令和6年度当初予算
令和6年度の当初予算についてです。当初予算編成の考え方ですが、島根県内の経済情勢は、コロナ禍等からの持ち直しの動きが続いている状況と捉えており、こうした地域経済の動向、市民生活への影響などを注視して、市民の皆さま、事業者の皆さまに対する支援を迅速かつ的確に実施してまいりたいと考えています。限りある財源ですが、松江市総合計画「MATSUE DREAMS 2030」の5つの柱に沿った施策に重点的に配分し、予算を組み立てています。
当初予算の概要ですが、歳出として1,064億2,000万円を計上しています。合計金額1,064億は、昨年度当初予算1,035億と比べて29億の増、これまでの中で最も高い金額となっています。この1,064億を市税のほか、地方交付税・国庫支出金などの歳入で賄っていくということで組み立てています。
総合計画の5つの柱に基づきまして、主要な施策、新しい取り組み、重点的な取り組みについてご説明します。
最初の項目「しごとづくり」です。
「職人商店街」の形成に向けた着実な取り組みを進めます。観て・体験できる店舗づくりの支援として、現代工芸などの新規出店、店舗のリノベーションの支援を拡充します。具体的には、革職人の製作風景が見学可能な工房の新規出店、ガラスアクセサリー作家さんが創作品をお試し出店して販売するといった際にも補助する制度に改めます。また、新たに中心市街地での回遊性の向上に向けた取り組み、商店街の連携による統一感のある看板や照明などの設置、中心市街地の回遊性向上に資する電動のトゥクトゥクなどの二次交通について支援を行います。
次に、「しごとづくり」と「ひとづくり」の両方を兼ねていますが、中学生向けの職業体験イベントの開催。これまで小学生には、お仕事体験フェス・松江城授業プロジェクト、高校生には、SHIMANEみらい共創CHALLENGEなどのメニューを用意しておりました。職業体験、ふるさと学習という観点で、中学生が今後の将来展望を考える職業体験のイベントを今回新たに開催します。市内の中学生1,500人を対象に、1月下旬、市内企業を中心に、参加企業50社程度を予定しています。こうした職業体験イベントを通じ、中学生が将来の夢の実現に向けて一歩を踏み出す機会にすると同時に、地元企業についても知る機会になると考えています。
続いて、農林水産業振興です。スマート農業技術の導入に向けた研修会、メーカーによる実演会の実施と導入支援補助金です。この研修会、実演会は新規で、スマート農業に係る理解を深めることを目的に、例えば経営規模に合わせた形でのスマート農業導入などの研修会、具体的な農業機械を用いて農業メーカーによる実演・展示会なども計画してまいります。また、スマート農業に必要な機械、施設などの購入経費の2分の1、上限50万円の補助制度も継続します。
次に、観光振興です。宿泊税を財源とし、松江観光協会の運営体制を強化し、データに基づく戦略を実行できる自立性の高い、観光地域づくりの司令塔としての役割を担う組織とするべく、その機能強化を図ります。観光地域づくり法人、DMOといいますが、観光庁への登録が必要となります。このDMOになることを目指して、マーケティング機能の強化、観光イベントの効果の検証などを行っていく計画です。
次に、「ひとづくり」です。
デジタルToデジタルのコミュニケーションモデルの構築、保育所の入所申請から決定通知までをオンラインで行うデジタル環境を構築します。今年度から手続の一部は、既にオンライン化を始めています。令和6年度は、最終的なデジタル通知なども含む一連のプロセスについてのオンライン化を進めてまいります。令和7年度までかけて、オンラインによって業務効率を上げることで、市民サービスの強化につながる人的資源の配分というところまでこぎ着けたいと考えています。
次に、子ども医療費助成の拡充です。現在、助成制度がない中学生の通院あるいは調剤について、制度の拡充を図り、4月から中学生までの入院、通院等に係る医療費を無料とします。
続いて、教育、こどもたちの未来に花を咲かせるオンライン学習支援「ボタンねっと」を本格的に実施します。昨年9月に実施したもののブラッシュアップを図ります。市立の学校に在籍する不登校の状態にある小学5年生から中学3年生を対象に、オンラインによって学校や社会とつなげ学習支援をしていきたいと考えています。4月に学校に対する周知を行い、5月から募集を始め、通信環境等を確認でき次第、配信を開始する定です。
次に、「つながりづくり」です。
令和6年は、小泉八雲没後120年、「怪談」の初版が発行されてからも120周年となります。それを記念するイベントの開催を支援します。市民、あるいは松江市内の団体が自主企画によって小泉八雲の顕彰に資する演劇、作品展、講演、アートイベントなどを企画・運営される場合に、上限30万円で補助を行います。それに加えて、これまでも実施している小泉八雲朗読のしらべ、ヘルンをたたえるスピーチコンテストなどのイベントについても継続して実施します。
次に、台北市での松江市工芸作家作品展覧会への出展です。これは、台北市のメディア企業と台北市立大学から、松江市在住の漆工芸絵師の武田さんに作品出展の依頼がありました。武田さんは、「八雲びいどろ」という八雲塗の新しい領域の商品を開発されています。本市伝統工芸の技術を生かし、さらに新たな魅力を生み出されている方で、この出展要請に応える形で支援を行います。台北市とは、中海・宍道湖・大山圏域で交流促進覚書を締結しており、今後も台北との産業交流、インバウンド観光等における連携の一つの契機としたいと考えています。
次に、プラバホールのリニューアルオープン記念イベントの開催です。今回、さんびるさんとネーミングライツのパートナーシップ契約を結び、4月に「さんびる文化センタープラバホール」としてリニューアルオープンします。4月7日のオープニングセレモニーを皮切りに、市民の皆さまが参加したり、地元の音楽団体によるコンサートなど年間を通じて開催します。
次に、松江市総合体育館の改修です。2026-2027シーズンから、島根スサノオマジックが所属するBリーグの施設運営等の基準が変わります。その基準に適合するアリーナとするための機能強化・改修に合わせて、改修後の施設の維持管理・運営についても一体的に実施するために債務負担行為を設定するものです。昨年11月議会の議決で債務負担行為の設定をしておりますが、債務負担行為が年度をまたぐと失効することから、今回また改めて提出させていただきます。現在、事業者の募集をしており、7月上旬を目途に契約し、その後、設計・改修等を経て令和8年9月からの運営開始を予定しています。主な改修内容は、観客席・スイート・ラウンジの確保・トイレの増設等です。
続いて、「どだいづくり」です。
地熱エネルギーを活用し、環境負荷のない温泉熱を活用するプロジェクトです。旧玉湯小学校に地熱発電施設を整備していますが、バイナリー発電機という地熱発電の機材の調達に時間がかかっており、事業が一旦停止している状態です。この発電設備の調達のめどが立ち、地熱発電の取り組みを開始します。発電だけではなく、その温泉熱を利用し農作物生産、玉造温泉の泉源として温泉の安定供給に利用することを考えています。こういった三方よしの形で地熱発電を、再生可能エネルギーの普及とともに進めてまいります。
脱炭素化による、国際文化観光都市・松江の魅力的なまちづくりについてです。昨年4月に、脱炭素先行地域に指定され「「国際文化観光都市・松江」の脱炭素化による魅力的なまちづくり」というテーマで、取り組みを進めており、令和6年度も継続します。主なものとして、民間ベースでは、市有の遊休地への太陽光発電設備の導入、宿泊施設や公共施設へソーラーパネルを設置、旅館の照明のLED化、松江しんじ湖温泉エリアにおける電気自動車のシェアリング等を導入します。行政においても、公民館の防災機能を強化する目的で、電気自動車等の導入を予定しています。
続いて、AIデマンドバスの運行の拡大です。昨年4月から、八束地区と美保関町の宇井地区を結ぶAIデマンドバスの運行を開始しています。非常に好評で、今後、地域を拡大してまいります。4月から大野・秋鹿地区での運行を開始、10月からは八雲・忌部地区、宍道地区についても運行を開始します。AIデマンドバス、AIは人工知能という意味で、デマンド、要求・要望があったときに合わせて運行するというもので、時刻表はなく、予約に合わせて配車されます。その配車と運行経路は、AIで行います。今後、こういった公共交通の一つの形態として、非常に柔軟かつ機動的に対応ができますので、既存の公共交通機関と組み合わせることによって、全体最適を目指します。
3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化によるまちづくりDXの推進です。鳥取市で既に取り組まれていますが、3Dで都市の地図を立体的に表し、その中にデータを格納するといった取り組みが自治体の中で進められています。この3D都市モデルを構築しますと、建築物、道路、土木構造物など、実在するものを三次元のデータとして取り扱うことができ、浸水など災害リスクの分析、新しい建物が建つときの景観シミュレーション、観光ガイドアプリの開発といったことが可能となります。まずは行政で開発をし、既存のアプリケーションを利用し、まちづくりや防災、観光分野での課題解決を図るとともに、これをオープンデータ化し、市民、民間企業の皆さまにも活用できる環境を整えてまいりたいと考えています。
次に、利用しやすい・行きたくなる公園づくりです。松江市内にある400の公園について、今、公園ビジョンをつくっており、その一つとして、北公園、これは松江市総合体育館の改修エリアも含みますが、この北公園周辺エリアについて、スポーツ、商業、遊び場として多くの市民の皆さんが集う、にぎわいの拠点を創出するための整備構想を策定します。
次に、津波ハザードマップの更新・配布です。年度内に島根県が松江市内の津波災害境界区域(イエローゾーン)を指定する予定です。ハザードマップをそれにあわせて更新し配布します。能登半島地震のときに、松江の日本海側では津波注意報が発令されており、ハザードマップを更新し配布することで、事前の備えを進めていきたいと考えています。
最後に、「なかまづくり」です。
中海・宍道湖・大山圏域市長会の連携を強化し、様々な事業に取り組んでまいります。産業振興では、ビジネスマッチング、台湾やインドとの経済連携、あるいは山陰いいものマルシェにおける物産・市産品の販売等を行います。また、観光振興では、2025年の大阪・関西万博に圏域として誘致を図る取り組みも進めてまいります。そして、圏域のインフラとして、新幹線や高規格道路である中海・宍道湖8の字ルートなどの整備の促進の活動も行う予定です。
以上が、令和6年度の当初予算として、2月20日から始まる2月議会に提出させていただく議案となります。
この記事に関するお問い合わせ先
政策部 広報課
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更新日:2024年03月06日