興雲閣の耐震対策

更新日:2024年02月09日

松江市では、平成25年度から平成27年度に保存修理工事を行いました。

文化財といえど、内部に人を入れるような使い方をする場合は、一般の建物と同じように地震の時に人命に危害を与えないよう安全性を確保しなければなりません。特に、不特定多数の人が利用する場合は耐震対策が必要です。文化財建造物に適切な耐震対策を実施すれば、地震による破壊から文化財的な価値を守ることができ、さらに利用者の安全を確保することで、より積極的な活用を行うことができるようになります。

興雲閣は島根県指定有形文化財に指定されていますが、重要文化財と同程度の耐震対策が必要と考え、平成22年度に文化庁の「重要文化財(建造物)耐震診断指針」にもとづき専門家による耐震性能判定を行ったところ、「補強を要する(復旧可能水準を満たさない)」という結果になりました。そこで、平成24年度に行った保存修理工事の実施設計の中で、大地震動時に倒壊せず、生命に重大な危害を及ぼさない(安全確保水準を満たす)ための耐震補強を行うこととしました。

文化財としての価値を損なわないよう配慮した結果、耐震補強によって外観が変わることはありませんが、1階床下、天井裏、2階天井裏に鉄骨を組み、室内に鉄骨柱が入る部分があります。今回の保存修理で建物全体を明治45(1912)年当時に復原することとしているため、当時はなかったものであることが分かるように、室内の鉄骨柱については敢えて隠すことはせず、露出したままとすることにしています。

安全の確保と文化財の価値を両立させ、永く使い続けるための対応ですのでご理解をいただきますようお願いいたします。

興雲閣耐震性能判定委員

  • 坂本功氏(東京大学名誉教授)
  • 腰原幹雄氏(東京大学生産技術研究所教授)
  • 藤田香織氏(東京大学大学院准教授)

第3回興雲閣耐震性能判定委員会の開催結果について

平成23年度に策定した「興雲閣保存活用計画」にもとづき保存修理工事の実施設計を行うにあたって、必要な耐震性能を確保するため、興雲閣耐震性能判定委員会を開催しました。

安全確保水準とは

文化庁「重要文化財(建造物)耐震基礎診断実施要領」より抜粋

参考:文化庁ホームページ

興雲閣の耐震補強に関する資料

平成26年度松江市文化財保護審議会資料抜粋

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