【皆様から寄せられたご意見・ご質問】費用について

更新日:2023年02月01日

ご質問のポイント

  • 120億円から150億円になった理由を知りたい
  • 建設費が高すぎる
  • 借入金(地方債)は将来にツケを残すのでは
  • 市民一人当たりの負担はどれくらいになるのか

市の考え方のポイント

  • 建築コストは実勢価格を反映する必要があります
  • 借入金(地方債)を活用しても、健全な財政運営は今も続いています
  • 借入金に係る市民一人あたりの実質負担は総額4万1千円です

建築コストは実勢価格を反映する必要があります

120億円と150億円の違い

30億円事業費の基本計画時と基本設計時の差額の状況は下の表のとおりで、主に工事費が原因となっています。一方、財源については、令和2年度で期限切れ予定であった有利な地方債の制度(注釈)が、本市の事業終了まで適用延長されることになったことを受け、これを十分に活用することで市の実質負担については5億9千万円の増でとどめることができると見込んでいます。

(注釈)公共施設等適正管理推進事業債・・・償還金の一部が地方交付税で措置される有利な地方債

事業費及び財源の状況の図

(注意)スマートフォン等で縦横比が異なって表示される場合は、差額の状況をご覧ください。

事業費30億円の差額が生じたことには2つの要因があります。

1つ目の要因としては、基本計画(120億円)と基本設計(150億円)では試算方法が異なることが挙げられます。

平成30年9月の基本計画の時点は、新庁舎の機能や面積規模、配置などが未決定であり、設計図もないため細かく経費を積み上げて事業費を算出することができない段階でした。しかし、市民の皆さまと事業の価値やイメージなどを共有することが必要な時期であったため、一般的な方法である「1平方メートル当たりの単価×面積」を用いて、他市の契約実績額を参考に大くくりの事業費を概算試算しました。その結果、1平方メートルの単価(参考:呉市40万円)×25,000平方メートル=100億円と、これに設計費用、既存庁舎解体費用、移転費用などを併せて事業費総額120億円としました。

一方、基本設計では作業段階が進み、建物の配置や平面計画などの本市の個別状況を加味した積算ができるようになりました。そして、市場価格を用いて費用を積み上げた結果、初めて150億円という現実的な金額の算出ができたところです。

他市の近年の建設費の見積状況を見ると、本市同様に基本設計の積算で大きく上昇しています(以下、例示します)。

  • A市:基本計画時は1平方メートル当たりの建設単価が約37万円、基本設計時は1平方メートル当たり57万8千円、1.56倍に上昇
  • B市:基本計画時は1平方メートル当たりの建設単価が約48万2千円、基本設計時は1平方メートル当たり65万円、1.35倍に上昇
  • C市:基本計画時は1平方メートル当たりの建設単価が約56万4千円、基本設計時は1平方メートル当たり78万9千円、1.40倍に上昇
  • 松江市:基本計画時は1平方メートル当たりの建設単価が約42万4千円、基本設計時は1平方メートル当たり54万1千円、1.28倍に上昇

そして、2つ目の要因には全国的な建設コスト高騰(資材、労務単価など)の傾向が積算単価を通じて反映されたことがあります。

他市の近年の建築費の見積もり状況を見ると「1平方メートル当たりの単価」は上昇傾向にあります。下のグラフは、他自治体における1平方メートル当たりの単価を簡略化してグラフにまとめたものです。

他自治体の庁舎建設における建設単価の傾向のグラフ

自治体ごとに建設の前提条件が異なるため単純な比較はできませんが、全体的には年々建設単価が上昇している傾向が見て取れます。

市としても150億円の事業費が決して安い金額ではないことは市民の皆様と同じ思いを持っています。そのため、設計の過程では、建物規模の縮小や、建築素材のグレードを必要最低限にするなど、必要な機能は維持しつつ事業費を抑えてきました。今後も本市の契約予定時期(令和2年末予定、工事単価見込み1平方メートル当たり約54万円)においても予断を許さない状況ですので、引き続き建設コストの高騰傾向に注視しつつ、さらに金額の精査をするとともに、他の審査機関による積算チェックも行っていきます。

借入金(地方債)を活用しても、健全な財政運営は今も続いています

確かな財政運営の実績

市ではこれまでも、平成23年4月に供用されたごみ処理施設「エコクリーン松江」のように、新庁舎よりも大規模な施設を地方債で建設しています。当時の建設費用168億円のうち140億円が地方債でしたが、現在も計画的な財政運営を行い、健全な財政を維持しています。同様に、地方債を活用する新庁舎の建設も、引き続き中期財政見通しに反映させ健全な財政運営を実施します。

地方債を活用することには理由があります

「借入金は少ない方が良い」ということは市としても同じ認識です。一方で、庁舎をはじめ学校や道路などは長期間にわたって使用する施設ですので、主に2つの理由などから地方債を活用することが一般的です。

  1. 一会計年度における多額の財政負担を軽減(複数年度で平準化)することができる
  2. 現役世代と将来世代の世代間の受益と負担の公平化を図ることできる

さらに、新庁舎整備の財源となる地方債は地方交付税措置のある有利な地方債です。これを活用することで返済時に国からの支援を受けるなど、市の将来の財政負担を軽減します。(仮に建設場所の変更や、現在の設計内容を大きく変更する場合は、基本構想や基本計画など一からの再検討が必要になり、国の財政支援が受けられなくなることが想定されます)。

ただし、そのことをもって安易に地方債を増発すれば良いということにはなりません。市としては引き続き必要な事業費を精査しながら事業を進めるとともに「中期財政見通し」でもしっかり見込んでいますので、将来の財政運営の健全性に支障をきたすことはないと考えています。

借入金に係る市民一人あたりの実質負担は総額4万1千円です

事業費150億円のうち財源になる地方債(借入金)は約100億円で、償還終了となる令和39年度までの合計で利息を含めると約114億円の返済が必要と見込まれます。返済額のピークは令和12年度(1年あたり5.8億円)で、以降は徐々に減っていきます。

令和元年度「中期財政見通し」での償還額試算

元利償還額総額11,417,702千円

(償還期間:令和39年まで。元金:99億6千2百万円(事業費財源ベース)利息:14億5千6百万円)

元利償還金の一部に国からの支援(地方交付税措置約34億円)がありますので、松江市の将来の実質負担額は差引約80億円となります(将来の人口減少を加味して市民1人あたりで換算すると令和39年度までの実質負担額は約4万1千円)。

なお、この借入金の返済のために皆様に新たな税金をご負担いただくことはありません。今までどおり毎年の市の収入支出の範囲内で計画的に返済が可能です。

この記事に関するお問い合わせ先

財政部 新庁舎整備課
電話:0852-55-5454
ファックス:0852-55-5570​​​​​​​
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