島根原子力発電所2号機におけるプルサーマル計画
これまでの経緯
平成17年9月12日に、松江市は中国電力から島根原子力発電所2号機(以下「2号機」という。)で、プルサーマルを実施することについて、「島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定」(以下「安全協定」という。)に基づき、申入れを受けました。
松江市は、プルサーマル計画については、市民からの質問・意見を十分に聞き、慎重に判断していくこととし、市内全域35地区での住民説明会、市・市議会合同学習会、松江市原子力発電所環境安全対策協議会およびプルサーマルシンポジウムを開催し、プルサーマルの必要性とプルサーマルの安全性に関する多くの質問・意見を受けました。
プルサーマルの実施にあたっては、安全性の確保が大前提であり、その安全性については、一般論としての議論も重要ですが、具体的に2号機で実施した場合どうなるのかということを踏まえることが必要です。
そのためには、国の安全審査(原子炉設置変更許可)を受ける必要があるため、市民から出された質問・意見を整理し、取りまとめた質問事項を付記して、中国電力が国に原子炉設置変更許可申請を行うことを了解しました。
そして、経済産業省、資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、原子力安全委員会および原子力委員会に対し、中国電力が安全審査を受けるにあたっては、厳正な審査をするよう求めました。
また、国に対して、市民から寄せられた質問・意見を整理し取りまとめた質問事項を付記して、安全審査の結果に併せて回答するよう求めました。
判断にあたっての考え方
平成18年9月19日に「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(以下「耐震指針」という。)が改定されました。
その耐震指針に基づいて、中国電力が耐震安全性評価(耐震バックチェック)を行い、その評価結果について、国が内容を確認します。
また、平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の影響を踏まえて、この耐震安全性評価の見直しが行われています。
松江市としては、国の安全審査に加えて、耐震安全性評価の結果を受けて島根原子力発電所の耐震安全性を確認した上で、プルサーマル計画の実施について最終判断をすることとしています。
中国電力のプルサーマル計画の概要
- 2010年度までを目途に、2号機でMOX燃料を使用する。
- MOX燃料集合体の使用体数は、2号機の全燃料のうち、重量にして炉心全体の3分の1以下とする。
項目 | 原子力安全委員会の検討範囲(平成7年6月) | 2号機の計画範囲 |
---|---|---|
MOX燃料炉心装荷率 | 原子炉内燃料の3分の1程度まで | 原子炉内燃料の3分の1以下 |
プルトニウム含有率 | 約13%まで | 10%以下(燃料集合体平均約2.9から約5.8%) |
燃料集合体最高燃焼度 | 1トンあたり45,000メガワットデイ | 1トンあたり40,000メガワットデイ |
安全審査の流れ
国(経済産業省)は、プルサーマル実施について電力事業者から提出された「原子炉設置変更許可申請」の内容について安全審査(一次審査)を行います。
その審査結果は、原子力委員会と原子力安全委員会に諮問され、両委員会はそれぞれの所掌に応じてダブルチェック(二次審査)を行い、経済産業省に答申します。
その後、文部科学大臣の同意を得てから、原子炉設置変更許可を行います。
島根原子力発電所2号機プルサーマル計画に関する取り組みの経過
- 安全協定に基づく中国電力からの事前了解の申し入れ(平成17年9月12日)
中国電力からの申し入れ内容(PDFファイル:167.3KB) - 中国電力が市議会全員協議会で申し入れ内容を説明(平成17年9月26日)
- 市内35カ所で市主催の住民説明会を開催(平成18年2月1日から7月15日まで)
- 市・市議会合同学習会(1)(平成18年2月24日)
「エネルギー政策及び原子力政策の推進について」
講師野口哲男氏(経済産業省大臣官房参事官) - 市・市議会合同学習会(2)(平成18年4月4日)
「プルサーマルの問題点」
講師小林圭二氏(元京都大学原子炉実験所講師) - 松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(1)(平成18年4月14日)
「プルサーマルのエネルギー政策上の必要性等について」
講師野口哲男氏(経済産業省大臣官房参事官) - 市長フランスのMOX燃料使用に関する現地調査(平成18年4月22日から27日)
視察先メロックス社MOX燃料工場
フランス電力会社(EDF)トリカスタン原子力発電所
フランス原子力庁 - 市・市議会合同学習会(3)(平成18年5月9日)
「核燃料サイクルとプルサーマル」
講師山名元氏(京都大学原子炉実験所教授) - 松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(2)(平成18年5月26日)
「プルサーマルの問題点」
講師小林圭二氏(元京都大学原子炉実験所講師) - 松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(3)(平成18年6月28日)
「核燃料サイクルとプルサーマル」
講師山名元氏(京都大学原子炉実験所教授) - プルサーマルシンポジウムの開催(平成18年8月20日)
松江テルサで市主催のプルサーマルシンポジウムを開催(572人が参加) - 市議会島根原子力発電対策特別委員会安全審査を受けることについては了承(平成18年10月2日)
- 市長安全審査を受けることについては了解することを表明(平成18年10月2日)
市議会全員協議会において、中国電力が国へ原子炉設置変更許可申請を行うこと(国の安全審査を受けること)については、了解することを表明 - 市議会本会議において特別委員会委員長が中間報告(平成18年10月5日)
市議会本会議において島根原子力発電対策特別委員会委員長が、原子炉設置変更許可申請を行うことについて委員会としては了承するとの中間報告 - 松江市原子力発電所環境安全対策協議会に市の考え方を報告(平成18年10月12日)
平成18年度第5回松江市原子力発電所環境安全対策協議会で松江市の考え方を報告 - 市長から中国電力社長に原子炉設置変更許可申請を行うことについては了解することを回答(平成18年10月23日)
- 中国電力が国(経済産業大臣)に原子炉設置変更許可を申請(平成18年10月23日)
- 市から国(経済産業省、資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、原子力委員会)に質問事項を提出。厳格な安全審査と国主催住民説明会の開催を要望(平成18年10月27日)
- 原子力安全・保安院による審査が終了。原子力委員会・原子力安全委員会に諮問(平成20年2月26日)
- 原子力安全委員会による審査が終了。経済産業大臣に答申(平成20年10月20日)
- 原子力委員会による審査が終了。経済産業大臣に答申(平成20年10月21日)
- 文部科学省計画に同意(平成20年10月27日)
- 経済産業大臣原子炉設置変更許可(平成20年10月28日)
- 市から提出した21項目の質問に対する回答を国及び中国電力から受領(平成20年12月26日)
- 市議会島根原子力発電対策特別委員会、市議会全員協議会、松江市原子力発電所環境安全対策協議会において、市からの21項目の質問事項に対する回答を国及び中国電力から説明(平成21年1月9日)
- 鹿島地区説明会、島根地区説明会(平成21年1月12日)
- 橋北地区(鹿島・島根を除く)説明会(平成21年1月13日)
- 橋南地区説明会(平成21年1月14日)
- 国主催の住民説明会(平成21年1月17日)
- 市・市議会合同学習会、松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(1)(平成21年1月20日)
講師小林圭二氏(元京都大学原子炉実験所講師)
講師伴英幸氏(原子力資料情報室共同代表) - 市・市議会合同学習会、松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(2)(平成21年1月29日)
講師山名元氏(京都大学原子炉実験所教授)
講師出光一哉氏(九州大学大学院工学研究院教授) - 市・市議会合同学習会、松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(3)(平成21年1月30日)
講師中田高氏(広島工業大学教授) - 市・市議会合同学習会、松江市原子力発電所環境安全対策協議会学習会(4)(平成21年2月2日)
講師釜江克宏氏(京都大学原子炉実験所教授)
講師佃榮吉氏(独立行政法人産業技術総合研究所研究コーディネーター) - 市から中国電力に了解することを回答(平成21年3月24日)
- 市から国に中国電力に回答したことを通知(平成21年3月24日)(PDFファイル:70.9KB)
この記事に関するお問い合わせ先
防災部 原子力安全対策課
電話:0852-55-5616
ファックス:0852-55-5617
お問い合わせフォーム
更新日:2023年02月17日