市長定例記者会見議事録(全文)
能登半島地震被災地支援のための本市職員派遣
松江市は昭和63年から石川県珠洲市と姉妹都市の提携をしており、珠洲市への応援派遣をこれまでも継続的に行っているところです。
派遣実績と今後の予定について今日の時点でまとめています。
まず1月4日から先遣隊3名を派遣し、現地の状況確認と、支援物資を運搬し先方にお渡しています。その後、1月17日から、全国市長会等とも連携のうえ、罹災証明の発行業務を担うべくこれまで37名を派遣しており、5月3日までさらに4名を派遣する予定です。また、保健師等による現地調査を2月に行い、その後、保健師を3月31日まで合計8名派遣しています。そして今後の中長期派遣について、4月22日から2名を派遣する予定で現在準備をしているところです。本市の派遣実績の合計は53名、今後の派遣予定が6名となっています。
4月22日からの中長期派遣については、来年の3月末まで、土木技術員1名を珠洲市の復興計画策定業務に従事するために派遣するということで先方と調整をしています。派遣予定の職員は、東日本大震災のときに陸前高田市でも同じように復興計画を立てた経験があり、即戦力として今回珠洲市のお役に立てるものと期待しているところです。
また、5月の中旬から同じく来年の3月末まで、上下水道局の職員を1名、珠洲市の水道施設の復興業務に従事すべく派遣する予定としています。引き続き珠洲市と連携調整のうえ、先方のニーズに応じた応援派遣を検討していきたいと考えているところです。
これまで説明したのは珠洲市への応援支援ということですが、そのほか資料に記載の自治体への応援派遣も行っています。これは島根県等からの要請に基づいたもので、DMAT、JMAT、看護師、保健師、応急給水活動、水道管の復旧活動といった業務で、珠洲市、七尾市、輪島市、能登町、穴水町へ、合計16名を派遣しています。
このほかに義援金などによる支援も行っています。1月4日から義援金箱を設置しており、4月末で終える予定でしたが、市役所の本庁・各支所の9か所では5月31日まで継続して実施しますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いします。
義援金総額は昨日時点で1,678万2,373円となりました。皆様からの厚い支援をいただき、本当にありがとうございます。このうちの1,640万円を既に珠洲市へ送金をさせていただいています。現状の義援金箱の設置場所については、こちらのQRコードから御確認ください。
また、ふるさと納税による災害支援の代理寄附の受付もしており、9月末までの予定です。現時点で874万2,000円、451件の納税をいただいています。こちらもポータルサイト「ふるさとチョイス」から納税をしていただくことができます。
これからも珠洲市ほか被災地の支援にできる限りの支援をしてまいりたいと考えています。市民の皆様の御理解、御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
「松江らしい景観」を保全・創出するための景観基準の見直し
これまでも何度かこの景観基準の見直しについてお話ししていますが、今後どういった形で進めていくかについて、まだ一部調整中のところもありますが、現段階のものをお示しします。
まず、景観基準の見直しの目的は、松江らしい景観を残し、次世代に受け継ぐためにその見直しを図るということです。その手法として2つあり、これを両方進めていくことを考えています。一つは景観法に基づくもので、眺望基準。松江市でいうと「松江市景観計画」があり、この計画の見直しを図るもの。もう一つが、景観法と都市計画法に基づき、松江城周辺の建物の景観基準を見直すものです。
まず眺望基準ですが、現状の基準としては「松江城景観形成基準」があり、「松江城天守から見える東西南北の山の稜線の眺望を妨げない」という基準が一つあります。360度、東西南北に係るもので、遠くに見える山の稜線を超さないというものです。
もう一つの基準は、「松江城天守から宍道湖の湖面が見える範囲で、嫁ヶ島の水際線を延長した線を侵さない」というものです。これがどこの範囲でかかってくるかというと、天守から宍道湖の湖面が見える範囲、(資料P11の図)東側が宍道湖大橋の南詰め、西側が堂形町の天倫寺付近の範囲です。
(資料P12の)写真で見ていただきますと、先ほど申し上げた天守から見える東西南北の山の稜線というのは、遠くに見える山の赤い線で、ここから高さが出ないというのが一つの基準。
もう一つは、天守から宍道湖の湖面が見える範囲で嫁ヶ島の水際線(青い点線)の高さを侵さないという基準です。
次に、(資料P13)松江城周辺の建物の高さの基準です。松江城周辺は、景観法あるいは都市計画法にのっとって高さの基準を設けています。12m、15m、20m、25mといった、区域ごとの基準があります。歴史的な景観の保全を目的に設けたものです。
一方で、赤線で囲っている地域は商業地域。松江城の南側は高層建築物の立地が可能な「商業・業務地」に区分されているというのが現状です。
こうした基準の見直しを今後図っていくにあたり、その検討主体として想定しているのが「松江市景観審議会」で、既に条例により設置されています。この「松江市景観審議会」に対して、近いうちに松江市から景観基準の見直しの検討をお願いする(諮問する)予定です。その上で、この景観審議会において専門の委員会を設置していただいて景観基準の見直しを検討していただくことを想定しています。
「松江市景観審議会」の中には、現在3つの専門委員会があり、「伝統美観保存」、「デザイン」、「屋外広告物」の各委員会があります。今回、新たな専門委員会として、「松江らしい景観検討委員会(仮称)」の設置を検討いただいているところです。
次に、今後の景観基準の見直しに関するスケジュール案です。6年度から8年度まで、先ほど見ていただいた2つの基準の見直しを並行して進めていく予定です。それぞれ高さ制限区域等の検討を図り、その上で1眺望基準の見直しについては景観計画を変更する手続を経て、来年の4月に施行を予定しています。
一方で、2景観基準の見直しについては、土地、建物の権利者への意向調査、住民との意見交換を経て決定手続をした上で、令和8年の4月に施行することを考えています。この間、松江市景観審議会専門委員会で検討いただき、1についての答申、2についての答申をいただくという段取りを考えています。また、市民の皆様に参加いただけるフォーラムの開催なども今年の秋を目途に予定をしているところです。
こうした手続を進めることで、松江らしい景観の保全・創出を図ってまいりたいと考えていますので、何とぞよろしくお願いします。
伐採木の無料配布(試行)
まず、経緯をまとめています。現在、松江市が管理している公園で、その利用の妨げとなるような樹木あるいは危険な樹木については伐採をし、それを有料で処分をしています。
このたび市民の方から、こうした伐採木を薪ストーブやたき火、木工品の制作に使えないかという提案があり、それを今回採用させていただきました。利用する方はこういった薪ストーブ、たき火等の材料を調達できることになりますし、松江市にとってもこれまで有料で処分していたその処分費を節約できるといったウィン・ウィンの効果が期待できると考えており、伐採木の無料配布を今回試行的に行うものです。実際どのくらいの方が欲しいと言っていただけるかということもありますので、今回は試行として行い検証を図ります。
伐採木処分の現状については、枝葉、細い幹は、市の施設「エコクリーン松江」で焼却処分しています。一方で、15センチ以上の太い幹、丸太のようなものはお金を払って民間の廃棄物処分場で処分し、それを堆肥化することによって、できるだけ循環型社会に貢献しているといったことがありますが、今回この太い幹のほうを有効活用できないかということで考えたものです。
今回の伐採木の無料配布は、1立方メートルの木の山を10ほど用意しており、募集人員を10名とします。応募者が10名を超えた場合は抽せんとします。
募集の条件は、申請者自身でこの1立方メートルの木の山を積み込んで運搬していただくこと、転売や営利目的ではないこと、松江市民の方でアンケートに協力できることです。
配布する樹木は、ケヤキや松などが混在しています。また、長さは1メートル程度、太さは5センチから40センチ程度、量は1立方メートルです。
応募方法は、ホームページから申込書をダウンロードしていただいて、ファクス、メール、郵送あるいは持参して提出、応募期間は4月19日から5月2日までです。配布場所と日時については、配布が決定した方に個別にお知らせします。よろしくお願いいたします。
新庁舎みんなのトライアル
新庁舎を日常的なにぎわいの場とするための実証事業として実施している「新庁舎みんなのトライアル」について、市民、団体利用と委託事業者の募集のお知らせです。
去年5月8日に新庁舎がオープンして以降、新庁舎のテラス、名前を募集して市民の皆さんに名づけていただいた「だんだんテラス(d-terrace)」を利用して、マルシェやフリーマーケット、楽しいイベント、コンサートなどを開催いただいています。
新庁舎のコンセプトとしては、行政事務の拠点となるのはもちろんですが、それだけではなく、市民の皆様や旅行で訪れた方が集い憩い楽しむことのできるにぎわいの場として活用される市役所を目指していきたいと思っています。平日にももちろん行政手続のために来ていただくわけですが、休日もしっかり使っていただけるような、休日のほうがたくさんの方が来てにぎわいがあるようなそういった市役所を目指しているところです。
そうしたにぎわいの創出に向けた昨年度の取組として、昨年の8月から民間事業者の方、また市民の皆様が新庁舎を活用して、運用ルールや効果的な活用を検討する実証事業を始めました。これが「新庁舎みんなのトライアル」です。
昨年度の実績として100件を超えるイベントの企画があり、主催団体も42団体に上ります。
主なイベントは、まずテラスを活用した事例が102件のうち55件。松江朝市やフリーマーケット、ミライソウゾウゆめまつり、宍道湖ラテンナイト、星空ヨガ、千鳥のお堀を学ぶワークショップなどがありました。
次に会議室を利用したものが47件、ゴスペルグループのコーラス、ウクレレ教室、高齢者スマホ教室、キャンドルを掲げたヨガ、アイリッシュダンス、文具の開拓をする開発プロジェクトなどが実施されました。
これらの総括ですが、アンケートによると、満足度「大変満足」と「満足」と答えていただいた方が、イベント主催者で98.4%、参加者で96.9%でした。市民のにぎわいの場となる可能性を確認するとともに、景色のよさや開放感や気軽さに高い評価をいただいているということを踏まえ、今後このトライアルをさらに進化していきたいと思っているところです。
一方で、新庁舎の可能性をさらに引き出すための方策の検討が必要と認識しており、イベント主催者同士が交流できたり、相互で連携できる機会を設ける、あるいは新庁舎周辺の施設、民間事業者と連携して相乗効果・シナジーを生み出すようなイベントを開催していきたいと考えているところです。
そのために、今年度新庁舎活用促進のための2つのトライアルというのを実施してまいります。一つが新庁舎みんなのトライアル「アップデート」としています。こちらは市が直営の事業です。もう一つは新庁舎みんなのトライアル「フロンティア」と銘打っており、委託事業者の方に企画、運営・調査もしていただく。この2つのトライアルを実施していきたいと考えています。
「アップデート」は、さらに効果的な活用方法を検討するためイベント等で利用していただく市民、団体の皆様を募集します。対象は、市内に在住または通勤通学、あるいは市内に所在している企業、団体等になります。利用目的としては、誰もが参加できるもの・広く参加者を募ることができるイベントということです。よって、例えば会社の会議など特定の方のみを対象としたものは該当しません。
また、昨年度は利用料金をいただいておりませんでしたが、今回は受益者負担の観点から利用料金をいただきます。収益が生じないボランタリーなイベントについては、別途検討させていただきます。料金は、だんだんテラスは1時間当たり800円から1,200円と利用する区画によって異なりますので、詳しくはホームページから御確認ください。会議室は、1時間当たり500円と考えています。利用申込は、ホームページから申し込みください。
もう一つは「フロンティア」で、こちらは委託事業者を募集します。イベントの企画・運営とモニタリングによる調査、また効果の検証を実施していただく委託事業です。
募集は既に始めており、今週月曜日から1か月間、5月15日までを予定しています。提案をいただく内容の上限額を300万円とさせていただいています。事業者の選定は、公募型プロポーザル方式です。
業務の具体的な内容としては、イベントの企画・運営、調査、効果の検証で、高校生・大学生など若者による活用、市内の中心部だけではなく周辺部で活動する市民団体による活用、既に新庁舎を利活用されている民間事業所同士のコミュニティづくり、新庁舎周辺施設や民間事業者などとの連携とその相乗効果などについて検討いただきたいと思います。
また、これまでにない形で新庁舎を活用して、その可能性を引き出せると期待できる取組、新規の取組についてもお願いしたいと考えています。年5回以上はイベントを開催していただき、また合わせて1,000人以上の来場の達成を目指していきたいというふうに考えております。
募集要項等につきましてはホームページに掲載していますので御覧ください。お問合せは新庁舎整備課までお願いします。
こういった実証事業を通じて潜在性を確認していきたいと思っており、今年度もたくさん楽しいにぎわいの拠点となる事業を展開してまいりますので、市民の皆様、また旅行者の皆様もぜひ訪れていただければと思います。よろしくお願いします。
一般国道9号乃木福富町自転車歩行者道整備
国道9号線の乃木福富町の800メートルの区間は、松江市内の国道9号線で唯一、自転車道・歩道が整備されていない区間です。自転車あるいは歩いて通行するうえで非常に危険であったことから、整備を要望していたところ、今年度から調査設計に着手していただくこととなりました。
具体的な区間ですが、松江玉造インターと松江の中心市街地の間、「宍道湖ボウル」と「ふじな亭」の間の800メートルの区間です。
この自転車歩行者道の整備主体は、国土交通省中国地方整備局松江国道事務所です。事業内容としては自転車歩行者道の新設整備、6年度の事業費は調査設計費1,000万円ということです。
整備の必要性と効果について、当該箇所の課題としては先ほど申し上げたとおり松江市内の国道9号で唯一の自転車歩行者道が未整備の区間でした。資料に写真もつけておりますが、自転車などで通行する場合には車のすぐ横を通りますので、接触事故の危険性・懸念があります。そのため、通学通勤する自転車利用者の多くは、南側の県道に迂回せざるを得ない状況です。
今回、自転車歩行者道を整備することにより、歩行者・自転車利用者の安全性の確保・向上ができます。また、今後サイクリングコースあるいはジョギングコースとして活用できることになれば、本市のスポーツ振興あるいは市民の健康増進の効果も期待される。市民生活の質の向上にも寄与すると考えております。
さらには宍道湖の夕日が見られるスポットや水郷祭のような花火が鑑賞できるスポットなど、こうした新たな観光資源を創出する可能性も、国土交通省と一緒に探りたいと考えているところです。
若干順序が逆になりますが、これまでの経過をまとめています。昨年度、松江市と地元の交通安全対策協議会などが中心となり要望活動、視察などを行っています。国土交通省や地元選出の国会議員への要望、また10月には松江市から呼びかけ、地元の自治会、交通安全対策協議会、警察、県教育委員会、国土交通省松江国道事務所等の皆さんに集まっていただき、現地を確認し整備の必要性について問題認識を共有しました。こういった活動が実り、今回1,000万円の事業費をつけていただいたというところです。
事業主体は国土交通省になりますが、我々もそれに協力し本事業の早期完成に向けて取り組んでまいりたいと考えているところです。
松江歴史館・企画展「神々の美術 -出雲の神像と神宝-」
4月26日から6月16日まで、企画展「神々の美術 出雲の神像と神宝」を開催します。出雲の社寺に残る神像や仏像、神宝を展示する企画です。
もともと日本人は、仏教が伝わる前は、神を海や山、岩、樹木などに宿るものと考え、具体的な神の姿を表しませんでした。
しかし、大陸から仏教が伝わり仏像を目にすると、やがて神の姿を表すようになります。それが神像です。
こちらは清水寺の「木造摩多羅神坐像」です。口元が口角をちょっと上げており、口から歯をのぞかせて笑っているという非常に珍しい神像です。重要文化財に指定をされています。
次は神魂神社と関係の深い仏像です。日本人は、人々を救済するために仏が神の姿になって現れたと考え、仏像も神として祭られ信仰されました。こちらが神魂神社と関係の深かった浄音寺(大庭町)にある「木造十一面観音菩薩立像」です。
また、日本人は神様も人間と同じような生活を営んでいると考え、衣装や化粧道具など、神様が日常生活に必要なものを作って奉納してきました。それが神宝です。今回の展示では、佐太神社の「彩絵檜扇」をはじめ、数々の貴重な神宝を展示します。
そして5月28日からは、出雲大社が所蔵する国宝「秋野鹿蒔絵手箱」も展示します。松江市内での展示は27年ぶりとなりますので、ぜひ御覧いただければと思います。
今回の企画展「神々の美術」では、展示作品数が32件、国宝が1件、国指定重要文化財8件、県指定文化財が13件となっています。見どころとして、島根県東部の社寺に伝わる名宝が大集合すること、先ほど申し上げた国宝「秋野鹿蒔絵手箱」などは松江での公開は27年ぶりとなり貴重な機会です。また、松江歴史館では初めての神道美術展となります。
またこの会期中に、展示を担当した松江歴史館の学芸員によるリレー講座を開催しますので、ぜひ御参加いただければと思います。詳しくはこちらのホームページを御覧ください。
皆様のお越しをお待ちしております。
その他
今回資料として用意したものは以上ですが、あと2点お知らせします。
一つは、今年10月に一畑バスの路線廃止が予定され、その対応について、3月28日の定例記者会見で御津線と荒島線の代替交通のダイヤについて発表しました。その際に、残るマリンプラザ線と大東線のダイヤについては本日4月18日に発表する予定としておりました。しかしながら、現時点でバス路線の沿線住民の皆様、また交通事業者と最終調整を行っている段階です。今後、調整が整い次第、皆様にお知らせしますので、その旨ご了承ください。
もう一つは、知事公舎の利活用についてです。知事公舎の活用計画について島根県から照会があり、明日4月19日が回答期限でした。その立地を十分に生かして活用していくにはどうしたらよいか引き続き検討を進めているところであり、まだ市としての具体的な案が取りまとめられておりません。さらに検討を図るため期限の延長を県にお願いしたところ理解を示していただきましたので、当面の間、検討を続けさせていただくことになりました。今後、活用方策についてさらに検討を進め、具体的な案になった段階で県に回答したいと考えているところです。
私からは以上です。
質疑応答
(毎日新聞)景観基準の見直しについて、審議会の中で新しく委員会を設置されるということで、この委員会がなぜ必要なのか、どんな議論を期待するのかについてお願いします。
(上定市長)現在、景観審議会の会長と具体的な進め方について協議しているところで、まだ決定している訳ではありませんが、今後、市から速やかに、景観審議会に対して景観基準見直し検討の諮問をしたいと思っています。あとは景観審議会においてどのような取り扱いをされるかということになりますが、現行設置されている「専門委員会」の中ではなかなか整理しきれないのではないか、景観を検討する個別の委員会を立ち上げるのがいいのではないかという議論をしているところで、新しい専門委員会をつくるのが本件についての検討を進める上ではいいのではないかということです。
期待することについては、まさに松江らしい景観をいかに保全し、今後も創出していくことが必要だと思っており、そのバランスの取れた形での議論というのを期待しております。また、できるだけ速やかに、松江市として制度上の担保といいますか条例改正等も進めていきたいと思っていますので、議論がスムーズに進んでいくということを期待しているところです。
(毎日新聞)もう1点関連して、この委員会の中に、景観審議会以外の外部メンバーを入れる考えはありますか。
(上定市長)あり得ると思います。景観審議会で議論されるに当たって、必要に応じて臨時委員を置くとか、アドバイザーのような方を置くというのは可能ですので、あくまで景観審議会あるいは専門委員会の中での判断ということになりますが、そういった専門家の方に入っていただくことはあり得るのではないかと考えています。
(日本海テレビ)同じく景観基準の見直しについて2点。今後の進め方ですが、眺望基準と周辺の建物の景観基準の見直しとありますが、進め方としては眺望基準を決めてから建物の基準に移るイメージですか。
(上定市長)これは景観審議会のほうで進めていただく内容にはなりますが、私としての考え方について少し触れさせていただきます。2つの基準は全く違うものではなくて、当然のことながらシンクロしていく部分が多々あろうかと思います。「まずは1の検討を進めて終わったら2を進めていこう」ではなくて、全体の景観基準がどうあるべきかという議論を経た上で、1と2の両方を並行して進めていくようなイメージを持っています。実際は1と2がいわゆる拘束力が違ってくる部分もありますので、これは市としての希望ですが、1のほうは一番早く進んだ場合には1年後、来年の4月には施行できるということですので、この審議を進めていただいて来年の4月には何らかの見直しができれば大変ありがたいと思っています。2のほうは、できる限り早く進めたとしても2年程度はかかると考えており、この2つが並行して検討が進められていくというのが理想かなと考えているところです。
(日本海テレビ)もう1点、「松江らしい景観」というワードがありますが、今回この見直しを図るに至った経緯が、基準が設けられていて審議会も通ったにもかかわらず後で市民団体から物言いがついたということだと思います。「松江らしい景観」というのがすごくアバウトかなという印象を持っていまして、今回も、決めたときにこの「松江らしい景観」のあいまいさによりまた何か問題が起きるのではないかとちょっと懸念するところがありますが、「松江らしい景観」というのはどういうものをイメージしておられますか。
(上定市長)「松江らしい景観」ということ自体、多分イメージとして市民の皆さん一人一人で違うと思います。松江としてのまちづくりの在り方はどうなのかといったところから議論をいただく必要があるかと思っています。
松江城の周辺について、今までも高さの基準を設けて松江らしい町並みを守ってきましたが、今回、高さの基準がかかってないエリアで高層マンション建築の話があり、そのエリアについて景観保全の観点で検討していくこと、それが松江らしい景観づくりにつながっていくのではないかと考えているところで、その辺りを含めて景観審議会で委員の皆さんに議論していただきたいと思っております。
(日本海テレビ)「松江らしい景観」ってそれぞれ皆さんイメージが違うと思いますが、今後松江城の周辺以外で「松江らしい景観」って議論の対象になり得ますか。
(上定市長)なり得るとは思います。ただ順番を追ってということ、いま申し上げている「松江らしい景観」というのは松江城を含む城下町を一つのポイントとして置いていることは間違いありませんので、まずはこの中心部の松江城周辺エリアから考えていくというのが、松江らしさを体現していく上では必要かと考えているところです。
(山陰中央新報)関連してですが、(資料P15の)2の部分は法的拘束力がある規制だと認識していますが、ほかに強制力のある高さ制限の手法などはないのでしょうか。
(上定市長)現在、具体的な規制の在り方としてこの2つが考えられるということで提示しています。今後議論を進める中で、何かうまく活用できそうなものがあれば取り入れていきたいと考えています。
ただ、基準を改めても、指導・お願いはできますが、罰則規定があるわけではありませんので、その辺りのバランスを取りながらということになります。
実際に住民ニーズとして、高層かどうかは別として住居ニーズや、商業施設で高層のものも建てたいということがあるかもしれません。そういったこともバランスとして考えていかなければいけませんので、今回保全、創出という言い方をさせていただいていますが、守ることは、ある意味、規制をどんどん強めればできますが、我々は、当然ですが普通に社会経済活動、市民生活を営んでいく必要がありますので、利便性の観点等も考えていく必要があるので、「創出」という言葉も盛り込みながら、そのバランスについても議論していただきたいと思っております。
(山陰中央新報)もう1点、大橋川沿いに建つ45メートル前後のマンションの事例では、景観計画に基づいた諮問と答申をされて高さの引下げなどを勧告されたと思いますが、法的拘束力がないとして基本的には計画変更に応じないという旨を事業者から市に伝えられたと聞きました。この景観計画に基づいた勧告に応じない場合はその事業者名の公表などもできるという話がありましたが、この見直しまでにかかる1年間から2年間の間、同じようなマンションの計画があった場合どのように対応をされるのでしょうか。
(上定市長)事業者の皆様に対し、市が景観計画の見直しを計画していて、松江の景観の保全・創出が必要だと考えているということは分かりやすく丁寧に申し上げていく必要があると思っています。
先ほどおっしゃられたように、いわゆる勧告ができるのは、条例に抵触していて、これ以上の建物を建ててはいけないのにそこに建てようとしている場合。応じない場合には事業者の公表をするという流れになります。そもそも今はそういった規制がありますが、この辺りについてはそんなに厳しい規制がかかってるわけではありませんので、大橋川のところも含めて、高い建物を建てることができるわけです。それに対して、今回の大橋川周辺のマンションの答申については、これは勧告にはなっていなくて、お願いなんです。そのお願いに対し、今まだ書面ベースでの回答があるわけではなく、口頭で私どもから説明したところ、収益性等もあって応じにくいといった話をいただいているところです。今後、書面で正式な回答をいただくことにしていますので、その後の対応については、また景観審議会などにも報告しながら検討していきたいと考えています。
(読売新聞)景観基準の見直しについて関連で伺います。前回の市長定例記者会見のときに今の商業地域の想定対象エリアを示されましたが、具体的な高さはどの辺りをイメージしておられるのでしょうか、まだ具体的にはないでしょうか。
(上定市長)今、具体的に何mとかいうものがあるわけではありません。先ほどもあったように、山の稜線というのが非常に曖昧です。向こうに見える山にかかってなければ取りあえずいい。だけど、向こうの山も木々でできてるわけですから揺れますし伐採すれば低くなるというようなことも含めて非常に曖昧なので、それを具体的なものにしていくという方向性は考えてはいますが、今の段階で何mというところまでは議論ができておりませんので、今後景観審議会あるいは専門委員会で議論をしていただく中で明らかになってくるものと捉えています。
(読売新聞)高さについては、例えば市のほうからある程度明示された上でということになるんでしょうか。
(上定市長)高さ以外もですが、景観審議会とやり取りしながらになりますので、例えば審議会のほうから「市としてどういう案があるのか示してほしい」と言われれば、示すことはあり得ると考えています。
(読売新聞)もう一つ、眺望基準について、現状はこういう形での松江城の景観形成基準というものがあります。これを具体的に、どういうふうに見直すというのが、僕自身はあまりイメージできないんですけれど。
(上定市長)これも景観審議会のほうに議論をお願いすることになりますが、一つの例として、今の基準は、いずれも松江城から見た眺望です。反対に松江城がどう見えるのかということについては触れておりません。ですので、ビューポイントと言うか、あるところから松江城を見たときに、それが見えるっていうことも含めて検討していく、松江城天守から見るというだけではなくて、ほかの観点・ほかの視点から見たときの眺望というのも、松江らしい景観を保全していく上でポイントとなるものというふうに考えております。
(読売新聞)上からだけじゃなくて、下からの視点も加えるというイメージですか。
(上定市長)そうですね、上からのところもどういうふうに考えていくのか。山の稜線という観点ももちろんですし、ほかの見方をしたときに、松江らしい景観がいかにあるべきかという点で規制をプラスしていくということは、大いに考えられると思っています。
(山陰中央新報)国道9号の自転車歩行者道整備について、これは道路の両側に歩道をつけるようなイメージですか。
(上定市長)宍道湖側に拡幅を検討されていると聞いています。
(山陰中央新報)歩道の幅が4メートルになるということですか。
(上定市長)歩道と自転車道が合わせて4メートルです。
(山陰中央新報)今ある車道の幅は変わらない?
(上定市長)その辺がどのようになるのかは国土交通省の判断になります。今回調査設計費がついているので、今年度そういった検討も併せて行われるものと考えています。
(山陰中央新報)市として、事業の完了時期などについて協議をされていますか。
(上定市長)協議しているわけではありません。今後、調査設計をされた上でということになろうかと思います。
(山陰中央新報)最後に説明いただいた一畑バス路線廃止への対応について、地元と最終調整中ということですが、5月中にという感じになるんでしょうか。
(上定市長)現在、地元の皆さんに対しての説明会・意見交換会を行っています。住民の皆様からの御意見をできるだけ受け止める・反映する形で、今度は交通事業者、松江市交通局・一畑バス・コミュニティーバスの運行候補者との調整を経た上でということになります。いつというのが申し上げにくいところですが、当然のことながら速やかに、10月の運行開始ではありますが、できるだけ早く決めて皆様にお知らせしたいと考えています。
(山陰中央新報)知事公舎についても1点伺います。期限延長を県にお願いされたということですが、市として、何か活用案が今のところありますか。
(上定市長)これは行政だけで丸抱えしてやるというよりは、いわゆる民間活力、民間事業者の皆様と一緒にどういうことができるのかを考えていきたいと思っています。そうなりますと、関係者がどういった考えをお持ちかということも聞いたうえで検討を進めていかなければいけないので、ちょっと時間がかかってくるかと思っているところです。
今の段階で、具体的に何かお示しできるようなアイデアというか、選択肢が手元にあるわけではありませんので、今後さらに検討を進めていきたいと思っています。
(山陰中央新報)当然、観光の面での活用ということが…。
(上定市長)立地が塩見縄手ですので、それを最大限生かしていくというのは当然踏まえていきたいと思いますし、観光だけに特化するというよりは市民の皆さんが利用することができるような施設というのも一案としてはあると思います。いずれにしても立地がすごくいいので、どういうふうに活用していくのか前向きに検討していきたいと思っています。
(山陰中央新報)最後に、宿泊税のことで1点お願いします。パブリックコメントを募集しておられますが、丸山知事が「宿泊者の税負担の回避に向けて免税点が必要」とかねてから言っておられ、パブリックコメントとして市に意見提出をされたことはお聞きだと思いますが、この点について市長の受け止めをいただければと思います。
(上定市長)知事から関心を持っていただいて御意見をいただけるのは非常にありがたいことと思っており、知事にかかわらずですが、皆様からいただける御意見は非常に貴重ですので、それを踏まえた上で、今後、具体的な立てつけについて検討していきたいと考えています。
宿泊税については、検討委員会を設けそこで審議いただいていましたので、その結果を踏まえて現在パブリックコメントをさせていただいています。4月30日までが募集期間で、今のところ、知事からのご意見も含め18件の意見をいただいています。それらのご意見を踏まえた上で、今後具体的な検討を進めたいと考えております。
(山陰中央新報)委員会での議論では、事業者側の負担、税の公平性といったことで案をまとめられたと承知していますが、一方で、島根県は東西に長く、県西部から医療機関が充実している県東部に行こうとしたらどうしても宿泊を伴うことも想定されますが、そうした税負担の考え方については、市長としてはどのように思われますか。
(上定市長)税負担というより宿泊税の話として考えたとき、結局宿泊された方の利便性も高める、宿泊された方に対してその効果があるというのが宿泊税だと思います。一般的に言えば、観光のための資源の修理や建設に充てるだけではなくて、例えばバリアフリーだとか、宿泊された方の利便性が高まるものにも宿泊税を活用できますので、宿泊税の活用ということで言えば観光目的だけに限らないということはあろうかと思います。
一方で、先ほどおっしゃっていただいたように、免税点を設けることによって宿泊事業者の皆様が、この人は観光目的なのか、あるいはビジネス目的なのか、あるいは医療を受ける目的なのかという判断が非常に難しいところがありますし、両方兼ね備えていらっしゃる場合もあります。それらを実務上どういうふうにクリアしていくのかについての議論が実際にあり、結果として、検討した上で免税点は置かないことでまとまったのが今の報告書です。そのうえで今後、パブリックコメントでいただいたご意見も当然加味した上で、松江市としての方向性を検討していきたいと思っているところです。
(山陰中央新報)先ほどバリアフリーや社会活動ということをおっしゃいましたが、それは松江に来られて宿泊施設を使って、泊まられながら観光以外の目的で動く方にも利益があること、改修だとかそういったことにも使える、という認識ですか。
(上定市長)そうです。宿泊された方が市内で、例えばWi-Fiを利用されるとかキャッシュレス決済をするとか、そういったデジタル化によって利便性を高めるようなことに使われている事例もあると思います。ですので、観光以外で宿泊された方に対してという観点もあると思います。県内から医療目的で来られた方に対して、どのようにサービスとして提供できるのか、4月30日までまだありますので、皆様からも意見をいただいた上で検討を進めていきたいと思っています。
(山陰中央テレビ)知事から求められている免税点について、報告書の時点で外されて上がってきた、当初そういうものが盛り込まれてなかったというところからすると、それを今後盛り込んでいくというのは難しいという考え方なのでしょうか。
(上定市長)今の段階で免税点を設ける・設けないとか、難しいかそうでないかというような判断をしているわけではなくて、今後出てくる意見も含めてパブリックコメントを踏まえた上で検討を進めていこうと思っていますので、今の段階で何か結論があるわけではありません。
(山陰中央テレビ)今回公表予定だったバスのダイヤについてですが、公表予定がちょっとずれ込むということで、どういうことで調整が難しかったり、どういう意見で調整に時間がかかっている、というところがありますか。
(上定市長)住民の皆さんの希望というのは当然長い路線、今までの路線を維持したいというほうが強いというところもありますし、一方で一畑バスにとってみると、経営上、路線の減便あるいは路線短縮ということが必要な面もあるというところで、その調整が必要となります。もともとは3月28日の時点では、今日4月18日までには調整を整えておきたいと考えていましたが、住民の皆様の希望とそれに合う形での公共交通をつくりつけていくのに予想していたよりも時間がかかっているという状況です。
今後もまた意見交換会、説明会等開いていきますので、当然のことながら住民の皆さんにできるだけ寄り添う形で調整を進めていきたいと思っているところです。
(時事通信)万博についてお聞きします。 2025年大阪・関西万博が開幕まで1年を切りました。準備の遅れですとか事業費の膨張が懸念されている中で国に求めることをお聞きしたいのと、あわせて、先日「温泉ツーリズム推進協議会」が発足されて、松江市も参加されていることと思います。これも含めて、松江市として取り組むことですとか万博の機運醸成に向けての意気込みを教えてください。
(上定市長)来年に迫った大阪・関西万博は、インバウンド観光を取り込んでいく非常に大きなきっかけになると思っています。関西圏域にあってこの山陰、あるいは島根、松江にないものもたくさんある一方で、逆もしかりと思っており、山陰、松江に来ていただく意味というのが見つけられるというふうに考えています。
そのうちの一つが温泉でもあり、先ほどの「温泉ツーリズム推進協議会」というのを先般立ち上げて、全国9ブロックのうち7ブロックの代表者が集まって記者会見をさせていただきました。私が中国ブロックの代表として特に玉造温泉と松江しんじ湖温泉についてPRをさせていただきました。今後「温泉ツーリズム推進協議会」のネットワークを通じて、インバウンド誘客も図っていきたいと思っていますし、観光地同士の連携も図っていきたいと思っています。
国に対しては、先般も記者会見の後に観光庁に行き、温泉ツーリズムも含めて大阪・関西万博を基点とした地方へのインバウンド観光客の取り込みについてお願いをしてきたところです。機運が日本全国として高まり、かつインバウンド観光の方も含めて万博にたくさんの方が訪れていただくためには、例えばパビリオンの建設が予定どおり進みPRも世界的にしっかりやっていただいて、たくさんの方が大阪のみならず中国地方にも来ていただけるような機運をつくっていかないといけないと思いますが、松江市だけでできることは限られているので、国や他自治体とも連携をしながら取り組みたいと考えています。
昨年、観光戦略プランというのをつくり、また宿泊税の検討あるいは松江観光協会の強化ということも進めておりますが、インバウンド観光は一つの大きな、今後の需要が見込める部分だと強く思っており、その一つのきっかけを大阪・関西万博に見いだしていきたいと。かつ大阪・関西万博で一過性のものにせずに、その後もしっかり続いていくような観光戦略を打っていきたいと思っています。
(山陰放送)知事公舎の話ですが、県からは優先交渉権みたいな形でまず市に話があったのかということ、具体的にその買取りみたいなところまで県から打診があったのかというところをお聞きかせください。
(上定市長)今は利用計画について照会を受けたというところです。ですから、具体的な条件というか、買い取るとか貸してもらうとかも含めて我々からも提案はできると思いますが、具体的に何か条件をつけてということではありません。
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更新日:2024年04月26日