます。企業価値の向上、企業の成長のためになぜダイバーシティーが必要なのか。ダイバーシティーの取り組みを強化し、業績を伸ばした経営者の具体例。ダイバーシティーを重視するための組織文化やリーダーの在り方。働き方改革といった内容について触れていただく予定です。その後、「だれもが自身の能力と希望に応じて働き活躍することができるまち」をテーマにパネルディスカッションを行います。コーディネーターとして島根大学の河野美江副学長、パネリストは地元でキャリアコンサルタントを務めていらっしゃる越野由美子さん、モルツウェルの取締役野津昭子さん、そして私も加わり行います。

定員が230名で先着順、入場料は無料で、事前の申込みが必要です。詳しいお問合せは人権男女共同参画課までお願いします。皆さまのご参加をお待ちしています。

松江歴史館蔵品展「明治時代のサムライたち 松江藩士の行く末」

1月26日から3月31日まで、松江歴史館において館蔵品展「明治時代のサムライたち-松江藩士の行く末-」を開催します。

松江城の城下町には松江藩のお侍、武士の方がたくさん住んでいました。明治時代に松江藩から給料を得ていた3,000人以上の武士が一斉に解雇されたと言われています。当然、失業した武士は別の職業を選択することになります。文明開化で生まれた職業、散髪屋を開いた瀧野多三郎の散髪道具。画家、堀宗太郎が描いた魚図。籐細工職人が制作した長崎仲蔵の煙管入。教師となった久保田愛之丞が使った算木。また、三浦家というのがございまして、松平直政公が出雲の国の領主となったときに松江藩に登用され、その後、9代にわたって松江藩に仕えており、この三浦家の古文書の調査を進めていまして、皆さまにお目にかける初めての機会になります。9代目三浦正祐は、松江藩士から島根県の役人へと転身しています。その履歴書には毎年のように新たな任務を申しつけられていたということが分かるような内容となっています。10代目三浦周行は歴史学者として大きな足跡を残しています。明治4年に生まれ、明治23年に後の東京大学、東京帝国大学に入学、日本史を学び京都帝国大学で教授に就任。京都帝国大学の学生だったときの時間割など三浦家の古文書に加えてそのほかの松江の士族が残した資料など約100点を展示します。

あわせて、講演会を3月10日に行います。藤岡大拙名誉館長に「郷土松江が生んだ国史学の泰斗」と題し、三浦周行博士の業績について講演いただきます。そのほかにも学芸員によるギャラリートーク、古文書講座など士族の人生をテーマにしたイベントを開催します。皆さまのお越しをお待ちしています。

質疑応答

(山陰中央新報) 一畑バスの関連でいつ頃、発表いただけますか。

(上定市長)年明けの早い段階で対応策を示したいと考え、最後の調整をしている最中でして、来週前半にも改めてお集まりをいただき、アナウンスしたいと考えています。

(山陰中央新報)対応策を協議されていると思いますが、現状でのお考え、代替策の方向性をお願いします。

(上定市長)地域交通というのは、市民の皆さまが生活を営む上で欠かせないものだと認識しています。特に松江市の場合は市営バスもありますので、地域公共交通計画を年度末に向けて作成しています。一畑バスの路線廃止についても、市民の皆さんへの影響が最小化されるように我々としても調整しており、一定の見通しが立ちましたので、来週前半には皆さまにお知らせできるように最後の調整をしているところです。

(山陰中央新報)今月末に高校入試の願書の締切りの時期を迎えますが、廃止の方針が示されたのが11月で、市の検討状況、スピード感というのを今改めてどのように見ておられるかをお願いします。

(上定市長)速やかな検討を進めています。松江市のみならず市域をまたぐ路線もありますので、他の自治体との調整も重ねていますし、一畑バスとの協議も行っています。1月29日から県立高校の願書の受付が始まりますので、そこに間に合うように早めに検討していかなければならないという思いで年末から取り組んでおり、その調整が最終局面を迎えているという状況です。

(山陰中央新報)廃線によって進路を考え直さないといけないような生徒さんもいるかもしれないですが、そういった点も踏まえて対応されるということで、そういった受験生の方に市長としてメッセージがあればお願いします。

(上定市長)受験も最終局面だと思います。ここからまたぐっと学力が伸びる時期ですので、最後まで諦めずに前向きに勉強に取り組んでいただきたいです。皆さんが心配なく通学できるように必要な努力を松江市としても当然積み重ねており、来週の早い段階でまたお話をさせていただきます。その内容が皆さんが勉学に集中していただけるような内容になればと考えています。

(TSK)14日に県内唯一のデパート一畑百貨店が閉店し、既に市のほうはデザイン会議において今年秋に向けて具体的なプランをまとめる方向で進められていると思います。閉店日に一畑百貨店の錦織社長から、売却と賃貸の両輪で交渉を進めているというお話がありました。デザイン会議での議論の途中ではあると思いますが、現時点で売却もしくは賃貸に関して、どちらの手法が駅前の発展に対して望ましいとお考えですか。

(上定市長)土地と建物の所有者である一畑電鉄さんなり、一畑百貨店さんなりが判断される事項ですが、松江駅前の一等地で長きにわたって百貨店事業を営まれた場所ですので、そこのにぎわいの灯が1月14日に一旦消えてしまったわけですが、これが長引かないように周辺から守り立てていく必要があると認識しています。昨年の12月26日に松江駅前デザイン会議を立ち上げ、官民一体で検討してまいります。今年の秋までに結論を出す予定で、その議論に私も参加し、具体的な検討を進めていきたいと考えています。賃貸と売却については、中長期的に考えていく際に検討が必要と思っています。にぎわいの灯をまたともすということであれば、言葉があまりよくないかもしれませんが、手っ取り早いのはやはり今の建物をうまく利用する形で、一定の改修等は必要かもしれませんがテナントに入っていただき、賃貸で事業を営めるところがないかというのが1点。ただ、中長期的に捉えると、駅前のビル自体もともとはジャスコ系のピノというのがあり、一畑百貨店が殿町から移ってきたという経緯もあって、これから何十年と持続できる建物ではないようにも見え、建て替えも検討されるのではないかと考えています。土地と併せて売却について検討されているというところは理解できますし、そうなると取得された方によって大きくまちの形が変わることが想定されます。松江駅前にどういった機能が必要なのかとか、あったらいいのかということについて、まさに松江駅前デザイン会議で議論を始めているところです。賃貸借、売買についても今後出てくると思いますので、それに合わせる形でデザイン会議の議論とシンクロしながら、デザイン会議は基本的には松江駅前にどういった機能が必要かというところになりますので、地権者の方にこうしてくださいという何か権限を持って発動するような場ではありませんので、その辺りは地権者の方にも協議をしながら、具体的なまちの形を考えていきたいと考えています。

(TSK)市長として中長期的な目線を持つことが必要というお考えの下、今の建物はやはり売却の形で新しい何か建物なのか、もしくは広場といった運用のほうが望ましいのではという認識ですか。

(上定市長)売却という言葉が第三者に譲渡するという意味を持っているので、売却という言葉を使わずに考えると、現状をうまく使いこなすことも必要ですが、中期的に見たときにはビル自体の建て替えが必要になってくる時期をどこかで迎えるので、それを見据えた形で計画をつくっていく必要があるという認識です。短期的に見たときには今のビルの活用、中期的に見たときには今のビルでない建物や土地を前提として、松江駅前にどういった機能を求めていくのかという検討を始めたところです。

(TSK)中長期的に考えると売却して新しいものができるというところには賛成というお考えですか。

(上定市長)所有者の一畑電鉄さんからお聞きする限りは、そこに新しいものを建て直してという話には今至っていないので、そうすると今の建物が古くなれば結果的に土地も含めた売却が必要になってくる可能性が高いだろうと見ています。それを見据えた上で、松江駅前の利活用について考えていかなければいけないという問題意識を持っています。

(TSK)知事公舎の活用策について、県庁内でアイデアを募集したところ具体的なものが出ず、市にアイデアを募集するという話があります。現時点で、こういった活用がいいのではないかといった考えがあれば教えてください。

(上定市長)今の段階で何か具体的に決まっているわけではありませんが、近いところで私も視察をさせていただこうと考えています。その上で、松江の中心部にある知事公舎になりますので、地元で活用できることがあるかどうか、速やかに検討を進めていきたいと思っています。

(TSK)県が所有している建物の活用策を松江市側に投げられるということに対し、市長としての受け止めをお願いします。

(上定市長)丸投げされたという認識はなく、県知事の公舎ですが松江市に立地していますので、いいお話というか、いろいろ検討してみたいと思い前向きに捉えています。

(TSK)松江市内の高層マンションの件で、一部団体からは市が土地を取得してほしいといった要望もあります。市の条例では問題ないという認識も示されていますが、そういった要望に対して、どのように受け止めて、どういった対応が必要とお考えですか。

(上定市長)民間の取引ですので、行政がどこまで介入するのかというのは限界的なところもありますし、市民団体から要望があることについては認識しています。景観審議会で議論され、山の稜線にかかるかどうかという基準で高さ制限が松江市の景観の規制の中にあり、それには抵触しないことは確認した上で、一方でよりふさわしい色彩にするような答申が出ています。それを踏まえて我々から事業者に対してふさわしい色彩にするようにお伝えするとともに、市民団体の皆さんの動きがありますので、事業者として必要かつ十分な説明を尽くして理解を得るように努められたいというようなことについても我々から文書で申入れをしています。事業者の方と市民団体なりそういった声をお持ちの方との調整というのが基本にはなると思いますが、その過程において行政として何らか調整役を買って出る必要があれば、能動的に動いていくこともあると認識しています。

(TSK)調整役を買って出る必要があるということですが、土地の取得の必要性というのはその調整役の中に含まれるものですか。

(上定市長)さまざまな可能性を考えていく必要はあると思いますし、調整をする過程でいろいろなご意見も出てくると思います。事業者の方のお考え、例えば売却という話をしたときに、値段の話ももちろん出てくるでしょうし、その意向が実際に示されるかどうか、強引に土地収用のようなことはあり得ませんので、そういった点は確認していかなければならないと考えています。市民団体からも、先般要望書という形でいただきましたので、我々も検討した上で市民団体の皆さまと協議をしていくということも必要に応じてやってまいります。

(TSK)すぐに購入とかではなく、両者の意見の調整をまず必要であれば進めていきたいということですか。

(上定市長)そうですね。仮に土地の購入ということになると、当然財政負担もありますので、議会も含めて協議が必要になってきますので、今後検討を進めていきたいと考えています。

(時事通信)能登半島地震の関連で、今回の地震が半島部で発生し、被災地への陸路のアクセスが1方向に限られ支援が遅れるということがありました。松江市でも島根半島を有していて、さらに島根原発の原子力災害が発生する可能性もあるかと思います。この半島部での被災について改めて認識したことですとか、災害に備えての今後の対策についてのお考えをお願いします。

(上定市長)能登半島での対応を参考にしながら今後の備えをしていくことが必要だと考えています。現地にも職員を派遣していますので、地元の声なども聞きながら必要があれば松江市の計画の見直しであるとか、備蓄の内容の見直し、孤立集落が発生したときに実際にどれぐらいの備蓄品、どういった種類が必要だったとか、そういったことは大いに参考にさせていただき、万が一のときに備えた対応というのを充実したものにしていきたいと考えています。コロナ禍など非常に難しい局面を乗り切ったということ、乗り切っただけではなくてそれを糧にして次のステップにつなげていくことが必要であり、求められていると思いますので、しっかりと今回の震災についても我々でも受け止めた上で次の対策を検討していきたいと考えています。

(NKT)珠洲市の市長と1月3日に電話で話され、その後の支援についてのお話はされていますか。

(上定市長)具体的な支援については、全国市長会や全国知事会等の割当てがあります。能登半島に近い自治体かつ大規模な都道府県あるいは政令指定都市などの組織として大きなところに支援要請が来ているというのが実情としてはあります。離れている自治体にも順番で声がかかって支援をするということになると思います。松江市にもそういった全国市長会の割当てとして支援要請が来ているわけではなく、姉妹都市としての関係がありますので、ぜひとも支援したいという話を珠洲市を支援する自治体の代表の浜松市さんにも連絡を取り、今回枠組みに入らせていただいてます。今回の罹災証明の支援は主体で行われている千葉市さんと一緒にやっています。今後、必要な支援のニーズが変わってくると思いますので、それに合わせて支援をしてまいります。珠洲市は人口1万2,000人で、発生当初は6,900人の方が避難をされています。人口の半分以上の方が住める家を失い、珠洲市役所の職員の方も多数被災されており、出勤して業務を行うことが難しい状況です。珠洲市の状況をきちんと見極めた上で、必要な業務もいろいろ変わってくると思いますので、できるだけ柔軟に、資格が必要な場合などもありますので、そういったニーズに対応する形で職員を派遣していくということが基本だと考えています。

(NKT)2月1日以降のスケジュールはいかがですか。

(上定市長)予定としては三次派遣の予定も組んでいますが、状況が変わる、あるいはすでに派遣している職員の確認で、こういったところもできるのではということがあれば、その状況に応じて対応したいと考えています。

(NKT)島根半島とは半島の規模感は違うと思いますが、なかなか復旧が進まない現状について、どのように受け止めていらっしゃいますか。

(上定市長)道路インフラが復旧していくことによって、例えば仮設住宅の建設などもどんどん進んでいくと思いますし、道路が復活し、給水ができる環境になれば復旧は加速度的に期待できると思います。もちろん仮設住宅を建てることがゴールではありませんから、まちが復興していくプロセスには東日本大震災がそうであったようにかなりの時間を要することになろうかと思います。一般論ではありますが、復旧復興のための支援は日本全体でやっていく必要があると思います。松江市は珠洲市と姉妹都市の関係がありますが、それにかかわらずこの難局を乗り切るためにオールジャパンとしてやっていく必要があると認識しています。

(山陰中央新報)知事公舎の活用の件で、方向性としてはいかがですか。観光資源としても何か可能性があるだとか、その辺りの所感がありますか。

(上定市長)まだ自分で手触り感も持っておらず、自分で見てみる必要があるのと、思いつきでやる話でもないと思いますので、市民の皆さまあるいは松江市を訪れていただける方にとってどういった価値を生み出せるのか、どういう地域資源になり得るのか、大規模改修して全然違うものにする、あるいは更地にしてというところまで今考えているわけではないので、現状のものをどう生かすかという観点でまずは捉えてみたと考えています。

(山陰中央新報)松江市は橋が非常に多く、かなり古い橋もあるので、その辺りもちょっと見直していく必要があると思いますが、いかがですか。

(上定市長)当然ですが、橋や道路はいずれも定期的な点検を管理者がやっていますので、今直ちに危険な状況にあるということはございません。今回の地震でも、交通インフラ、道路インフラ等が整っていることが避難をする際にも必要になってくるというのは認識を新たにしているところがあります。インフラ整備については今回の能登半島地震も踏まえた上で必要があれば来年度、再来年度等の予算に盛り込んでいくということも必要だと思います。また、島根県あるいは全国市長会等を通じて国に対する要望の必要もあると考えています。

今、非常に困難な時期を迎えていますので、国からの割当ても能登半島中心にやっていくべきだと思いますし、そうした状況をきちんと見た上で、次に松江市として防災の観点から能登半島地震を踏まえて取り組むべきものについてもしっかり要求していきたいと考えています。

(TSK)一畑バスの廃止後の対応策は来週早いところで発表ということですが、その代替策としては乗合バスであったりAIデマンドバスなどが候補に挙がってきている状況でしょうか。

(上定市長)今、具体的に言えるところはありませんが、調整は最終局面にあります。代替措置が必要なものについては市民の皆さん、通学されている学生の皆さんに安心していただける内容を提示させていただきたいと考えています。

(TSK)ふるさと納税の代理寄附の業務は松江市だけが担当しているということですか。

(上定市長)「ふるさとチョイス」のホームページに掲載されていますが、ほかにもふるさと納税の代理寄附受付をしている自治体はあります。

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ファックス:0852-55-5665
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