会見議事録(全文)

更新日:2024年10月25日

松江市ガス事業譲渡先公募開始

松江市ガス事業につきましては、昨年8月、民間譲渡の方針を打ち出し、その後、基本方針なども示させていただきました。その後、民間譲渡に向けた譲渡先選定委員会設置を議会にお諮りし、事業者の皆様等との意見交換会も実施したうえで、今年の4月から選定委員会において議論を重ねていただいていました。4回にわたる議論を経て、今回、譲渡先の公募を進めさせていただく段になりましたので、皆様に報告させていただきます。

それでは、昨年8月の記者会見の内容と重なりますが、ガス事業の譲渡についてこれまでの経緯をお話します。

資料P2が松江市都市ガス事業の概要です。いわゆる旧松江市内のみが供給対象エリアとなっており、平成町から総延長243.1キロのガス管を通じて1万2,073件のお客様に都市ガスを供給しています。資料P3は、松江市都市ガス事業のお客様件数の推移を平成25年から令和5年までで見たものです。1万2,073件が現状ですが、平成10年には1万6,226件でした。平成25年に1万3,771件となってから右肩下がりの状況で、過去20年で見ると23.8%、10年で見ても12.3%、お客様の件数が減少している現況です。この背景としては、オール電化住宅などガス以外の燃料との競合や、また構造的な問題としての人口減少があります。こうした状況の中で、当然のことながら販売量も減少しています。資料P4は都市ガス販売量の推移を用途別に分けたものです。家庭用は、お客様件数とともに減少しています。医療用は、大型病院の動向に左右される面がありますが、コロナによる空調の需要などによって、近年は若干の増加傾向にあります。商業用は、他の燃料への転換などによって減少傾向が続いています。

こうした状況の背景として、平成28年に電力の小売・発電が全面自由化されました。また、平成29年にはガスの小売が全面自由化されており、異業種からの参入が続いています。いわゆる総合エネルギー市場化が進む中で、料金メニューやサービス内容を競う時代が到来しているということです。民間ガス事業者が提供しているサービスの例としては、ガスのみならず電気やインターネットなどとのセット販売によって値引きする、ポイントを付与してそれをもって還元する、また、水回りのトラブルに対応するといった生活支援を行っている民間事業者もあります。こうした流れは全国的なもので、全国の多くの地域で都市ガス供給を民間事業者が請け負うように変わってきているのが現状です。平成10年には公営ガス事業者は70者ありましたが、現在は17者になっています。

こうした中、松江市として民営化、いわゆる民間譲渡の必要性を感じるに至ったわけですが、民間ガス事業者の動向としては、多様なサービス提供を行うことでお客様の満足度向上につなげたいという意向があります。一方で、社会情勢の変化の中では、時代に即した、多様性のある時代の中で、そのニーズに即したサービス提供が求められていますが、松江市ガス局は法令等により原則ガス販売しかできないという事情があります。市民の皆様に対する充実したサービス提供という観点、また、安全・安心な都市ガス事業を継続する、そしてお客様のニーズに即したサービス提供と地域の活性化につなげていくという観点から、それを果たし得る経営形態へのシフトが必要と考え、民営化の判断をしたところです。

民営化の意義として、お客様にとっては、多様なサービスを持続可能に受け得る、安全・安心な事業で、安定した料金で供給を受け得るといったメリット、また地域経済にとっては、地元の雇用を創出し、地域経済を活性化し、地元企業の参画・連携が促されるという点、そして松江市にとっても、市民に対するサービス水準の向上や持続可能なガス事業となること、また将来負担が減少する、税収が増えるといったメリットがあり、いわゆるお客様、地域経済、松江市にとっての三方よしの状況を今後つくっていくために、民営化が最良の選択であると考えています。

ここまでが民間譲渡の背景ということで、こういった認識に基づき、これまで選定委員会等で議論を重ねてまいりました。そして今回、譲渡先の公募をさせていただくこととなりました。公募の開始日は、本日10月15日火曜日です。松江市ガス事業の全てを売却する完全譲渡とします。選定方法としてはいわゆる公募型プロポーザル方式、譲渡日は令和8年4月1日を予定しています。譲渡対象は、都市ガス事業、旧簡易ガス事業及びLPガス事業を一括して譲渡します。次に、譲渡の条件ですが、譲渡の対象資産は固定資産と流動資産の一部(現金、預金を除く)となります。料金水準は、市民の皆さんの負担が激変しないということを担保する内容として、少なくとも3年間は現行水準を上回らない、維持することとしています。また、旧簡易ガス事業とLPガス事業についても、当面の間、現委託先が希望する場合には委託を継続することにより安定的な供給を可能にするものと考えています。そして、承認工事業者については、この承認制度を継続するとともに、優先的に発注するよう努めていただく旨を盛り込んでいます。また、事業の譲受け会社は、本社を市内に設置した新会社を設立していただくことを基本としています。そして、円滑な事業継承を目的として、本市ガス事業に従事した職員を3年以内に限って派遣することにします。市から人的派遣を行うためには出資が要件となっているため、市が譲受け会社に対して出資をします。ただしその出資比率は1%未満、上限100万円以内とします。権利の譲渡制限として、今回譲り受けされた会社が向こう5年間は第三者への譲渡を禁止する条項も入れています。そして、最低譲渡価格ですが、これは市で選定委員会とともに算定した結果として、23億円という水準を最低譲渡価格としています。

今後のスケジュールですが、本日から公募を開始し、この後、ホームページ等でも募集要項を公表します。来年3月に譲渡先選定委員会で最優秀提案者を決定していただき、それを踏まえて年度末までに優先交渉権者を決定、来年度に入りましたら速やかに基本協定の締結、仮契約の締結を経て、6月には事業譲渡契約議案を市議会に提案させていただきます。市議会で議決をいただきました上で、その後、引継ぎ期間、これは他市の事例等を参考に9か月とさせていただいていますが、それを経て令和8年4月1日の事業譲渡を予定しているところです。

具体的な内容については、募集要項をホームページに公開しますので、そちらを参照いただき、ご応募いただければと考えています。何とぞよろしくお願いいたします。

 

(質疑応答)

(中国新聞)選定方法の「公募型プロポーザル方式」とはどういうものなのか教えていただけますか。

(上定市長)譲渡価格について、いわゆる札を入れていただくことになりますが、それに併せて、今回設けている応募要件について具体的に提案をいただくことになります。その提案内容が応募要件に即しているか、あるいは市民にとって安定的・継続的にガス供給が受けられるということが担保できる内容になっているかについて、選定委員会で確認、評価をしていただくプロセスを経るというものになります。

(中国新聞)3月末の優先交渉権者決定は、1社に絞るという形ですか。

(上定市長)基本的に最優秀提案者を1社決め、また次点を決める形になると思いますが、それに基づいて市で最終的な優先交渉権者との交渉をしていく形になろうかと思います。

(山陰中央新報)これまで下請事業者などから、今後の事業継続に当たって不安視をするような声が上がっていたと思いますが、今回の条件は、そういった事業者に配慮された条件となっているとお考えですか。

(上定市長)はい。昨年10月と12月に事業者の皆様との意見交換会をさせていただきました。要望いただいた事項を今回織り込む形にさせていただいており、現在工事を請け負っていただいている事業者の皆様は、松江市ガス局が安定的にガス供給を行う上で非常に貢献いただいていますので、こういった事業者の皆様が今後も事業を行っていただきやすいよう、優先的に発注するように努めるという内容を今回の募集の中に盛り込んでいます。事業者の皆さんからいただいた声を反映したものと考えています。

(山陰中央新報)「努める」という部分ですが、例えば市から直接要請などを行ったりするという認識でよろしいですか。

(上定市長)この募集要項の中に「努めてください」ということを明記しますので、努めていただくことを前提として応募いただくものになります。

(山陰中央新報)また、説明不足というような声も事業者から上がっていたと思いますが、公募開始に当たって理解は得られたとお考えですか。

(上定市長)はい。10月、12月の意見交換会や、それまでの段階でも、事業者の皆様、あるいはLPガスの団体の皆様と協議を進めさせていただいておりました。その後、複数回にわたって協議も進めていますので、これまで理解を得た上で進めることができているという認識を持っています。

(山陰中央新報)新会社を設立し、本社を市内に設置することを条件にする意図を教えてください。

(上定市長)これは、サウンディング調査で、実際に応募していただける方がいるかどうか、例えば金沢市や福井市などの前例がありますのでそういった他市の条件に照らしたとき、あるいは近隣の事業者さんがどういった意向をお持ちかということを確認していくに当たって、松江市のガス事業が市民の皆さんに安定的・継続的に供給されていくというのが必要になります。その上では、事業者の皆さんにとっても、現在、松江市ガス局でこのガス事業を運用している人が、シームレスに、継ぎ目なく事業に携わっていただくのがベストというふうに考えておりますことからこのような条件としています。

(日本経済新聞)職員派遣についてお聞きしますが、このガス事業に従事した職員を3年以内に限り派遣というのは、今の松江市のガス事業の職員さんがみんな原則移るということなのでしょうか。

(上定市長)必ずしも全員ということではありません。引き受けていただくことが決まった事業者さんがどれぐらいノウハウを持っているか、どれぐらいの人的派遣が必要かということにも関係してきますし、送る側も、誰でもいいということにはなりませんので、事業者さんが決定してから具体的には詰めていくことになろうかと思っています。

(日本経済新聞)ただ、派遣はしますよということですね。

(上定市長)そうですね、おっしゃるとおりです。これは、市民の皆様の安心感もそうですし、あるいは引受先となる事業者さんにとっても、急に丸投げをしてとにかくやってくださいということではなくて、市としても当然責任を持ってガス供給が滞らないように、そこをつないでいきますので、そのために職員派遣をするということをうたわせていただいたものとなります。

(日本経済新聞)新会社をつくることについて、新会社の役員に松江市の職員が入られるとか、そういったところまではまだ決まってないですか。

(上定市長)決まってないですし、基本的に松江市が経営への直接の関与を行うということは考えておりません。あくまで安定的に事業が営めるようにサポートをしていくに当たっての職員派遣ということで考えています。

(山陰中央新報)優先的に発注するよう努めるということについて、仮に悪意のある会社だった場合に「努力をしたけれども発注ができませんでした」というようなパターンも考えられると思います。その発注をするよう努めると条件に入れたけれどもできなかった場合、市はどのように対処をされるのでしょうか。

(上定市長)ここで課しているのは努力義務になりますので、実現できなかったときに、それ以上の関与ができるとは思っていません。最終的に事業者さんがどこの会社に発注されるのかについては、松江市がコントロールできるものではないという認識は持っています。ただ、今回は公募型プロポーザルで事業者を選定していくことになります。事業者を選定する過程においては、努力義務を果たしていただけるかどうかが選定においての要素となりますので、その点については皆様にご理解いただいたうえで応募いただきたいと考えています。

(日本経済新聞)今回公募される業者の条件として、現在ガス事業をしていることを考慮されるのか、あるいはガス事業をやっていない、異業種からの参入もオーケーということですか。

(上定市長)松江市の立場で申し上げると、市民が安定的にガス供給を受け得るか、安心・安全かというところが大変重要なポイントになってきます。ですので、既にガス事業の経験があって、安定的に供給される実績がある事業者に応募いただきたいと考えているところです。

(日本経済新聞)今回事業を譲渡するに至った経緯として、いろいろ抱き合わせで販売してくるほかの業者さんの存在があったと思います。だから新会社に対しては、例えばインターネットとの抱き合わせ販売とか、別のエネルギーと掛け持ちをするとか、そういったところもお認めになるイメージですか。

(上定市長)あくまで民間業者となりますので、事業上の制約というのは、法的なものを除いて、松江市として縛るものではありません。安定的に安全なガス供給がなされることを前提とした上で、市民の皆さんにとってサービス水準の向上につながるような新たなサービスとの組合せというのは、提案していただくことがあり得ると考えているところです。

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