会見議事録(全文)
一畑バス 一部路線廃止 への対応
一畑バスの一部路線廃止への松江市としての対応について、お知らせをいたします。
これまでの経緯ですが、昨年の11月17日に一畑バスがマリンプラザ線、御津線、大東線、荒島線という4路線から今年の10月1日に撤退するという申出がありました。。
11月17日以降、一畑バスに乗降客数等のデータの提供をお願いし、各便の最大乗車人数などの集計、分析を行っています。バスの利用者の利便性、通勤・通学路時の利用状況を把握した上で、どういった対応を松江市として、あるいは一畑バスにお願いする形で対応し得るかということを検討しました。それとともに、一畑バス、松江市交通局、大東線が接続する雲南市、荒島線が接続する安来市、コミュニティバスの運行事業者も含めて関係者と協議を重ねてまいりました。松江市の基本的な考え方は、交通空白地、公共交通がないエリアが生じないこと、そして「交通弱者」である学生の通学にできるだけ影響が出ないこと。通勤に利用されている社会人の方もいらっしゃいますが、比較的自家用車の利用も含めて代替手段が取りやすいと思いますが、学生の皆さんは、電車・バスの公共交通がなければ交通弱者という位置づけになる学生の皆さんの利便性が損なわれないようにということを優先し、対応策を検討してきたところです。
1月17日には、松江市から一畑バスに対し、この4路線において、地域住民の皆さんへの影響を最小化してほしいこと、また、今後、中・長期的にバス運転士の確保についても対応してほしいことを公式に申入れています。
今回、一畑バスが路線の廃止を予定している4つの路線についてです。「マリンプラザ線」西川津の一畑バスの本社から松江駅を経由して島根町のマリンプラザまで行く路線。「御津線」一畑バスから松江駅を経由して御津まで行く路線。「大東線」同じく一畑バスの本社から雲南市の大東駅前まで行く路線。「荒島線」一畑バスの本社と荒島駅を結ぶ路線、この4路線となります。
一畑バスによる10月19日から11月1日を対象にした調査の結果です。平日の1日当たり平均利用者数がマリンプラザ線のマリンプラザ発が162人、一畑バス本社発が164人と、合わせて330人ぐらいの方が乗降されています。御津線は御津発が99人、逆方向が83人。大東線は大東駅発が61人、逆方向が50人。荒島線は荒島駅発が29人、逆方向が31人利用されている状況です。その他に1便あたりの最大乗車人数などのデータを一畑バスからいただき、松江市のほうでも分析し、一畑バスほか関係者との協議を行いました。
これを受けて、今年10月以降の対応についてです。交通空白地が生じないこと、そして学生の皆さんの通学にできるだけ影響が出ないことを念頭に置いてこれまで調整をしてきました。今日お話しする内容は、基本的な方向性については関係者の合意に至っていますが、詳細については今後も詰めていく必要がございます。
「マリンプラザ線」は、一畑バスによる現行路線の運行を継続しますが、運行の区間、便数については縮小となります。現在は島根町から一畑バス本社まで行っておりますが、西川津までの路線に縮小し、西川津は他のバスとの結節がありますので、ここで乗り換えて公共交通機関を使っていただくことになります。便数については、朝の通学時間帯の3便が2便に減便されます。島根町と中心市街地をつなぐ公共交通はこのマリンプラザ線が唯一で、比較的乗客数が多く、一定の通学利用があることから、一畑バス側でそれを踏まえる形で、運行区間などは縮小するものの、路線の継続を判断していただいたものとなります。
「御津線」については運行継続が難しいとのことで、その代替措置として、本市によるコミュニティバス路線を新設します。沿線の鹿島町の御津地区、西生馬町の一部については、コミュニティバスを含めて、御津線がなくなると公共交通が運行しないエリアとなります。一方で、一定の通学利用があり、その通学利用客数が多いとコミュニティバスでは難しいということもあり得ますが、御津線の場合、平日の1便当たり最大乗車数が29人となっており、コミュニティバスが29人乗りですので、それで代替可能と判断しています。今後、路線バスとスムーズに接続できるように、運行区間、ダイヤの設定をしてまいります。
「大東線」は雲南市も通っており、雲南市と協議をし、本市と雲南市によるコミュニティバス路線の新設を予定しています。一畑バスに存続を要望しましたが、難しいとの判断でした。一方で、松江市と雲南市の大東地区をつなぐバス路線はこの大東線が唯一であるとともに、一定の通学利用があることから、本市と雲南市によるコミュニティバス路線の新設を予定しています。
「荒島線」も同じように一畑バスに運行継続の要望をいたしましたが、難しいとのことでした。この路線については、この一畑バス以外に市営バス、 安来市のコミュニティバス(イエローバス)が運行し、竹矢までつながっています。また、JR山陰本線で松江駅、東松江駅、揖屋駅、荒島駅、安来駅がつながっていますので代替線が確保されています。さらに本市が乗降調査を行い通学利用はほぼないということが確認できていることから、代替線として何か新設するのではなく、利便性を確保するために市営バスの松江しんじ湖温泉駅と竹矢を結ぶダイヤの新設と市営バスとイエローバスのダイヤ改正をしていきたいと考えています。
1月29日から島根県内の県立高校の受験の願書の申込みが始まります。受験生の皆さんには、こういった路線が確保されるということも考慮いただき、将来の進路選択の参考にしていただきたいと考えています。
本市内の公共交通は、バスの運転士不足、これは一畑バスのみならず、松江市の交通局も同じで、昨年10月1日からは減便もしています。また、乗客数もコロナ禍以降、大幅に減少しており、従来と同様の路線あるいは便数の維持が厳しい状況にあります。今年度末までに「地域公共交通計画」を策定し、移動交通手段の確保にできる限り努めてまいります。市民の皆さまには、公共交通の利用の促進を図っていただきたいと考えています。皆さまの利便性が損なわれないように努めてまいりますので、ご理解いただければと考えております。
質疑応答
(山陰中央新報)マリンプラザ線について、朝の便数を3便から2便ということですが、何時から何時の3便のことですか。
(上定市長)現行のダイヤでは、マリンプラザ前を6時57分発、7時12分発、7時57分発の便が該当します。
(山陰中央新報)県の調べで、70人以上の高校生が使っているということですが、そういった生徒への対応について、市長の受け止めをお願いします。詳細は今後ということですが、夜や、部活動への対応といったところはどのようにお考えですか。
(上定市長)70人を超える、学生の皆さんが利用されているという現状については私どもも把握しています。それを踏まえた上で、まずは一畑バスに対する路線の維持というのを申し上げ、それがかなわなかった路線について代替措置を講じたということです。通学に利用されている学生の皆さんにできるだけ影響が出ない形を確保したものと考えていますが、個別には、利便性が今よりよくなる内容は限られています。今後、実際の利用状況を確認しながら、必要があれば対応していきたいと考えています。今回、通学の時間帯を重点的に考えていますので、部活動等の事情にかなっていないところもあるかもしれませんので、そういったところも声が上がれば必要に応じて、できる限りということになりますが、対応を検討してまいりたいと考えています。
(山陰中央新報)先ほどのマリンプラザ線について、どの便がなくなるかを教えていただけますか。
(上定市長)これは、一畑バスさんのほうで検討されています。1月下旬に県立高校の願書の受付が始まるということでできるだけ早く確定した情報をお伝えしたところですので、具体的な路線の変更内容は、今後、調整を図った上で一畑バスさんからの発表になると思います。
(朝日新聞)昨年の11月に一畑バスから4路線の廃止の申し出があったということですが、その理由として一番大きな要因は何だったんでしょうか。
(上定市長)路線の維持が難しくなったというのが理由ですが、その背景にあるのは、運転士不足によって今のダイヤどおりの運行が難しくなったことです。これは松江市の交通局も同じ状況で、運転士の確保ができてきている状況もなく、結果として現在の路線の維持、ダイヤの確保が難しいという判断であったものと捉えています。
(BSS)4路線がいずれも現行のルートそのものを維持するのではなく、途中で乗り継ぎになるということですか。
(上定市長)コミュニティバスについては、路線が今のバス路線と全く同じものになるかどうかということについては、今後検討が必要です。ただ、基幹ルートとして、例えば島根町と川津までの中心市街地部分をつなぐということは決めており、実際運行をする事業者の手当てなどもできていませんし、全く同じ路線となるわけではありませんが、結節ができるような形で路線の確保とダイヤの設定を考えています。
(BSS)荒島線以外は何らかの路線短縮を伴うということだと思いますが、運行本数についてはまだ決まっていないということですね。
(上定市長)路線短縮についても、できる限り通学の利便性を確保するという観点から考えていきたいと思っています。必要があれば、コミュニティバスでの代替も検討していくということになります。
(BSS)松江市と雲南市によるコミュニティバスということですが、松江市の部分には交通局が関わることになりますか。
(上定市長)松江市交通局の市営バスが運行するわけではなく、松江市が運行しているコミュニティバスの路線を新設して、松江市と雲南市が運行するということで、交通局が直接関わることはないです。一方で、コミュニティバスの結節部分は、市営バスや一畑バスとつながりますので、それに関しては調整が必要になります。
(BSS)何らかの新しいコミュニティバスの運行主体がつくられるということですか。
(上定市長)そうですね。今も民間事業者にお願いして運行していますので、事業の実施主体は松江市、あるいは松江市と雲南市になりますが、実際の運行は民間事業者を想定しています。
(時事通信)バスの運転士不足が深刻な問題となっていて、市営バスも減便している中で、コミュニティバス路線の新設が可能でしょうか。
(上定市長)今回、特に交通弱者である学生の皆さんに影響が出ないということを主眼に置いて、具体的な対応策を検討してきました。その結果として、できるだけ影響が出ない形を確保しようといろいろ知恵を絞ったつもりです。その中で、もちろん予算的なものもありますが、今回の案が最適だと判断して発表させていただくもので、今後詰めるべき点はありますが、今年の10月1日以降、実現する方向で検討を進めてまいります。
(NKT)通勤、通学に使う人にとっての代替案ということで、一安心だと思いますが、根本の問題に対して、今後働きかけていく予定はありますか。
(上定市長)バス路線について、今まで一畑バスと松江市交通局が連携してダイヤを組み立てたりしていたかというと、独占禁止法など法律上の問題があり、必ずしも十分な調整を図るということができておりません。それをうまく法制度などを活用しながら連携を取って、路線の見直しやダイヤの調整などを図っていきたいと考えています。少なくとも松江市内には2つのバスを運行する公共交通機関がありますので、それをうまく活用することによって公共交通の利便性を高めるということは今後も考えていきたいと思っています。その第一歩として、年度末までに策定する、「地域公共交通計画」の中に盛り込み、具体的なダイヤの設定についても考えていくこととしています。
(読売新聞)今回の方針が、10月から11月の一畑バスさんの調査をそれぞれの指標にしていると思いますが、時期によって人数が異なることもあり、今後、その計画の策定に向けて、新たに調査をされますか。
(上定市)計画の策定は現在進めていまして、3月末までに結論を出す予定です。これまでもこういった乗降調査は、我々が主体的にやったものではなく、データを提供してもらっており、必要に応じてデータはいただきたいと考えています。交通局では、交通系のICカードで乗降客の把握ができますので、そういったデータはフルに活用した上で、データに基づいて計画を策定することとしています。
(読売新聞)ダイヤが変わったり、便数もそれに応じて変わるということですか。
(上定市長)これからはできるだけ公共交通の利用データを踏まえた上で、できるだけ効率的な運行をめざします。データが取れていないときは、回送バスに実は需要があるといったこともありました。そういったことは徐々に解消はされつつあるものの、データによる需要に基づいて運行のダイヤをつくっていく、まだ改善の余地がありますので、検討は進めていきたいと考えています。
(毎日新聞)バスの運転士が不足している状況で、コミュニティバスの運転手を確保できるめどはついていますか。
(上定市長)今のところまだ契約しているわけではないですが調整は始めており、ある程度のめどは立っています。
(毎日新聞)どういったところと調整をされていますか。
(上定市長)コミュニティバスの運行実績が松江市内、あるいは雲南市内である事業者と調整をしています。
(TSK)今回、市が協力する形で交通網を多少維持されたわけですが、市長としても穴を空けまいという思いは強かったということですか。
(上定市長)特に今回、交通弱者という言い方をしましたが、中学生から高校生になる皆さんの学校まで通う交通手段がなくなることがないように、できるだけ早く発表する必要があると考えていました。高校を選ぶときの選択は非常に重いものがあると思いますし、その際に、状況が整っていなくて自分の目指すべき進路を取ることができないということにならないように、大人が配慮する必要は大いにあると思っています。実際にバスの運転士が不足していたり、乗降客数も大幅に減少している状況の中で、公共交通の運営が非常に難しくなっているという事実もあります。いろいろな工夫をさらに凝らしていかなければならないということを改めて認識していまして、その中で、決定打となるものが今あるわけではないですが、関係者といろいろな連絡を取りながら、それぞれが工夫した意見を持ち寄って、全体として取り組んでいく必要があると考えています。
(TSK)コミュニティバスの維持も難しいところがあると思いますが、現時点のお考えはありますか。
(上定市長)コミュニティバスについては、八束地区と美保関地区を結ぶ路線が昨年度までは通常のコミュニティバスでしたが、それをAIデマンドバスという形で昨年の4月3日から運行を始めています。AIデマンドバスとは、デマンドいわゆるニーズに応じた形で運行ができ、Aさんがここからここに行きたい、Bさんはここからここに行きたいといったときに、効率よい経路をAIが人工知能で設定し、ナビに従って運行する乗合型のコミュニティバスで、実証的に昨年からやっています。実際に評判はよく、いろいろな使い方を検討しています。公共交通計画にどこまで盛り込んでいくかというところはありますが、来年度以降、それを拡大する形で公共交通の難しい状況に対応していくための一つの策として取り入れていきたいと考えています。
(中国新聞)荒島線は通学利用に影響が限定的ということですが、これは一畑バスを使っている通学者があまりいないのか、ほかの代替の交通手段があるために影響がないのか、どちらですか。
(上定市長)市の職員が実際に乗降調査をし、その時間帯に乗り合わせた方に話を聞いています。その際に、通学で利用されている方は確認できていませんが、たまたまその調査をした日にいなかったということもありえますが、代替手段が確保されている中で、一畑バスがなくなったとしても影響は極小化できるだろうと考えています。
(山陰中央新報)御津線と大東線のコミュニティバスの詳細な運行形態はいつぐらいにまとめる予定ですか。
(上定市長)まとまり次第お話ししたいと思っていますが、10月1日以降の対応ということになりますので、それに間に合う形で調整してまいります。コミュニティバスの事業者さんにお話はさせていただいていますが、実際は当然入札といったプロセスが入ってきますので、時間はかかると思います。予算ももちろん必要になりますので、来年度の当初予算をまず議会にお認めいただいた上で、4月以降に調整をして、10月1日にはもちろん間に合わせていくということになります。
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更新日:2024年02月07日