歩行者・自転車利用者が安全・円滑に利用できる道路環境整備

更新日:2024年06月14日

歩行者・自転車利用者が通行しやすい道路環境整備のためのビジョンを策定しました。

まず、現在の道路環境についての課題です。市内、中心部は特に道路があまり広くなく、そこに車、自転車、歩行者が譲り合いながら通行している状況です。市街地の道路が狭かったり、街路樹が大きくなって通行を妨げている、自転車と歩行者が接触するような場面もあります。歩道や自転車通行帯の整備にはたくさんの費用と時間が必要で、現在、物価も事業コスト自体も高騰し事業費も増大してきている状況がある一方、インフラの整備をしてからちょうど改修が必要な時期を迎えています。中心市街地については、歩いて過ごせるようなまちづくりを進めていきたいと考えており、こういった現状、課題を踏まえた上で、今後の道路整備をしていく必要があります。

松江市道は、距離数2,000キロあります。歩道整備計画がある96キロのうち、この3月末で整備済みは52キロです。自転車についても同様に、37.2キロの計画に対して整備済は20.5キロにとどまっています。構造的な問題として、道路は一回造ってしまうとそれを広げるのが大変難しくなります。道路を拡幅して歩道をつくるには、用地買収費用や地権者との合意が必要となるなど、お金と時間がたくさんかかります。今後このやり方ももちろん進めていくわけですが、一方で、現在の道路環境の中で安全性を高めていくことも必要と認識しています。

それをまとめたのが今回の「歩行環境整備ビジョン」です。ポイントとしては、道路を拡幅しなくても安全性向上につながる手法を積極的に採用していこうというもので、イメージとしては、例えば資料P40、41にあるような「ハンプ」と言いますが、車の速度を抑止する設備の設置や、樹木を取ることによって道路施設の配置を再編するといったものです。こういった取り組み方針を、3つの観点で路線やエリアごとに明確化します。

まず、資料P41の「A 安心して歩ける通学路」ですが、先ほど申し上げたハンプや、そのハンプと横断歩道を併せたスムーズ横断歩道、また防護柵を設けるといった取り組みを進めていきます。資料P42の「ゾーン30」というのは、30キロの制限速度を守って通行してくださいというエリアで、そこにプラスしてスムーズ横断歩道などを設ける取り組みを始めています。歩道の整備が難しい場所でも、こうした手法を活用し、とりわけ学校の周辺エリアで通学路の安全性を確保したいと考えています。

次に資料P43の「B 安全な歩道へのリニューアル」です。安心して利用できる歩道・車道の再整備にあたり、電線類の地中化、街路樹の適正化、自転車ネットワーク計画などと調整・整合を図りながら一体的に再整備します。資料の写真は春日から菅田に抜ける市道ですが、ここは植栽を撤去し、歩道の拡幅と自転車通行帯を整備しています。こうした形の整備をほかの場所でも考えていきます。

3つ目は資料P44「C 歩きたくなる中心市街地」です。右の図は「中心市街地エリアビジョン」で、例えば「白潟周辺ゾーン」は車中心ではなく、人中心のまちなかにするということを目指しており、とりわけJR松江駅と松江城を結ぶL字のラインにまちあるきルートを整備していこうとしています。多様なモビリティと人が安全に共存できるまちづくりを推進したいと考えており、白潟周辺ゾーンについては、電線類の地中化、歩行者空間の美装化、景観照明の整備、案内板の設置などをしていきます。資料の写真は和多見2号線で、ここは歩行者空間としての美装化を図っており、歩行者が安全に使いやすい道路を整備していきます。

こういったA、B、Cの方針により整備を進め、現在の整備率54%を、令和15年度末には85%まで引き上げます。小学校周辺を優先して整備を進め、最終的に令和20年度には100%、全ての路線の整備を完了するように進めていきます。

次に資料P47の自転車ネットワークについても、歩行者・自転車双方の安全確保のための自転車道整備、渋滞緩和のための自転車利用の推進を目的とした計画を立てています。自転車専用通行帯の確保を念頭に進めていますが、未整備区間は道路が狭いところが多く、自転車専用通行帯の確保が難しいこともあり、今年3月末時点の整備率55%となっています。

そこで、現状の道路幅員を前提としながらも、車道の左側端(路肩)のカラー化や、ピクトグラムの路面標示により自転車走行指導帯を設け、安全性を確保していくことを考えています。こうした取り組みにより、現在の整備率55%を、本ビジョンの期間終了時(R15年度末)には79%まで上げ、さらに令和25年度末には100%を目指していきたいと考えています。

資料P49は、自転車ネットワーク計画で取り組んでいく路線です。黒の線は整備済み、青の破線(8路線)が整備予定です。今後は、サイクリングコースとの連携なども考えていきたいと思っています。

引き続き、交通安全に対する意識を高めるとともに、安心・安全な歩行空間づくりに取り組んでまいります。現在、国や県でも歩道の整備を進めていただいており、国、県の整備の進捗と足並みをそろえながら、市でも積極的に取り組んでまいります。

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