平成31年度全国学力・学習状況調査及び県学力調査結果公表について

更新日:2023年10月30日

目次

  1. 松江市教育委員会の基本的な考え方
  2. 松江市の学力の現状と対策(概要)
  3. 保護者・地域の皆さまへ
  4. 公表するにあたって留意した事項
  5. 調査対象の児童生徒数
  6. 調査問題
  7. 松江市全体および各校の調査結果

1.松江市教育委員会の基本的な考え方

これまでの経緯

全国学力・学習状況調査(以下「全国学力調査」と言う)については、平成19年度から文部科学省において実施されてきました(平成23年度は東日本大震災のため中止)が、松江市教育委員会では、かねてからこの調査における松江市全体の結果を市民の皆さまへ公表してきました。そのような中、従来「市町村教育委員会は、域内の学校の状況について、個々の学校名を明らかにした公表は行わないこと」としていた文部科学省の方針が、平成26年度から全国学力調査の学校別結果を「教育上の影響等を踏まえ、必要性について慎重に判断した上で」、それぞれの市町村教育委員会で公表できることになりました。

基本的な考え方

上記の経過を踏まえ、平成26年度に開催した教育委員会会議で審議を行った結果、5名の教育委員の総意によって、以下の理由により全国学力調査における松江市全体の調査結果に加えて各学校の調査結果も公表することとし、島根県学力調査(以下「県学力調査」と言う)についても同様に公表しました(実受検者が10名以下の学校を除く)。そして、令和元年度においても、同様に公表することとしました。

なお、島根県学力調査は12月に実施されることから、全国学力・学習状況調査とは時期をずらし、2月末を目途に公表することとしました。

(注意)小規模の学校においては、1人当たりの学力調査における正答数と意識調査における肯定的回答数によって学年全体に与える影響が大きくなることをご承知おきください。

  • ア.学校教育は公教育であり、子どもたちが育ち社会人となる途上の一過程です。その過程の時々に児童生徒が獲得する能力の質・量の大きさは、広く社会に認識される必要があります。従って、教育に地域特性があることを考慮しても、公的に行われた学力調査の結果を広く社会に公表することは教育機関あるいは教育委員会の社会に対する義務の一つであると考えます。そして、学力調査の結果を学校、さらには教員一人ひとりが、真摯に受け止め、各学校の教育施策や教員の授業改善を促し、バックアップしていくことが教育委員会の役割だとも考えています。
  • イ.学校別の結果を公表することで過度の競争を招いたり学校の序列化につながったりする等の懸念があります。このような懸念を払拭するためには、調査結果を市民の皆さまに適切な様式でお知らせし、教育委員会としての説明責任を果たすことが必要と考えます。
  • ウ.松江市では、平成22年度から中学校とその校区内の小学校とを単位として全16校区(学園)で小中一貫教育を進めています。ここでは、小中9年間を見通した連携(たての一貫教育)に加えて、地域との連携(よこの一貫(環)教育)を推進しており、学校と地域や保護者、並びに教育委員会が一体となって子どもの教育にあたる体制を整えています。このような連携を有効に機能させるためには可能な限りの情報の共有化を図らなければなりません。国及び県の学力調査の結果は、学力の一部ではありますが、共有されるべき大切な情報の一つとして保護者や地域の方々に知っていただくことが重要です。
  • エ.子どもたちが進路選択の際や社会に出た時に何らかの「競争」の場に出会うことは避けられません。そうした意味でも、子どもたちに早い時期から「切磋琢磨」する力を養うことも大切です。
  • オ.本市全体の学力水準の向上のためには、従来行われてきた学力が充分に伸びていない子どもたちへの支援に加えて、中位及び高い水準に達している子どもたちの学力を的確に向上させることも肝要です。本市の学力調査結果公表に伴う分析や対策を効果的に施策に反映させることが重要であると考えます。

併せて、松江市教育委員会では今後取り組むべきこととして、次のことを考えています。

  • 結果分析をしっかり行い、今後の重点施策を明確にする。
  • 小中一貫教育を推進し、9年間を見通した指導を充実させる。
  • 取組方針に基づき学校では授業改善や授業力向上に一層努めるとともに、松江市教育委員会ではこれを積極的に支援する。
  • 生活意識調査の結果(抜粋)も併せて公表することを通して、地域や保護者の皆さまには学校の実態を踏まえた上での協力と連携をお願いする。

2.松江市の学力の現状と対策(概要)

現状

全国学力・学習状況調査

(注釈)ここでは、今年度の全国学力・学習状況調査の結果概要をお知らせします。詳細につきましては、「7.松江市全体及び各校の調査結果ア.全国学力・学習状況調査・小学校分析対策シート・中学校分析対策シート」をご覧ください。なお、平成31年度より「国語と算数・数学のAB問題がなくなり1つにまとめられた」「中学校で今年度初めて英語の調査が加わり、今後3年に1回実施となる」といった点が、昨年度との変更点になっています。
平成31年4月18日実施

ア小学校
強み
  • 〈国語〉
    • 国語の平均正答率は県平均正答率を1ポイント上回った。
    • 国語の「話すこと・聞くこと」「書くこと」は全国平均正答率を上回り、特に「書くこと」は1.4ポイントと大きく上回った。
  • 〈算数〉
    • 算数の平均正答率は県平均正答率を1ポイント上回った。
    • 今まで課題であった「図形」が全国平均正答率と同値となり、改善が見られた。
    • 記述式の問題において、無回答率が全国平均値を下回った。
課題
  • 〈国語〉
    • 「言語事項」は1.9ポイント全国平均正答率を下回った。漢字を正しく書く問題の一部や、ことわざの意味を正しくとらえる問題といった、「言語についての知識・理解・技能」に関する内容理解が不足しているものがみられる。
    • 文と文の意味のつながりを考えながら、接続語の意味を正しくとらえることに課題が見られる。
  • 〈算数〉
    • 「量と測定」が1.7ポイント、「数量関係」が1.2ポイント全国平均正答率を下回った。単位量当たりの大きさを正しく捉えたり、グラフから資料の特徴や傾向を読み取り、関連付けて論理的に考察したり説明したりすることに課題が見られる。
イ中学校
強み
  • 〈国語〉
    • 国語の平均正答率は全国平均正答率を0.2ポイント上回り、県平均正答率と同値だった。多くの情報を統合し、話の流れから思考を整理したり、文章に表れているものの見方や考え方について、自分の考えをもったりすることができている。
    • 「話すこと・聞くこと」「書くこと」が全国平均正答率を上回った。
  • 〈数学〉
    • 数学の平均正答率は県平均正答率を3ポイント上回った。また平成26年度から全国平均正答率を下回る状況が続いたが、その差は年々縮まり、今年度は全国平均正答率を0.2ポイント上回った。
    • 数学は「数と式」「図形」が全国平均正答率を上回った。特に「式と計算」は全国平均正答率を1.5ポイント上回った。
  • 〈英語〉
    • 英語の平均正答率は県平均を1ポイント上回った。
    • 「読むこと」領域の正答率は全国平均値とほぼ同じである。
    • 「英語の授業はよく分かる」と答えた生徒が、全国平均値を上回った。(意識調査より)
課題
  • 〈国語〉
    • 「言語事項」は2.2ポイント全国平均正答率を下回った。
    • 文章を読みこんで解答する問題の無回答率が高く、最後まで文章を読む前に諦めてしまう生徒が多い。
  • 〈数学〉
    • 「資料の活用」が全国平均正答率を下回り、活用問題に対する取組に課題が見られた。
    • 事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明することに課題がみられる。
  • 〈英語〉
    • 英語は「聞くこと」「読むこと」「書くこと」の全領域で全国平均正答率を下回り、特に「聞くこと」が3.3ポイント全国平均正答率を下回った。
    • 「聞いた情報をもとに自分の考えを書く」「あるテーマについて自分の考えや理由を書く」など領域を統合して活用する問題の正答率が低く、無回答率が高い。
ウ意識調査
強み
  • 「総合的な学習の時間で、自分で課題を立てて情報を集め、調べたことを発表するなどの学習に取り組んでいるか」という問いに対して、小学校では4ポイント、中学校では13.4ポイント全国値より高く、探究的な学習に対して児童生徒が主体的に取り組んでいる。
  • 小学校では「今住んでいる地域の行事に参加している」と回答した児童が全国値を6.1ポイント上回り、自分の住んでいる地域に対しての意識が高い。
  • 中学校では、「数学で学習したことは、将来、社会に出て役に立つ」と回答した生徒が全国値を3.1ポイント上回り、苦手意識の強かった数学に対する改善傾向が見られた。
課題
  • 小学生中学生とも調査問題の解答時間を短いと感じている者が多い。問題を早く正確に読み取り、解答につなげるという点で、引き続き課題が見られる。
  • 小学校では「算数の勉強は好きですか」という問いに対して、全国値と比べ8.4ポイント低く、算数に対する苦手意識が強い傾向にある。
  • 中学校では、「将来英語を使うような生活や職業に就きたいか」という問いに対して、全国値と比べ8.3低く、英語に対する興味関心を高めていく対策を進めていく必要がある。

【島根県学力調査】

令和元年12月10日実施

ア.小学校
  • 対象は県内すべての5年と6年、教科は国語・算数である。
  • 全ての調査で島根県平均正答率(以下、「県平均」という)を上回った。特に算数については小5で1.9ポイント上回った。
  • 学校別に見ると、各学年、各教科において、平均正答率のばらつきが24ポイントから33ポイント程度あり、学校ごとの差が認められた。
  • 国語では記述式の問題の正答率が小5・小6とも県平均を2ポイント前後上回った。今後も「自分の考えを整理して書く」指導の充実が望まれる。算数では図形領域の問題の正答率が小5では3.5ポイント、小6では1.8ポイント県平均を上回った。
イ.中学校
  • 対象は県内すべての1年と2年、教科は国語・数学・英語である。
  • 多くの調査で県平均を上回った。特に数学については、中1で3ポイント、中2で2ポイント県平均を上回っており、指導の成果が表れていると考えられる。
  • 学校別にみると各教科において平均正答率のばらつきが17から32ポイント程度あり、小学校と同様に学校ごとの差が認められた。
  • 国語では場面の展開や登場人物の心情に注意して読む力、数学では基礎的な計算問題や方程式、関数の問題を解く力、英語ではまとまりのある英文を聞いて、概要や要点を適切に聞き取る力が高かった。一方で、国語では文章の表現について自分の考えをまとめる力、数学では問題解決の方法を数学的に説明する力、英語では語と語のつながりをなどに注意して英文で表現する力にそれぞれ課題が見られた。
ウ.意識調査
  • 「自分にはよいところがある」「まわりから認められている」と回答した児童生徒はどの学年も県平均を上回っている。
  • 「総合的な学習の時間に自分で課題を立てて情報を集めている」「総合的な学習の時間で集めた情報を整理し考え、発表に取り組んでいる」と回答した児童生徒は全ての学年で県平均を上回った。特に「授業で話し合い学習や自分の考えを発表する機会がある」と回答した児童生徒は小5で87.5%、小6から中2では90%以上となり、各校で児童生徒が主体的に授業に取り組めるような工夫がされている。
  • 「学校図書館を使った授業は他の授業でも役立っている」と回答した児童生徒は多くの学年で県平均を上回っている。学校図書館活用教育が各校で進められている成果の一つと考えられる。その一方で、「授業以外で学校図書館に週1回以上足を運ぶ」児童生徒は昨年度に引き続いて県平均を下回り、授業以外に分からないことや調べたいことがあれば児童生徒が自主的に図書館を活用するための手立てが必要である。
  • 「平日の家庭学習時間が1時間以上」と回答した児童生徒は小学校が5年で59.2%、6年が63%、中学校1年が61.7%、2年が52.6%で、小6以外は県平均を上回っている。また「家で学校の授業の予習復習をしている」と回答した児童生徒は多くの学年で県平均を上回っている。
  • 「地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がある」「地域や社会をよくするために何をすべきか考えたことがある」児童生徒は多くの学年で県平均を上回っている。一方で「今住んでいる地域の行事に参加している」児童生徒は県平均に比べて低く、興味はあるが活動に参加する機会が少ない状況が見られた。
対策
  • 学力調査結果を取りまとめ、各校で分析と対策を検討し、授業改善に活かしていく。
  • 小中一貫教育の視点を生かし、小中合同の授業研究会を各学園で実施したり、小中の教職員が児童生徒の学力等の状況について定期的に情報を交換し合ったりするなど、各学園で工夫して子どもたちの学力向上に努める。
  • 松江市教育委員会では、指導主事訪問指導等を通じて学校からの相談に乗ったり、授業づくりのポイントを知らせたりして各学校の取組を支援する。加えて、教職2・3年目の教諭を対象としたフォローアップ研修のさらなる充実や学力育成担当者研修を実施することで、教師の授業力・指導力の向上を図っていく。

3.保護者・地域の皆さまへ

 皆さまには、この度の公表内容に加え各学校から提供される情報(学校だよりやホームページ等)をご覧いただきますとともに、家庭学習と生活習慣の確立やキャリア教育(生き方指導)、メディア接触や地域とのつながりの望ましい在り方等について家庭が果たすべき役割もご理解いただきたいと思います。

 子どもたちの健全な成長のために、教育委員会や学校としても今後とも一層努力してまいりますが、保護者の皆さまやご家庭の協力も不可欠であると考えています。今後とも互いに連携した取組を進めていきたいと思いますので、ご理解とご支援をいただきますよう、お願いいたします。

併せて、次の点についてもご理解ください。

  • ア.今回の公表は、学校の序列化やランク付けを意図したものではありません。ご覧になる皆さまも趣旨をご理解いただき、公表内容の取り扱いについては適切なご判断をお願いします。
  • イ.公表する調査結果は学力の一部を表したものであり、学校教育の成果の全てではありません。また、各学校の受検者数が大きく異なる現状があること等もご理解願います。
  • ウ.平成27年度からは、教科の学力だけでなく体力の状況についても公表することとしました。

(注意)令和元年度結果の掲載時期は、令和2年4月を予定しています。

なお、今回公表します調査結果は、第一義的にはこれまでの松江市の学校教育における松江市教育委員会の取組の結果であると受け止め、今後の対策や施策を講じる礎にしなければならないと考えています。ご意見やご要望等がありましたら、積極的にお寄せください。

4.公表にあたって留意した事項

  • ア.個人が特定される恐れのある、実受検者数が10名以下の学校(島根県学力調査においては、実受検者数が10名以下の学年がある学校)については非公表としています。但し、当該学校からの希望があれば公表します。
  • イ.公表の影響等については、実施後3から5年を目途に、教育委員会において検証等を行います。なお、検証等の具体的な方法は今後検討することとしています。
  • ウ.平成29年度より、国が都道府県別の平均正答率についてすべての公表・提供資料を整数値に変更したため松江市及び各学校の公表も整数値で公表します。(全国の平均正答率、領域別正答率は小数値で公表・提供されています。)

5.調査対象の児童生徒数

  1. 全国学力・学習状況調査(平成31年4月18日実施児童生徒総数)
    小学校6年生1,734人、中学校3年生1,559人
  2. 島根県学力調査(令和元年12月10日実施児童生徒総数)
    小学校5年生1609人、小学校6年生1731人
    中学校1年生1596人、中学校2年生1433人

6.調査問題

  1. 全国学力・学習状況調査
    国立教育政策研究所のホームページに掲載されています。
  2. 島根県学力調査
    • 調査問題の一般公開はされていません。

7.松江市全体および各校の調査結果

学力調査結果および、生活意識調査について掲載しています。

松江市全体の調査結果

ア.全国学力・学習状況調査

イ.島根県学力調査

ウ.補足資料

正答数分布状況(全国学力調査)

生活・学習意識調査結果(県学力調査)

学校別調査結果

松江市が進めている、小中一貫教育の校区ごとに学校別のシートを公開しています。「学園名」は中学校区を総称する「愛称名」として使用しています。非公開の学校についてはPDFの表示はついていません。

千鳥の杜学園

嵩の杜学園

まつえ天神川学園

津田古志原夢きぼう学園

まつえ湖南学園

湖東かんなび学園

本庄水辺の学園

湖北白鳥学園

鹿島ふれあい学園

しまね潮風学園

海と朝日の美保関学園

やくも意宇学園

玉湯まがたま学園

宍道みずうみ学園

義務教育学校八束学園

ほっとハート東出雲学園

レーダーチャートの見方

ア.全国学力・学習状況調査

全国学力・学習状況調査のレーダーチャートの見方について説明している画像

イ.島根県学力検査

島根県学力検査のレーダーチャートの見方について説明している画像

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会 学校教育課
電話:0852-55-5417(学び推進係)
電話:0852-55-5428(保健体育係)
電話:0852-55-5416(学事係)
電話:0852-55-5078(ICT教育推進係)
電話:0852-55-5551(ICT教育整備係)
ファックス:0852-55-5251
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