松江城そばの高層住宅建設について(受付日:2023年11月16日)

更新日:2024年02月14日

寄せられたご意見

今年10月21日付け山陰中央新報の記事「松江城そば高層住宅建設へ」において、大阪の不動産会社が計画する高さ60メートル級のマンションについて、市景観審が了承したと報ぜられていますことに、松江を愛する市民として大きな疑問をもっております。

外国の由緒ある町では、旧市街と新市街が截然(せつぜん)と分かたれ、それぞれが機能を果たしながら、町全体が発展しています。また、松江とともに国際文化観光都市である京都では、戦前から建物の高さが31メートル以下に制限されています。

旧市街にマンションを作ること自体が問題です。旧市街は旧市街として何を残し、何を改めていくかという計画が無ければなりません。ところが、今回の計画ではお城の天守閣から距離約500メートルの所に地上高がお城と匹敵する高層マンションを作るというのですから言語道断ではありませんか。お城の景観を損ね、歴史と伝統の街に異様な構築物を混入させるものです。

また、市景観審の判断基準は「天守から見える山の稜線の眺望を妨げない」であったと報ぜられています。この基準に従えば、地上に暮らしているわれわれ市民・住民からは周辺の山は殆んど絶対見えないことになります。日に日に宍道湖を眺め、周辺の山々に親しみを感じることができるのもあと少しの期間だけとなってしまします。

このままでは、国際文化観光都市松江・国宝松江城の名は名ばかりとなって、観光客は激減し、Iターン、Uターンが見込めなくなるばかりでなく、昔から住んでいる松江市民も余所に移住することを考える時が来ることとなります。

このマンション建設問題を市民の目線に立って、かつ将来の松江の姿に思いを馳せて、市長が処理されることによって、市民は安心して暮すことが出来、かつ市長の名声は末長く伝え称えられることになると考えます。

このような観点から、是非とも市長にご高察いただきたいことは、次のようなことです。

(1)「歴史的風致維持向上計画」で重点区域に定める旧城下町エリアで、しかも天守閣からの距離約500メートル地点に地上高60メートル級のマンション-お城の高さが58メートルを建てることが、「歴史的風致」の「維持向上」にあたるのかどうか?

(2)景観計画で定める「天守から見える東西南北の山の稜線の眺望を妨げない」との基準に従えば、地上に暮らしている市民・住民からは周辺の山が殆んど絶対に見えないこととなります。このような事態は松江市民として、受忍すべきことなのかどうか?

以上、長々と申し上げましたが、意のあるところを汲んでいただきご賢察のうえ、松江市長としてのリーダーシップをいかんなく発揮されることを願ってやみません。

ご意見に対する回答

(1)「『歴史的風致維持向上計画』で重点区域に定める旧城下町エリアの近距離に高層のマンションを建てることが『歴史的風致』の『維持向上』にあたるのか」

本市では、「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」第1条に定める「歴史的風致」(歴史や伝統的な建造物、まちなみ、行事など)の維持向上を図るため、平成23年に「松江市歴史的風致維持向上計画」を策定しております。

同計画では、「城下町松江」を物語る歴史的建造物や伝統的なまちなみを保全し、伝統行事や茶の湯文化などの活動を維持向上させるエリアである「旧城下町エリア」として、殿町を中心に菅田町、雑賀町などに跨る402ヘクタールを指定しています。

今回計画されている高層マンション建設によって、ただちに「旧城下町エリア」の歴史的風致が損なわれることはないものと捉えておりますが、松江城の近隣に同様の建物が建ち並び都会地と変わらない風景となれば、「旧城下町エリア」における「歴史的風致」の維持・向上に影響を及ぼすことが懸念されるため、今後、平成19年に策定した松江市景観計画の見直しについて検討する必要があるものと認識しております。

(2) 「天守から見える東西南北の山の稜線の眺望を妨げないとの基準に従えば、地上に暮らしている住民からは周辺の山が見えなくなることは松江市民として受忍すべきことなのか」

松江市景観計画において、良好な眺望景観を維持・保全するための眺望基準として、「天守から見える東西南北の山の稜線の眺望を妨げない」旨を定め、松江城天守からの眺望を守るために建設できる建物の高さに上限を設けております。これは、展望地からの眺望の一体性を確保することを目的に、連続する山並みを分断しないために設けた基準となります。

松江城近隣の地域においては、都市計画法や松江市景観計画により、歴史的な景観を保全・形成する地区計画や、松江城など主な展望地からの眺望を確保するための建築物の高さ規制を設けるなどしております。

ご指摘のマンションの高さについては、これら現行の基準を満たしていることから、本市が直ちに行政措置を講じることはできませんが、「松江らしい」景観を保全・創出するためには、現行の松江市景観計画の見直しが必要と考えており、今後、市民の皆様にもご意見を伺い検討を進めてまいります。

一方で、松江市景観審議会による答申を受けて、本市から事業者に対して、松江城周辺の景観との調和によりふさわしい色彩とすること、地域住民や関係者との間で円滑なコミュニケーションを図り、必要かつ十分な説明を尽くし、理解を得るよう努めることについて申し入れを行っており、その動向を注視してまいりたいと考えております。

この記事に関するお問い合わせ先

市民部 市民生活相談課
電話:0852-55-5169(市民活動推進係)、0852-55-5677(伺います係)
ファックス:0852-55-5544
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