令和7年2月議会提出議案 令和7年度当初予算・令和7年2月補正予算の概要
それでは、令和7年2月議会に提出する議案のうちの予算の概要についてお話しします。まず、令和7年度当初予算です。
令和7年度当初予算は、4月に市長・市議会議員選挙を控えることから、一部経費を抑えた、いわゆる骨格予算としていますが、国の総合経済対策関連予算に呼応しながら、本市として切れ目なく事業を実施できる予算を編成しています。歳入面では、国から交付される地方交付税、交付金などを適切に見込んだ上で、不足する財源については、基金の取崩しなどによって対応します。歳出面では、エネルギー価格・物価高騰の状況に対応しつつ、デジタル化による業務効率化を図りながら、義務的経費や一定規模の建設事業費を確保するとともに、限りある財源を松江市総合計画「MATSUE DREAMS 2030」の5つの柱に沿った施策に重点的に配分したものとなります。
令和7年度当初予算の総額は1,129億9,000万円となり、令和6年度当初予算に比べ6.2%の増となっています。当初予算のポイントとしては、先ほど申し上げた物価高騰対策事業を実施すること、また、「MATSUE DREAMS 2030」の5つの柱に沿った施策に重点配分すること、そして、この1,129億9,000万円というのが過去最大の当初予算となっているところです。資料P7は当初予算額の推移で、これまでは令和6年度当初予算1,064億が過去最大の水準となっていましたが、令和7年度は、さらにそれを上回る水準、1,129億9,000万円となっています。
今回の予算のうちの主要な事業(資料P8~10の黄色のラインを引いている事業)について説明します。先ほど申し上げた物価高騰対策、以下、松江市総合計画「MATSUE DREAMS 2030」の5つの柱ごとに説明します。
(資料P11)まず初めに、市民生活を支援する物価高騰対策です。水道料金の減免により、市民の皆様の生活を支援します。エネルギー価格、また食料品価格等の物価高騰に対応し、市民の皆さんの負担軽減を図るための措置です。これまでも水道料金の減免を実施しており、消費者物価指数の低減に資しているという結果も出ており、市民の皆様からも高評価をいただいているものと認識しています。そうした中で、今年についても、検針月によって若干差異がありますが、6・7月分か7・8月分の2か月分の水道料金の減免を実施します。宍道町については、斐川宍道水道企業団という別主体で水道料の徴収をしている関係で、下水道の使用料を、水道料金2か月分と同等の金額について減免します。いずれにしても節水には心がけていただき、水は大切に使っていただく前提の中で、皆さんの家計負担の軽減を図る措置となります。
(資料P12、13)続きまして、同じく物価高騰対策で、学校給食の安定的な提供と家計負担の軽減のための措置です。昨年秋頃から学校給食用のお米の値段が値上がりしています。昨年4月の精米価格と11月の価格を比べた際に、33.7%上昇している状況が見られます。こうした状況を緩和し家庭への影響を軽減すべく、今回、助成により軽減を図ります。一方で、現在の給食費は令和5年度2学期に価格変動があり値上げをさせていただきましたが、その値上がり価格の半分を助成していました。それを元に戻す形で、さらに今回の助成を図るということになります。例えば小学校は、現状、助成していた値段を元に戻すと、1食当たりの単価が316円になります。これを、6円助成することにより、単価を310円とするものです。ここまでは小学校、中学校、幼稚園についてですが、同様に、保育所等でも安定的な給食の提供と家計負担の軽減のための措置を講じます。精米価格の上昇分を全額助成することにより家計負担の軽減を図っていく措置です。私立保育所については、児童1人当たりの補助額が、0~2歳児で月174円、3~5歳児で218円となっています。一方で公立保育所においては、保護者の方々に支払っていただく給食費の値上げ分抑制を図るため、今回、200円を助成することにより、値上げ幅を100円に軽減する措置になります。給食費の単価、あるいはお米の価格が上がっている中で、全体としては上昇基調にありますが、そのうちの一部を予算に盛り込み、家計負担の軽減を図る措置となりますので、ご理解いただければと思います。
(資料P14)続きまして、これも物価高騰対策ですが、昨年7月から10月に定額減税を実施していました。この際に税額を減税し切れなかった方に対し、当初調整給付金という形で給付するものです。対象は、合わせて2万6,300人で、今後、予算が成立しましたら、今年8月を目途に給付を開始する予定としています。
(資料P15)ここからが、しごとづくりです。(仮称)中尾地区企業団地整備に向けた設計・用地取得を進めるための予算を計上しています。市内に立地する企業の新・増設ニーズや市外企業の立地ニーズがあることを踏まえ、新しい企業団地の整備をするものです。だんだん道路の川津インターチェンジから至近の場所、住所でいうと下東川津町・上東川津町で11ヘクタールの開発面積となります。来年度、用地取得・測量等をし、令和8年度以降に開発許可や造成工事にかかり、令和9年の分譲開始をめざして、今後進めてまいりたいと考えています。
(資料P16)農林水産業振興について、4つ項目を設けています。2つは、既存事業の拡充です。スマート農業を推進すべく、農業機械・設備等の導入支援補助を実施します。これは現行のものから対象者の拡充、補助上限額を引き上げるといった措置を講じます。有害鳥獣対策についても、防護柵の設置支援補助の上限額を引き上げるとともに、狩猟免許取得助成についても補助率2分の1から10分の10に引き上げます。そして新しい施策として取り組むのが、JAが購入する産直野菜配送用保冷車に対して補助をするものです。生産者の皆さんが産直売場に自分で搬入するのが難しいという状況を踏まえ、JAが購入する配送用保冷車について、行政として補助することにより、生産者の負担軽減を図ります。もう一つの新しい項目として、耕作放棄地解消に要する草刈り費用などの支援を行います。
(資料P17)アワビ陸上養殖の事業化に向けた調査・検討を進めます。令和4年度に青木あすなろ建設、玉川学園と松江市との間で覚書を結んでおり、現在、アワビ陸上養殖について、特許出願しているところです。この肝となる地下海水の利用可能性について、ボーリング調査等を実施していくものです。日本海から地下海水がしみ込んでいる部分から地下海水をくみ上げ、その安定した温度の水を使ってアワビの飼育を行う計画で、この水が実際に適したものかどうかといった調査を行います。そのためのボーリング調査、また調査を踏まえた事業構想の検討について予算化を図るものとなります。今後、この技術が確立しましたら、アワビのブランド化を図っていくことを想定しており、もうかる水産業、もうかる一次産業への転換を図っていきたいと考えています。
(資料P18)続きまして、観光振興です。NHKの朝ドラ「ばけばけ」がこの秋から始まるのを千載一遇のチャンスと捉え、松江の魅力を全国・世界に向け情報発信してまいります。その一つとして、小泉八雲・セツのドラマを生かした魅力発信と、その機運の醸成を図ります。誘客プロモーション、イベント開催支援補助、これは小泉八雲をテーマにした個人・団体が企画するイベントに上限30万円を補助するものです。予算が成立し次第、募集をかけさせていただきます。そのほか、ラッピングバスの運行やゴーストツアーの拡充なども予定しています。また、新たな商品開発のためのワーキンググループを設けており、旅行に来てくださった方がお土産物として、あるいは飲食店のメニューとして気に入っていただけるような商品を開発し、満足度の向上を図っていく取組も行います。松江歴史館では小泉八雲をテーマにした企画展の開催も予定しています。
(資料P19)次に、松江が誇る歴史と癒やしのコンテンツのプロモーション強化です。観光戦略プランの中に盛り込んでいる「城下町」「水の都」といった松江の魅力にスポットを当てたプロモーションを展開します。今年は、松江城天守が国宝になってから10周年の節目となります。これを一つの大きな機会と捉え、6月28日、29日にお城EXPO特別版を松江で開催する予定です。それとともに、松江城を人工雲海とライトアップで演出する企画を夏に予定しています。また、「城下町」「水の都」の魅力を活用するということで、毎年好評いただいている秋の風物詩、松江水燈路の開催も予定しています。
(資料P20)大阪・関西万博が4月から10月まで、半年にわたって開催されます。この機会を捉え、松江市インバウンド推進協議会において観光商品の造成等を行います。また、他の温泉都市とつくっている温泉ツーリズム推進協議会も活用し、万博会場での観光PRを行います。主なものとしては、大阪・京都のPR拠点、関西空港やKITTE大阪において観光PR等を行い誘客の企画を行います。温泉ツーリズム推進協議会では、万博会場に足湯の体験ブースを出展する予定としており、ここを拠点にして観光PRを図ります。
(資料P21)次の項目は、ひとづくりです。保育所入所のスマート申請支援を引き続き行います。今年度までの取組としては、令和4年1月に保育所入所選考システムにAIを導入し、できるだけ早く保護者の皆さんに結果をお伝えできるようにしました。また令和5年11月からはスマホでらくらく入所申し込みができるシステムを導入しています。こういった取組の効果として、今年4月入所の方の51.4%(1月末現在)がスマート申請を使っていただいています。また結果として、窓口や電話の待ち時間が7~15分短縮されているという効果も見られています。7年度においては、本庁窓口でデジタル申請を開始するほか、市立病院の隣にあるこども家庭センターでもこうした申請ができるようにしていきます。遊びや子育て相談に来ていただいたついでに保育所の入所申込みができるというような、リモートでの支援体制を整備します。
(資料P22)子ども医療費助成の対象年齢を高校生年代まで拡大します。昨年4月に中学3年生までの入院、通院、調剤等を無償化しました。今年4月からは、それに加え、子ども医療費助成の対象年齢を高校生年代、18歳年度末まで拡大するものです。入院、通院、それぞれ自己負担額2,000円、1,000円はありますが、それ以外については市で負担し、自己負担額の軽減を図ります。
(資料P23)続いて、産後ケアの拡充です。去年10月から温泉ゆったり産後ケアを実施しており、91件の利用をいただいています。こちらも大変好評で、産後初めてお湯にゆっくりつかれて心身ともにリフレッシュできたといった感想をいただいているところです。この制度を通年実施します。新たに、お父様にも参加していただいて助産師へ相談できる体制を整え、参加いただいた方にモニターになっていただき、それを松江市の子育て施策に反映する取組も行います。また、集団型の産後ケア「みんなでHAPPY産後ケア」を実施します。これは、産後1年未満のお母様と赤ちゃんに参加いただき、助産師による相談や育児に関するお話、お子さんと一緒にストレッチやベビーマッサージ、同じママ同士の交流などを実施する予定です。こちらについても、予算が成立しましたら、皆様にご案内をさせていただきます。
(資料P24)次がつながりづくりです。松江城天守国宝指定10周年、そしてまた、廃城の危機を免れてから150年、天守保存150年という言い方をしていますが、これを記念する文化事業を実施します。内容は、お城EXPOin松江に合わせ、記念式典、シンポジウムを開催します。また、国宝天守保存リレー講座と題し、全国の国宝、松江城を含め5城について、それぞれの歴史等に関する講座を令和7年7月から11月に実施します。国宝10周年を記念し、松江城への愛着を深め、そしてさらに後世に守り伝えていくという機運を高めていきたいと考えています。
(資料P25)次に、プラバホールを芸術文化活動の拠点にしていく取組です。昨年7月に竹内さんという音楽プロデューサーを採用しています。この方の持つノウハウをフルに生かしていただいて、さんびる文化センタープラバホールを音楽の拠点として、音楽が身近に感じられる事業を展開してまいります。例で申し上げると、鑑賞事業に小学生親子を無料招待、リハーサルを特別公開、音楽家による公開レッスン、また、プラバホール入り口のホワイエでのミニコンサート開催や、こども縁日など楽しいイベントの企画を進めてまいります。
(資料P26)次がどだいづくりです。大規模災害に備えた防災備蓄の充実ということで、能登半島地震を踏まえ、県と協議の上、食料と飲料水の備蓄量を増やします。これまで、市民の皆さんが1日分を確保いただき、県と市がそれぞれ0.5日分を確保するとしていたものを、それぞれ県と市が1日分を確保することにし、合計3日分の備蓄を整えていくこととします。令和7年度に目標数量を確保して備蓄率100%とします。
(資料P27)次に、脱炭素化による魅力的なまちづくりです。松江市が脱炭素先行地域に指定され、国から財源もつく状況になっています。あらかじめ立てた計画に基づいて、令和5年度、6年度は、堀川遊覧船電動化、各公民館に充電・放電設備の設置、EV車の配置などを進めています。令和7年度においても、市有遊休地への太陽光発電設備導入、旅館の照明LED化、官民連携の下でEVシェアリング導入などを推進します。
(資料P28)次に、公共交通の利便性向上です。地域公共交通計画を昨年3月に立てており、それを具体的に実現していくに当たって、地域公共交通利便増進実施計画を策定します。この計画を策定することにより、乗り継ぎ拠点整備やキャッシュレス対応など、ハード事業に国の補助金を活用できます。また、共同経営計画策定補助として、一畑バスと松江市の交通局の2者間が独占禁止法の縛りを超えて協議し、共同経営計画の策定をしていくこととしています。そのほか、交通系ICカードシステム改修事業費として、ゾーン運賃導入や乗り継いだときの割引料金設定、定期券ウェブ購入といった仕組みを構築することで、公共交通における利便性を高めます。
(資料P29)松江らしい景観を保全するための景観基準見直しに引き続き取り組みます。この1月から事前協議制度を導入しています。そしてこの4月には松江城からの眺望基準を見直すべく、現在準備を進めています。令和7年度においては、景観基準の見直しと、松江城を眺望する、視点場という言い方をしますが、これを設定することにより松江の景観を守ってまいります。施行が来年4月の予定で、令和7年度の一年かけて景観基準見直し等を進めてまいります。また、今月2月23日には松江市景観シンポジウムを開催します。参加無料ですので、ご参加いただければと思います。よろしくお願いします。
(資料P30)新庁舎整備についてです。第2期建設工事が今年10月に完成する予定です。そこから内装等にかかり、令和8年5月に本館全体が供用開始となる予定です。来年5月には、カフェやコンビニなども新設し、市民の皆様にも使っていただきやすい、利便性の高い新庁舎としてまいりますので、ぜひともご期待ください。
(資料P31)松江市合併20周年記念式典を10月26日にプラバホールで予定しています。また来年度については、松江市合併20周年を記念する楽しい事業も幾つか検討していますので、またこれも準備が整い次第、皆様にご案内をさせていただきます。
(資料P32)最後はなかまづくりで、中海・宍道湖・大山圏域全体で取り組んでいくものです。主な事業として、中海と宍道湖を取り囲む高規格道路、8の字ルートの整備推進、中国横断新幹線、いわゆる伯備新幹線の整備促進を図るべく、PR・要望活動等を実施します。また、圏域で従来から取り組んでいるインドと台湾との経済交流も推進してまいります。とりわけインド・ケララ州との経済交流覚書を締結してから10周年の節目となりますので、覚書(MOU)の更新についても検討をしていく予定です。
ここまでが令和7年度当初予算となります。
令和7年2月補正予算について概要を説明します。
(資料P34)今年度の補正予算第10号になります。合計が37億1,390万円で、こちらも国の補正予算に呼応した予算を中心に組んでいます。主要な項目(黄色のラインを引いている事業)について説明します。
(資料P35)まず、大規模災害に備えた防災体制の強化で、能登半島地震による被災状況を鑑み、国の補正予算を活用する形で、防災資機材の整備を進めます。備蓄用倉庫の整備、防災資機材、テントやベッド等の購入に充ててまいります。また、万一に備え、孤立が発生した場合にも連絡できる衛星携帯電話の更新を予定しています。
(資料P36)こちらも国の補正予算に呼応し、漁業協同組合JFしまねによる松江魚市場整備を支援します。松江魚市場(東朝日町)は昭和51年にでき、随分古くなっていることから、魚市場の荷さばき面積の拡大、冷蔵・冷凍庫の更新、活魚水槽スペースを拡大することにより、荷さばき機能の向上、作業効率化、高鮮度魚介類の流通拡大等を図ります。成果目標として、松江魚市場における活魚介類年間取扱金額を、現行より10%増加させることを目標に掲げて取り組みます。
(資料P37)揖屋小学校の長寿命化も継続して進めます。これまで体育館の長寿命化工事を終え、現在、校舎棟の増築工事を行っています。繰越明許費ということで、年度を越えて財源をつけ工事を進めており、今後も長寿命化工事を円滑に進めたいと考えています。
(資料P38)避難所に指定されている学校体育館に空調設備を整備します。これも国の補正予算に呼応した措置です。市立学校体育館空調設備の計画的な更新、整備をするに当たって、特にその地域の拠点となる中学校、義務教育学校を整備の対象としてまいります。まずはRC造りで断熱性が高く、整備による効果が期待される玉湯学園から整備を進めます。
(資料P39)あわせて、小・中学校においても空調設備やトイレ改修等の整備を進めます。小学校は、特別教室の新設や保健室等を改修する際に、空調設備の新設・更新を図っていきます。また、トイレについても、対象となる小学校、中学校で、老朽化、機能劣化が進んでいる部分の改修を進めていくものです。
これら、来年度当初予算、今年度第10号補正予算について、来週2月25日から始まる松江市議会2月定例会に諮らせていただくものです。
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更新日:2025年03月05日